- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167169411
感想・レビュー・書評
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この方の作品を初めて読み、こういう作品?文体? もあるんだと圧倒された。
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利根川うなぎさんこの方の作品を初めて読み、こういう作品、文体?もあるんだと圧倒された。この方の作品を初めて読み、こういう作品、文体?もあるんだと圧倒された。2022/12/07
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ここまで詳細に調べている著者に脱帽。もうそろそろ関東大震災クラスの震災が関東地方を襲うかも...。先人たちの英知が現代に活かされることを渇望。
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関東大震災で朝鮮人が毒をばらまいているとかそういう噂で虐殺された、ということを漠然と知っている人は多いだろうが、なぜそれが起きたのか、どのくらいの規模でどういうスピードで起きたのか、というのは詳しく調べたこともなかった。本書で語られるその事実は正に戦慄もので、礼儀正しく優しいはずの日本人が特定の条件下では、根拠のない流言飛語によっていかに強い群集心理を育み、そして残虐になりうるのかをまざまざと見せつける。心理的にこの事象を解説することは十分可能だが、その可能性が現実になり得た経験をこの国が持っているのは9/1が来るたびに思い返してもいいのではないか。それ以外に、地震学者の対立とその熱意、あるべき都市計画など本書で考えさせられることは多い。
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貴重な作品ですな、これは。
阪神淡路以降の幾つかの大地震を経験してきた現在から見ても火災含めた都市直下型地震の怖ろしさは十二分に教訓として生かさなくては。
ただ地震そのものは自然摂理としてある程度諦めの境地も必要かと思う。一方、略奪・朝鮮人虐殺・大杉事件等の非人道的振る舞いは、まだ100年程度前のこの国での出来事だと肝に銘じるべきかと。これらの話はほんと酷過ぎるが、質としては同じ状況が実は今も目に見えて存在し続けることをこの国に生きる人間として明確に認識すべきかと思われ。 -
よくここまで詳しく書けたものだと驚く。
情報量の多さ。。すごい。
状況が壮絶すぎて想像が追いつかないが、映画化してほしくはない。
グロくなりすぎってのもあるけど
読んで、それぞれの地元や地域ならどうするかを
考えたり想像したりするのがいいと思う
東日本大震災と比べてしまったが
こちらは本当に火災の怖さ。
読んでるときに都内を歩いていて、
「ここは関東大震災のときどうだったか」に
思いを巡らすクセがついてしまった
奇跡的に燃えずにすんだ地域の好事例が
今の世代に伝えられているか心配
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・「なにがなんでも、こんな姿をお天道様にさらしていては可哀相だ」92
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1923年9月1日に発生した関東大震災の発生~復興への動き出しまでを人々の体験談んを元に記したルポの様な作品。
大地震の怖さは揺れによる家屋の倒壊に伴う圧死や津波だけでなく、火災・人心・その後の疫病など広く存在する事を認識した。都市インフラ等現在と異なる点も多いが、歴史から震災の脅威を知る事ができる良書。
・震災での死者数は圧死ではなく、間もなく発生した火災によるものが最多という。
当時は木造建築中心、路面の狭さに加え家財を持ち出して避難する人が多く、家財により消防が行き届かず、また家財に火が燃え移り被害を拡大させた。
・震災の被害により電報・新聞その他通信手段が失われた中、人々の間では流言が飛び交い、特に在日朝鮮人が井戸に毒を入れたという事実と異なる噂は新聞各社も事実として報じ、民間の自警団が組織され朝鮮人を虐殺する等の悲劇も生まれた。
・10万人を超える遺体処理は難航し、また居住地を失った人々はバラックに住まざるを得ず、バラックは不衛生だった事から疫病が流行った。 -
本書、かねてより積ん読していたが、「典獄と934人のメロス」を読む前に関東大震災を予習しておこうとやっと手に取った。
強烈だったのは、本所の陸軍省被服厰跡(二万四百三十坪)に逃げ込んだ避難者約四万人を襲った大旋風(約四万人のうち焼死者・窒息死者約三万八千人を出した地獄絵は想像を絶する)。
そして、(当時の日本人一般が潜在的に有していた朝鮮人に対する一種の罪の意識を背景とした)朝鮮人来襲の流言が瞬く間に関東一円に広がり、各地に自警団が組織され、狂気に駆られて行われた虐殺の数々。吐き気を催すほどの蛮行だが、極限状態に置かれた人間集団がいともたやすく暴走してしまうことを示していて背筋が寒くなる。興奮から覚めて冷静になった自警団の人々は、自分の行いをどう振り替えるのだろうか?? また、社会からはどう罰せられたのだろうか??
本書に記されている貴重な記録の数々、もっと前に読んでおくべきだったなあ。 -
関東大震災でおきた大小様々なトラブルを思うと、東日本大震災に至る100年弱で日本が地震や災害に対して強くなったこと、そして民度の上昇を感じざるを得ない。もちろん、それでも犠牲者は出てしまうのだが・・・。
荷物経由での火事の広がりは本当に怖いと感じた次第。陸軍被服本廠の件や吉原の件の描写は読んでいてきつかった。このあたりの文章のうまさは吉村さんだな。