ミッドナイト・バス

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900063

感想・レビュー・書評

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  • ところどころ目頭を熱くしながら読みました。
    とても心温まるお話です。

    主人公はきっと素敵な人なんだろうなと想像しながら,愛する人と幸せになってほしいと思いました。
    夜行バスを見るたびに優しい気持ちでこの小説と主人公を思い出しそうです。

    著者の作品は3作目ですが,どれも前向きな優しい気持ちになれる作品ばかりでした。
    他の作品も読んでみます。

  • 映画になりそうなお話。

    みんな淡々としてる。でも途中でつまらなくなる事もなく。

    美雪が今の利一が好きなわけじゃなくて、昔を懐かしんで、あの頃の思い出だしてるだけみたいな事を言っていたけど、違うんじゃないかと。

    旦那が浮気してて、父親の介護して、自分も体調不良で、そんな時に優しくされたらフラフラっとなるでしょねぇ。元旦那ならなおさら。

    利一は昔守れなかった責任みたいなもんかな最初は。
    で、やけぼっくいに火がついたと。

    千穂は可哀想だな。でもきっと利一が京都にきたらウエルカムしちゃうんだろな。

    伶司の肌の理由は意外だった。ただの仕事でダメになった子だとばかり思ってたので。

    彩菜は友達にはいいかな。家族だとめんどくさそう。

    家族以外の話しも邪魔にならずに読めました。

  • 素晴らしく良かったです!読みごたえある1冊でした。家族と、その周辺の人々の、近いがためにうまく思いを伝えられなかったり、モヤモヤや、葛藤や、相手を思うあまりのすれ違いや、そういう優しさやもどかしさが、ホントに上手く(というのもヘンですが)、書かれていて、ぐいぐいと引き込まれて、一気に読んでしまいました。
    弱さや、強がりや、それを超えた強さや・・・親って、子供のためなら、いくらでも強くなれるんですよねー。
    でも、子供って、親だって弱いひとりの人間、って知ってるんですよねw 子供の方が、強いのかもしれません。
    ある程度の歳を経て、それなりの経験をしてこそ共鳴でいる小説というのはあるもので・・・出会えると、嬉しいですよね。歳を取ってしまったことも、よかったと思えるというかw

  • 良い感じの本でした。
    家族がテーマですが、子供が大きくなった大人な私たちにぴったりのお話です。
    良い学校を出てもうまくいかない、優しさが裏目に出る、きつく当たっていた人たちにもそれぞれの・・・

    そんなことが分かる年頃の大人に 読んで欲しい一冊です。
    大人になりたかったあの頃・・・それもまた良い思い出ですね。

  • 最終章を読んで人前でウルウルしてしまい、みっともなかった。しっとりとした雨の中、疾走して行く夜行バスが目に浮かぶようでした。誰かの歌じゃないけれど、「男もつらいけれど、女もつらいのよ」って感じ。登場人物みんなが古傷を負っているが、時を経てお互いを理解できるようになり、労り合う。そして長い夜のトンネルを抜け、それぞれの道へ解き放たれて行く夜行バスの物語。ジ〜ンくる良い話しでした。

  • 深夜バスの運転手、利一。
    離婚した妻との関わり、その父、義父との付き合い、息子、娘、一緒に生活してもいいと思える女性とのつながり。
    女性との関係を除けば、どの関係も今ひとつうまくいっていないという状態。
    相手のことを考えていないわけではないのに、それをうまく表現できない不器用な人もいれば、器用すぎて悟らせない人もいる。
    言わなくてもわかる。
    いえいえ、言わなきゃ他人が考えてることなんてわかるわけないよ。伝えたいことはきちんと伝えていきたい。
    次に何か良い方向に動きそうな終わり方が良かった。

  • 倒置法なのか、比喩表現なのか、
    それとも技術的にアレなのか。
    時折、急に視点が変わったり
    「え、今の誰のセリフ?」と解らなくなる事が多々。
    数行戻る事で没頭から覚める事しばしば。
    『四十九日のレシピ』和久井映見さんのドラマ版が
    とても良かったので、
    そちらは贔屓目で読んでしまいましたが。

    今一つ、何かが足りなくて巧く出来ない、
    でもそれでも良いんだよ、
    家族だし色々有るさ。
    と云うモヤッとした落としどころが
    そのままこの作品の印象です。
    分厚く読み応えだけはあるのですが、
    それだけもう少し何か有っても良さそうと云うか。
    惜しい感じ。

  • 第151回直木賞候補作。

    新潟の白鳥バスの運転手、利一とその子供達である怜司と彩菜、そして前妻の美雪そして今愛する人である志穂。

    「強いものがひとつ足りない」とは直木賞の北方謙三の評だか、確かに終始淡い色合いで描かれている。
    関越トンネルを境に華やかで何でもある東京と白い雪の新潟。陰と陽もハッキリしているし、強いテーマが無いことで雪の白さのイメージが壊されなくて逆に良いと思う。

    家族観がテーマの中心であるが、父権が弱くなっている今、父親の在り方を問うている感もある。

    新潟の美景が目に浮かぶような、風景描写はとても良かった。
    肩の力を抜いて読める作品。

  • 深夜バスは、様々な思い、様々な物語をもった人たちを乗せて、夜走る。
    鉄道や船も、多くの人を運ぶけど、一人ひとりの物語を感じるには、深夜バスぐらいの大きさがちょうど良い。
    乗客が乗るときに、運転士が切符を受け取る。そのときに、ひとりひとりの顔がわかる。
    そのくらいの大きさが、物語を運ぶにはちょうど良い。

    新潟から東京まで走る、深夜バスの運転士の物語。
    運転士とその家族の物語。
    そうか、物語を運ぶ運転士にも、家族があり、物語があるんだなと気づかせてくれた。

    50代、家族があり、子供がそろそろ自立しかかっている年代の運転士。
    妻とは別れた。
    だが、ひとは色々な路を通って歳をとっていく。
    そして、その路は、時々出会い、時々わかれ、時々交わる。
    彼と同じ年代にいる自分には、とてもリアルな物語だった。

    震災ボランティアに参加して、頻繁に乗るようになった深夜バス。
    その乗車場所に集まる、さまざまなひとの人生を、そしてそのバスを走らせてくれる運転士さんの姿を思い浮かべながら、本書を読んだ。
    本書はとてもリアルだった。

  • 直木賞候補になった作品。
    直木賞候補が発表されてすぐ、図書館にインターネットで予約。
    貸出可になっていたので、翌日すぐに借りることができましたが、借りる際にはカウンターで「予約の方がいらっしゃるのでよろしくお願いします」と言われました。
    タッチの差だったようです(笑)。
    高速バス運転手の利一。
    長男・怜司と長女・彩菜。
    16年ぶりに再会した別れた妻の美雪。そして、そのの父。
    利一の恋人の志穂。
    家族にとっての16年の時の流れと重さ。
    じんわりと染み入る本でした。
    伊吹さんの本は【風待ちの人】も【四十九日のレシピ】も☆4つをつけているのですが・・・

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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