ヒトはなぜペットを食べないか (文春新書 439)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166604395

感想・レビュー・書評

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  • タイトルと逆にシラミ食から人食まで、食べる文化の記述が大多数。

    人がペットを食べない心理を知りたかったのだが、本書ではわからなかった。

  • 請求記号・389/Ya 資料ID・310004315

  • まあ、年配の人にはウケそうかな。

  •  日本と諸外国の犬食や猫食などの肉を喰う歴史に触れながら、後半はタブー概念の確認に至って、表題について考察する本。

     読みながら、日本人も結構、犬猫を食べて来たんだなあ、と感心した。
     江戸時代の肉を『食べてはいけない』との御触書の中の『肉』には犬肉が含まれていたそう。
     つまり、それほど犬を食べる事が一般的だったということか。


     この本を読むと、人間のパートナーがそのまま、ペットとイコールではないことがよく分かる。
     何故ペットは食べないか、の問いは、人間はどうして他の動物を食べるのか、どのような動物なら食べていいのか、という問いにも繋げていくことができる。 

     
     日本人の食習慣として、鶏・豚・牛を食べるのは一般的であり、他方、例えばインドでは宗教上の理由により、牛を食べることを禁じられている。
     反捕鯨団体の講義活動がニュースで取りざたされている現状もふまえて、『肉を食べる』ことの意味、『食べる動物をどうやって決めているのか』、『どの肉なら食べていいと考えるのか』を考える時に役立てられる内容と感じた。

  • 平成23年11月19日読了。

  • カオス(混沌)をコト分け(理)により文化秩序(コスモス)を与える。

  • [ 内容 ]
    本来、ヒトは雑食性。
    東洋西洋を問わず、さかんに犬や猫を食べてきた。
    しかも愛情、性欲、食欲は同類項。
    無意識の深層でつながっている。
    天使のような赤ちゃんに「まあ可愛い。食べてしまいたい」と頬ずりしたことはありませんか。
    膨張しつづける人類の欲望。
    そのなかで近親相姦とペット食は近代の二大禁忌に。
    どうして我々は丸々と肥えたペットに涎を垂らさなくなったのか。
    摩訶不思議なヒトの深奥をさぐるミステリーの旅へ、さあご一緒に―。
    イヌは食用に飼い馴らされた?
    獣姦の世界、民話の異類婚譚、ペットと消費文明、動物の脱獣化、電子ペットの出現・・・本来、ヒトは雑食性。
    性と食には禁忌はない。
    さかんに犬や猫を食べてきた。
    しかも、愛情、性欲、食欲は同類項。
    無意識の深層でつながっている。
    だが、現代の我々はペットに涎を垂らさなくなった。
    犬猫食いの人類が、いかに愛玩者になりえたのか?
    人類、最後のタブー(?)ペット禁食という、摩訶不思議なヒトへの洞察を通し、人間と文化の深奥をえぐる破天荒な人文書!

    [ 目次 ]
    1章 イヌを食べた人々(ドッグ・イーター)
    2章 ネコを食べた人々(キャット・イーター)
    3章 ペットを愛した人々(ペット・ラヴァー)
    4章 タブーの仕組み
    5章 贈物と祭り
    6章 ペットと消費文明

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  我々は秩序を必要とする、あるいは混沌を恐れる。なぜなら、カオスの中にあっては、上手く生きることができないからである。混沌から秩序を生み出すためには、境界が創られなければならない。だから、創世記で神は光よあれとして光と闇を創り、昼と夜を、天と地を、陸と海を、男と女を、といった様々な二項対立的図式を生み出した。 こうした形式に当てはまらない境界式を人はタブーとし、神聖視し一方で禁忌として恐れ、嫌悪したのである。
     ここで、コスモスとは社会文明のことである。こうした社会秩序を構築し、維持するための重要な文化装置が他ならぬ、「タブー」であったのだ。

  •  タイトルからして本好きには「読んでくれ!」と猛アピールしているとしか思えない(笑)
     まあ元が野生の生物を、人間の都合で飼い慣らして、動物としての社会性価値が上がっているのは何故かという、シンプルな内容。
     ペット社会と言われて問題も多い昨今、なかなか勉強になりました。
     割と軽く考えてたんだけど、新潮だけあってお固い内容^^;
     もうちょっと読者層に合わせてハードル下げてくれないかなあと思わんでもない。
     でもこういう学者が書くような本って大抵、『前提としてこれは知ってますよね?』が多過ぎるのな!
     元々は愛玩具よりももっと具体性を帯びた使命を持っていて、だから主従関係の崩れちゃったワンコなんて昔はいようはずも無く。
     飼えなくなったからって捨てられた動物のドキュメントを見るたびに、『人間て勝手だよなあ』と思います。
     もちろん家族の一員として大事にされている方が大部分ですけどね。
     そういう方にこそ読んで欲しいかも。
     私はペットを持った事がないので、「確かになんで喰わねえんだろー」という人としてどうよ!?という考えで読んだからね(笑)
     ペットに注ぐ愛情の種類が分からない人間には、知識としては良いけれど、あんまり役に立ってないかも・・・。

  • 動物としての本能を忘れ、奇形化するまで品種改良された挙げ句に捨てられて処分されるペットの犬猫と。
    生態系の原則に則り食べられる動物の犬猫は。
    どちらが悲惨でどちらが幸福なのか。
    「家族の一員としてのペット」の概念が染みついた現代人には、一概に答えを出すことは出来ないと思いますが。
    飼うこと食べること、興味本位で買った本でしたが、中々考えさせられる一冊でした。(2009年7月8日読了)

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著者プロフィール

1929年東京生まれ。京都大学仏文学科卒業。同大学院(旧制)修了後、パリ大学高等研究院に留学。元・大手前大学教授、甲南大学名誉教授。著書:『食具』、『もののけ Ⅰ・Ⅱ』(ものと人間の文化史)、『ロマンの誕生』、『現代フランスの文学と思想』、『経済人類学への招待』、『タブーの謎を解く』。訳書:マンデル『カール・マルクス』、マレ『労働者権力』、サーリンズ『人類学と文化記号論』『人類学と文化記号論』、ゴドリエ『人類学の地平と針路』『観念と物質』『贈与の謎』、プィヨン編『経済人類学の現在』、ロダンソン『イスラームと資本主義』、トマス『人間と自然界』、アタリ『所有の歴史』、テスタール『新不平等起源論』ほか。2006年死去。

「2014年 『贈与の謎 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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