- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166609321
作品紹介・あらすじ
金王朝の三代目・金正恩率いる北朝鮮。日米韓の度重なる制止を振り切るように核実験やミサイル発射を断行し、国際社会の秩序を乱すばかりでなく、経済制裁のあおりを受けて国内経済は疲弊し、それまでの配給制度が崩壊した後は地方を中心に餓死者も続出し、北朝鮮市民は日々のコメにも事欠く窮状を招いています。 こうした国内外の非難と窮乏をよそに、権力中枢では内紛、暗闘、そして独裁が止みません。いったい、この国の真の正体は、いずこにあるのでしょうか。 その真相に迫るのが本書。5年に及んだ朝日新聞ソウル特派員時代の取材を基に、金正日から金正恩への権力世襲の内実と、無手勝流の軍拡大と外交交渉の裏側を抉り出します。大宅賞を受賞したジャーナリストの船橋洋一さんも「インテリジェンス報道の最高峰」と絶賛しています。 7月27日の朝鮮戦争休戦協定60周年、9月9日の建国65周年を目前に控えて、その一挙一動に注目が集まる北朝鮮を知る上で、必読の1冊です。【目次より】第1章 金正日の病状悪化と死 第2章 新指導者、金正恩第3章 北朝鮮の外交力 第4章 先細りする対外関係第5章 核とミサイル 第6章 北朝鮮の軍事を巡る攻防 第7章 止まらない経済破綻
感想・レビュー・書評
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【この国の実情を知らずには、日本人は安心して眠れない】世襲劇の裏で起きた権力闘争、潜行する地下経済を掌握できない党中央、綱渡りの軍事・外交交渉。ソウル特派員だから知りえた真の姿。
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金正日ほど自らの死を恐れた人はいなかった。
ロシアの材木伐採場には北朝鮮からの労働者がたくさん働いているが、お金はもらえてない。
北朝鮮のPCは旧式で古いから、最新のマルウェアにはやられない。 -
出版の2013年以前の数年間を中心に、北朝鮮の内部事情及び関係国の動きを書いている。参考文献リストはないが、著者の取材によるものだろう。学術的ではなく読みやすい一方で、妙な主観は入っておらず丁寧な取材を感じさせる。各章に通じるのが、金正日体制時代の独裁と政府各部門の縦割り、金正恩自身及び指導体制の未成熟さ、人心の指導者層からの離反、関係国間又は各国内での足並みの悪さ、である。
同時に筆者は、北朝鮮については知ったかぶりではなく「取材すればするほど分からないことが増える」と率直に述べているが、正直な感想だろうし好感が持てる。本書では張成沢の差し金による李英鎬や柳敬の粛清が記されているが、脱稿後わずか半年での張成沢自身の処刑は到底予想できなかっただろうからだ。
また北朝鮮の役人について、金正日の決裁を待って深夜まで待機する苦労、ミサイル発射の日が祭事で役所に缶詰だと言ったら妻に怒られた、彼らも現在の体制や政策の問題点を知っているが抵抗しても無駄に終わることも理解しており必死に生きているだけ、といった記述を読むと、体制とは別の血の通った個人の人間像が見えてくるようだ。 -
ここのところ、金正恩体制を学術的に読み解く「北朝鮮で何が起きているのか: 金正恩体制の実相」、金正恩体制下の北朝鮮をゴシップ的に書いた「金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 」と、毛色の違う北朝鮮関連の新書を連続して読んできた。
そして朝日新聞の記者が書いた同書であるが、結論から言えば一番面白いものだった。学術的に分析できるような情報ではなくとも、何度も北朝鮮に渡って直接政治の現場を見たり、他国で活動する北朝鮮人を観察している記者としての豊富な経験に裏付けされた情報が提示されており、目新しく、また北朝鮮の「素顔」を垣間見るような感覚だ。
北朝鮮のみでなく、北朝鮮をめぐる関係諸国の高官らが北朝鮮をどのように考えているか、などという広い視野に接することができる良書であった。今後も著者の本に注目していきたい。 -
北朝鮮の、なぜ今になったかと、今何が起こっているかが良く判る。先ずは文章が読み易い。
ソースが全部書かれてる訳ではないのだが、新書だし。
迫力ある。 -
既知の事が多かったけど、改めて酷い国だと思いました。ただ、やはり様々な日本と北朝鮮の問題解決には国交正常化させた方が良いと個人的に思います。
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これが国家の全貌だ!かはともかく、認められる北朝鮮関連の情報の、基づく事実の収集源や方法、推認過程などが分かるので、すっと読める。
こんな題の本だけど私が見付けて買った。夫には既知のことも多いのかもしれないけど私には新情報が多かった。金正恩リスク、ロシアとの関係、藤本健二への見方など。対日米中韓等との外交の話など面白かった。