米中もし戦わば

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905679

作品紹介・あらすじ

◆トランプ政策顧問が執筆!◆・経済成長のために必要な原油の中東からの輸送ルートは、太平洋地域の制海権をもつアメリカによって抑えられている。・空母と同盟国の基地を主体にした米軍に対抗するため、安価な移動式のミサイルで叩くという「非対称兵器」の開発を中国は進めてきた。・南シナ海や尖閣諸島の海底に巨大な油田が発見された。・南シナ海や尖閣諸島を囲む第一列島線。その内側の制海権を中国は握りつつある。・歴史上、既存の大国と台頭する新興国が対峙したとき、戦争に至る確率は70%を超える。経済、政治、軍の内情……。最前線の情報をもとに、米中戦争の地政学を鮮やかに読み解く。トランプの政策顧問による分析で、日本の未来が見えてくる!解説:飯田将史(防衛省防衛研究所 地域研究部 中国研究室 主任研究官)【目次】■第一部 中国は何を狙っているのか?第1章 米中戦争が起きる確率第2章 屈辱の一〇〇年間第3章 なぜマラッカ海峡にこだわるのか?第4章 禁輸措置大国アメリカ第5章 中国共産党の武力侵略■第二部 どれだけの軍事力を持っているのか?第6章 軍事費の真実第7章 第一列島線と第二列島線第8章 「空母キラー」の衝撃第9章 地下の万里の長城第10章 マッハ10の新型ミサイル第11章 機雷による海上封鎖第12章 深海に潜む核兵器第13章 ヨーロッパの最新軍事技術を手に入れる第14章 小型艦が空母戦闘群を襲う第15章 第五世代戦闘機の実力第16章 宇宙戦争第17章 サイバー戦争第18章 国際世論の操作第19章 「非対称兵器」が勝負を分ける■第三部 引き金となるのはどこか?第20章 台湾という不沈空母第21章 問題児・北朝鮮第22章 尖閣諸島の危機第23章 ベトナムの西沙諸島第24章 南シナ海の「九段線」第25章 排他的経済水域の領海化第26章 水不足のインド第27章 火の付いたナショナリズム第28章 地方官僚の暴走第29章 中露軍事同盟の成立■第四部 戦場では何が起きるのか?第30章 質の米軍vs. 量の中国軍第31章 米軍基地は機能するのか?第32章 中国本土への攻撃第33章 海上封鎖の実行第34章 どんな「勝利」が待っているのか?■第五部 交渉の余地はあるのか?第35章 米軍はアジアから撤退すべきか?第36章 中国の経済成長は何をもたらすのか?第37章 貿易の拡大で戦争は防げるのか?第38章 核抑止力は本当に働くのか?第39章 中国との対話は可能か?第40章 「大取引」で平和は訪れるのか?■第六部 力による平和への道第41章 「戦わずして勝つ」唯一の方法第42章 経済力による平和第43章 軍事力による平和第44章 同盟国を守り抜く第45章 中国の脅威を直視する■解説 飯田将史(防衛省防衛研究所 主任研究官)「日本の安全をどう守るのか」

感想・レビュー・書評

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  • 米中という世界の二大覇権国家にフォーカスして、その衝突可能性を解析する。物凄く分かりやすいし、誇張し過ぎずリアリティがある。そのため、本書を読むと日本の未来が心配になる。それほど、力のあるスゴ本である。

    クイズ形式で読者に問いかけていく。最初はイージーな設問で答えは露骨。出発点は、国際政治、学者ミアシャイマーの理論。世界体制は無政府状態だから、すべての国家は軍事力を増強する。またそれが自衛のためなのか征服のためなのか、他国からはわからない。取り締まる者のいない世界体制の中で、安全を保障する最良の方法は、その地域の覇権国家になり、優位に立つことで、どこからも攻撃されないようにすることである、と。中国は戦後の共産主義国家樹立まで、日本を含む西洋列強に好き放題侵略された経験もあり、現在もマラッカ海峡を経由した資源の輸入に生命線を握られている。アメリカに支配されないためには、軍事増強を止められない。

    中国の北端に位置するゴビ砂漠に、アメリカの空母をかたどった標的が設けられている。四川省の衛星発射センターでは、アメリカの人工衛星を打ち砕くための対衛星兵器のテストが進められている。海南島では、巨大地下潜水艦基地が完成している。世界中のどんな都市でも破壊することができる大陸間弾道ミサイルを搭載した原子力潜水艦が密かに出撃できる。地下長城の開発も続けている。全長5000キロに及ぶ。迷路のように入り組んだ地下道。そこに核弾道ミサイルが保管されている。アメリカだけではなく、インド、日本、フィリピン、ベトナムといった国々も標的だ。

    マラッカジレンマを回避すべく、中国はベンガル湾内のチャウピュー港と雲南省昆明を結ぶ石油及び天然ガスパイプラインを建設した。同様のリスクヘッジ策としては、ユーラシア大陸を横断する航空路、道路、鉄道、パイプラインのネットワーク構築。海上封鎖の影響を全く受けない新シルクロード経済ベルトを形成しようとしている。

    ー 中国の目標は、ホワイトハウスの戦略的政治的計算法を変化させ、コストとリスクの負担感からアメリカの政策決定者がアジアへの介入を躊躇するよう仕向けること。そして、アメリカにとって台湾をめぐる利害は、中国と比較して、はるかに小さいように見える。

    上記は本書から抜粋して文章を繋げたものだが、これを読むだけで日本の危うさが想像できる。トゥキディデスの罠というと言葉の迫力が独り歩きするが「何が正しいかという問題は、力の等しいものたちの間でしか解決できない。強いものは自分のしたいことをするし、弱いものは耐え忍ぶしかない」自由競争による技術革新がサチるなら、情報を一元化する独裁国家の方がAIとも相性は良いだろう。資本主義における格差のブレーキ機能すらも果たせない民主主義は、既にオワコンかも知れない。

  • 邦題からお願い多いトンデモ本の一種だろうと思っていたのだが、予想に反して米中の軍事戦略を基にアジア情勢を読み解き、トランプ政権における対中戦略がどうなっているかの背景情報を与えてくれる良書。

  • 米国大統領の元補佐官、ピーターナバロが米中の軍事力・経済力を中心に地政学観点での現状分析と今後の予測、持続可能な世界の提案をする1冊。
    個人レベルでは調べるのがイージーではない領域の話までまとまっており、世界が今どんな状況になってるのかが分かります。

    読んだ感想としては、双子の赤字を抱える米国はもう、世界の覇権国でいるのは無理ですね。米国世論も政治的な動向も、米国が覇権国で居続ける条件を棄て始めています。と同時に、中国の隣国である我々日本人は、もっと本格的に自国防衛を考えないといけませんね。

    とても良い本だったのですが、いくら大統領補佐官経験者の本とはいえ、2016年発刊時に予想していた米中対立の予想で、けっこう重要なポイントが史実から異なったことですね。いくら有名な人だとはいえ、考えを盲目的に信じてはいけない良い例となりますた。

  • トランプ政権のブレーンである方の著者になります。
    事実をベースに記述され、これらの事実を否定する事は難しいです。
    現代の米中関係について知りたいと願う方に、特にオススメしたい本です。

    この本を読む事で、米中の対立は必須であろうと気づきます。
    また米国側の考えとして、いかに戦争に発展させずに、中国側の意図と能力を挫くかを考えている事も伺えます。
    現代の国際政治を考える上で、必須の本です。

  • 読了。高めの温度で危機感を煽る?内容だったが、どこまで真実なのか、一冊読んだだけではよくわからない。鵜呑みにはしないが、興味深い内容だった。

    少なくとも、この20年で中国がアメリカでも抑えきれないほど強くなってること。日本はもはやゲームの外というか、アジアの小国に過ぎないこと。そして、米中ともにまだ平和への道は全く見えてないことはわかった。

    最近はファーウェイ追い出しや、貿易戦争が始まってるが、この本はその前に書かれており、今の状態の背景的なものも推測できる。そしてトランプはこの本で書かれてたいくつかの、避けるべき方向へも向かって言ってることも危惧される。(アメリカ国民は望んでいるが、それはダメだと本にはかかれている)

    特に何もできないが、我々は正しい日本のリーダーを選ぶことしかできない。もうすぐ参院選。

  • 内容の善し悪しを留保して、まずは読むことをお勧めします。
    アメリカと中国の関係上、戦争の可能性と、仮に戦争になるとしたらどうなるか、
    戦争しないためにはどうしたらいいか、を軍事面・外交面の両側から解説した本。
    一版には、こういうのは地政学とも言われている。

    先にあげたとおり、現在の大国であるアメリカ、中国の二国間関係において、周辺国との利害関係や歴史も含め、可能性がすべて列挙されている点や、中国の対外的にわかっている動きや思考、それらすべてが合理的に解説されている点から、一読をおすすめしたいと思います。この本だけで、現在進行形で起こっている事件の関係性について、背景や動きがわかるため、深い答えを自ら出せるようになる点でも、非常に有用です。

    ほんの少しだけ注意する事としては、あくまで著者がアメリカ側なので、それを前提にしている点、あとやはり軍事機密はすべて公表するわけにはいかないので、欠けている情報がある点を気にしておいたほうが良く、その為にこれが絶対的な正解だとは思わない方がいいと思う。

  • 最初にもった感想は「題名やばくないか?」でした。
    なんとなく右な人しか読まなさそうな題名。原題は「CROUCHING TIGER」です。ま、確かに人の目を引く邦題ではあります。
    ともかく、この本は売れており、ベストセラーのようです。それくらい、世の中の人が中国を脅威に思っているのでしょう。

    さて、内容的には、地政学や安全保障分野に詳しくない普通の人でも簡単に理解できる感じで、誰にでもおすすめできる本といえます。

    おそらく、マスコミ等に刷り込まれていた考え方が、論理的に崩されていくことと思います。

    たとえば、米中は核保有国で抑止力が働くため戦争は起こりえない、というのがよく聞く論法ですが、歴史的事実からもそれが明確に否定されます。

    また、現代はグローバリズムが普及し、経済的に国同士が相互依存関係にあるため戦争が起こりにくい。あるいは、平和を実現するためには軍備増強よりも、とにかく経済を優先させるべきだ、という論法も、論理的に意味がないとして否定されます。

    ところで、この本を読んでいる間に、著者のピーター・ナヴァロ氏が、トランプ政権にて、国家通商会議のトップに指名されました。
    これからどのような通商政策がとられるのか、万人が興味のあるところだと思います。

    その通商政策を決める組織のトップにナヴァロ氏がつく、ということは、その政策の真の目的は、中国の国力弱体化と米国国力の強化になるだろう・・・と予想できます。

    今後トランプ大統領が打ち出してくる政策に世界が右往左往させられると思いますが、この本を読んでおけば、その裏にはこんな狙いがあるのではないか?と、少し楽しめるかもしれません。

    「左だ」「右だ」ではなく、リアリズムの視点で、ぜひ読むべき本だと思います。

  • h10-図書館2018.2.6 期限2/20 読了2/23 返却2/24

  • 発刊から数年が経過しているが中国の軍拡と海洋侵略は衰えを見せていない。民間漁船に扮して軍事作戦を取り、サイバー攻撃で技術を盗み、製造業の技術移転を強制し、国際法も人権も無視する、まさに現代人にとっての悪以外の何ものでもない。国がそのような犯罪に手を染めているとは、ロシアも含めてテロリスト集団と変わらない有様だが、そんな国が常任理事国となっている時点で国連は形骸化しているし世界平和には程遠い未来しかない。WTO加盟以来急速に経済を発展させ裕福な中間層が増えたが、予想に反して武力で現状変更しようとする独裁国家は言論統制をさらに強化し、知的エリートである共青団を2022年の人事で排除し、特権世襲層の太子党がポストを独占、今や億万長者の民間人をも弾圧し始めているのが現状である。海洋進出についてはエネルギーの輸入依存が背景にあり、米軍のアジアでのプレゼンス低減を明らかに狙っているが、空母や基地のミサイル攻撃への脆弱性は素人でも分かる安全保障の問題。海上封鎖を想定した機雷や潜水艦の増強、航空機の増大と補給の格納化は喫緊の問題であること間違いなし。ただ本書で不可解だった点としては、軍が中央集権化されていて前線での裁量が認められいないことから部隊の暴走リスクは低いのか、それとも統制が実際は取れてなくて末端までのコントロールが難しい状況なのか、といった点。

  • 中国の平和的台頭は可能だろうか?
    私の答えは「ノー」だ。
    ジョン・ミアシャイマー

    13
    規制の大国と台頭する新興国が戦争する確立 70%

    14
    ミアシャイマー理論の3つの過程

    1.世界体制は無政府状態だ
    2.すべての国家は軍事力を増強する
    3.他国の真意を知ることはほぼ不可能だ

    15
    すべての大国は覇権を求める

    17
    過去200年間に、中国を侵略した国
    フランス、ドイツ、イギリス、日本、ロシア、アメリカ
    の6カ国

    中国にとっては屈辱の100年間
    1839年 イギリスとの第一次アヘン戦争
     ~
    1945年 日中戦争終結

    31
    中国が輸入する石油の70%はマラッカ海峡を通る

    マラッカ海峡(マラッカかいきょう)
    英語: Strait of Malacca
    マレー半島とスマトラ島(インドネシア)を隔てる海峡。
    南東端で接続しているシンガポール海峡とあわせて太平洋とインド洋を結ぶ海上交通上の要衝

    22
    海上封鎖されれば、中国経済は壊滅する

    27
    中国経済の喉元をおさえているアメリカ海軍

    28
    第一列島線に配備されている米海軍と大量の兵器

    32
    中国共産党の武力侵略
     チベット
     新疆
     インド

    34
    核戦争寸前まで行った中ソ国境紛争

    39
    尖閣諸島をめぐる日中の緊張は高まっている

    44
    軍事費の総額でも、軍事費がGDPに占める割合でも
    アメリカはいまだに中国をはるかに上回っている。

    軍事費総額
    中国 2000億ドルを超える
    アメリカは、その3倍以上。6000億ドル以上?

    過去10年間
    中国の軍事費はGDPの2%
    アメリカは、4%近い

    ただし
    中国軍兵士の人件費は、アメリカより遥かに安い
    武器の製造コストも、遥かに安い

    86
    中国はアメリカ本土に3000発以上の核弾頭を撃ち込む能力を持っている

    114
    中国のロケット打ち上げ能力は世界トップクラス

    122
    サイバー戦争
    米国の最重要防衛機密はシステマティックに抜き取られている

    126
    ケンブリッジ大学の研究者が
    アメリカが保有する兵器の中でも最も侵入が難しいと考えられている軍事規格のチップにバックドアを発見している。

    135
    中国はアジアの塀岩と安定にとって驚異になる

    147
    世界で4番目に大規模な陸軍を持つ北朝鮮

    162
    日本が核武装するシナリオ

    193
    水不足に直面するインド

    195
    インドに流れる川の水源地帯を中国は支配している

    196
    なぜ中国はパキスタンと仲が良いのか?

    200
    中国共産党の目標は、中国の存続ではなく、共産党支配の存続である

    202
    10億人以上の中国人は今も貧困に苦しんでいる

    219
    米軍と中国軍の技術の差は急速に縮まっている

    228
    東アジアにおける沖縄の戦略的価値

    248
    中国経済はあまりにも海運に依存してる

    278
    中国のWTO加盟により米国経済は壊滅的な打撃を受けた

    319
    選択肢は、「力による平和」しかない

    336
    世界一高い法人税のせいで米国の金と技術が流出している

    344
    第五世代戦闘機の製造機数は中国のほうが遥かに多い

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