- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163904016
感想・レビュー・書評
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洋菓子店を営む祖父と孫、周囲の人々、それぞれの視点で各章が描かれるオムニバス形式の短編集。
仕事と結婚、恋愛感情、不倫と摂食障害、昔の秘密…登場人物たちの悩みや葛藤が丁寧に描かれている。
めちゃくちゃ刺さるわけではないけれど、わかるなぁとじんわり響く、そんな感じ。
軽くてサクサクと読み進められた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
千早茜さんの本は『男ともだち』をかなり前に読んで、二作目だと思います。
これは小さな町の洋菓子店をめぐる人たちの連作ですが、主人公の亜樹の成長譚かな、と思いました。
でてくるスイーツはとってもスイートだけど、ストーリーはちょっとビターでもあります。
出てくる女の子、男の子のお話しは、すれ違いあり、片想いありです。
澄孝くんとミナがうまくいくといいのにとか、美佐江はなんで、あんな夫と暮らしているのか、別れればいいのにと思った。
一番好きだったのは、亜樹と珠香のお話し。
珠香の中高生の時のキャラクターは大変そうだけど、好きでした。でも珠香も成長したんですね。
亜樹は一番最後の『クレーム』ではなんだか、今まで他の女の子たちの目に映っていた大人な亜樹じゃなくなっていて、ちょっとがっかりしたような・・・。
でも最後は、まあよかったのかな。 -
祖父の営む昔ながらの西洋菓子店で働く女性パティシエ、亜樹のお話。
でも、ちょっと話があっちこっちに散らばってしまっている?特に不自然でも不快でもないけれど。
ちょっとそんなことを思いました。 -
洋菓子店を舞台にした連作短編集。
甘い菓子の名前とは裏腹にピリリと辛味の効いた物語には千早さんならでは。
女を興奮させない菓子は菓子じゃないってすごい破壊力ある言葉だなぁ。
じいちゃんもばあちゃんも潔くて好きだし、甘い物は苦手なんだけど、亜樹のつくる菓子を食べてみたい。
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街中の昔ながらの洋菓子店を営む祖父と、その店を手伝うことになったパティシエールの孫娘。彼らと彼らを取り巻く人々が描く、お菓子とともにつむがれる、温かく甘やかな物語が6つ収められています。
お菓子の描写が繊細で、食べるのは好きでも詳しくはない私自身でもうっとりするような魅力に満ちてます。そのお菓子とともに描かれる人物たちの繊細な人間模様も楽しめて、きっと、きらびやかなプティフールのお菓子たちを手のなかに包んでいるときのようないとおしさを感じる物語になっているように思いました。
行違ったりうまくいかなかったり、想いも必ずしも通じなかったり。それでも、自分の気持ちを信じて生きていく人物たちを素直に応援したくなります。そして、すごくすごく、お菓子が食べたくなります。昔懐かしのとにかく甘いシュークリーム、良いですよねえ… -
面白くて一気読み。
「透明な夜の香り」みたいに
妖艶な章がおおいし、
そうでなくても
スイーツを取り巻く色々な価値観が見えて
とっても面白い!
千早さん大好き -
作品中とても魅力的なお菓子がたくさん登場するが、登場人物は甘くなかった。生きていく上で皆何かをすり減らしてるみたい。切れ味抜群な刃物の様に鋭利でそこには登場するお菓子の様な甘さはない。そして亜樹がどうしても好きになれなかった。ばあちゃんの言葉じゃないけれど狭い世界で生きてるせいかどうも自分本位な感じ。特に最後の章は最後に辿りつくプロセスにイライラした。本当に20代後半の女性なのか?と。ここまで人の気持ちを慮る事が出来ない人がどうして人の為にお菓子が作れるのか?と。(後輩の澄孝もそう所が見え隠れして苦手)最後に救いがあって気づくのだけれど…。もうちょっと巧く生きれないものか。と何度も思った。本当に人間って不器用でイライラする生き物だ。だがそれが人間の面白さだ(爆)