新装版 最後の将軍 徳川慶喜 (文春文庫) (文春文庫 し 1-65)

著者 :
  • 文藝春秋
3.59
  • (180)
  • (401)
  • (538)
  • (52)
  • (7)
本棚登録 : 3306
感想 : 294
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105655

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 青天を衝け で徳川慶喜に興味を持ったので読んでみました。
    多芸多才、そして雄弁。
    それゆえに生まれた家柄もあって周囲にあらぬ誤解を持たれた孤高の将軍という印象を受けた。

  • 久しぶりに司馬遼太郎の本を読む。大学の頃「竜馬がゆく」から始まり司馬遼太郎の本に凝ったことがある。今から考えるとあの頃は勉強もせず時間を持て余してたから結構読書にはまってた。自分にとっては司馬遼太郎の小説はやはり明治維新あたりが一番好き。
    徳川慶喜は当時の開国か攘夷かの混乱の時代に責任の重い将軍などにはなりたくなかっただろうなぁと思うわ。
    〜また司馬遼太郎の歴史物を読ん始めていこうと思う。

  • 2021年、25冊目です。

  • 司馬遼太郎をして
    「書き足りなかった」と言わしめた
    徳川慶喜という天才!
    “大政奉還”という偉業も
    彼には容易い選択であった、
    そう思わせる程の生き様。
    天才を理解しようなんて
    もはや無謀と思わせる…。
    2021年、旬な、もうひとりの主人公!

  • 知略があっても胆力が無ければ、乱世のリーダーとしては不適格で、その典型人だった。一方将軍にも関わらず、経緯や背景上、味方が少なかったという立場は不運でもあった。最後は逃げの一手に走ったものの、そんな彼が君主でなければ日本はどのような道を辿ったかと興味は尽きない。基本的に魅力ある人物としてではなく、はからずも国運の中心に投げ込まれ、歴史を回天させる狂言回しの様に描かれている。その姿勢はしかし一貫して受動的でもあり無責任。その意味では、悪い意味での近代日本のリーダーの先駆けという評価も出来るだろう。

  • 徳川幕府最後の将軍、徳川慶喜の物語。

    著者あとがきで「慶喜は政治家である。政治家を小説の主人公にして成功した例はわずかの例しかない。」として、その難しさを書いています。
    読んでいても、慶喜という何事にも器用な人物が時代の大波に飲み込まれそうになりながらも、ある種淡々として生きた感が伝わってはきましたが、何故か激動の人生という感じはあまり伝わってきませんでした。
    大政奉還という大事を成し遂げた人物なんですが。

    今やっている「青天を衝け」とこの小説で出てくる人物が結構重なっていて、渋沢栄一も所々で出てくるし、そういうところは歴史の勉強という点では良かったですね。
    松平春嶽と松平容保の区別もついたしw

  • 第十五代将軍徳川慶喜の生い立ちに迫る小説。前提として慶喜は非常に頭の回転が早く、一度決めると誰が何と言おうとも意見を変えない頑固さを持っていた。印象に残ったエピソードは2つ。1つ目は徳川家相続直後の長州討伐について。慶喜は将軍職に就くことを拒んでいた。しかし、最終的には半ば強引に将軍にさせられてしまう。しかし、実際に将軍になってみると、自信も予想だにしない喜び・責任を感じてしまった。将軍になった手前、何か成果をあげたい。そこで思いついたのが、長州討伐であった。自ら「大討込」と題し、天皇から節刀されるところまでいったが、味方の戦況が芳しくないとわかると、討伐計画を中止してしまう。負けると分かっている戦をするほどには、頭は悪く出来ていなかった。また、理解者は自分のみでも良いという、慶喜の胆力の強さの表れでもあった。
    2つ目は、大政奉還について。慶喜にとって政権は、剣の刃の上を渡るが如く仕事であり、出来れば投げ出したいものであった。そのため、大政奉還の内容が慶喜の耳に入ったとき、「そうか」と短く発するだけで、瞳にも嬉しさの色がやどっていたという。一方で、大政奉還成就の一方が企画者の坂本龍馬に伝わったとき、慶喜の心情を慮り、「この将軍のために命を賭す」とまで言った。同じ事実でも、視点が違えば見え方も変わる一例。

  • 俊英であるがゆえに、周りが見えすぎ、自身の歴史的評価として賊臣とならないように立ち回ってしまったか。司馬作品には幕末モノがいくつかあるので、読み比べてみたい。

  • 日本史上最後の征夷大将軍、徳川慶喜の生涯を描いた作品。慶喜といえば会津や新選組ら幕臣を捨てて逃げ出したという悪い印象が強かったが、全く別の一面を知ることが出来た。

    時勢の先の先を見据える天才であるために封建制の限界が見えており、薩摩の陰謀に押されながらも配下の暴発を極力押さえ、幕府を終焉に導いていく手腕は見事。正にこのために天に遣わされた人のように感じた。

    在職中は理解されずに孤立し、敵味方問わず嫌われ続けたが、最期は多くの人に見送られて終わる。損な役回りを背負わされ続けた一生が、少しだけ報われた思いがした。

  • 「竜馬がゆく」で大政奉還後慶喜を想い龍馬が涙したシーンが印象的で、慶喜視点の話を知りたくて手に取った本。
    竜馬がゆくで見た幕末の志士たちの熱さとは大きく違った温度感でそれがまた面白かった。

    常に客観的で自分の感情は表に出さず。
    賢い人だからこそ未来を見据えながら冷静でいられたのではないかな。

    大政奉還はそんな慶喜が最後の将軍だったからこそ実現できたことだろうなと思う。

全294件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

司馬遼太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×