新装版 関東大震災 (文春文庫) (文春文庫 よ 1-41)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167169411

感想・レビュー・書評

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  • 三陸海岸大津波を読んだのでついでにこちらも。
    東京、神奈川で甚大な被害をもたらした関東大震災。
    今、自分が住んでいる場所でも被害は相当だったよう。
    ただし、三陸海岸の大地震の被害は津波による影響が大きかったが、関東大震災は火災の影響が大きかったようだ。
    仮に関東大震災級の地震が来ても、被害は昔ほどにはならないような気がする。

  • 映画「2012」を見て、この「関東大震災」を読んだら、たとえ一時的にせよ絶対防災意識がかなり高まると思います。
    books177

  • 1923年9月1日に発生した関東大震災に関して記した記録文学。

    先の『三陸地震大津波』が、主に、津波被害の遭難者から聞き取った事柄を、比較的淡々と記した形態を採っているのに対し、こちらの『関東大震災』は、地震の記録の他、関東大震災をめぐる地震学者の確執なども記してあり、より“文学”と言う形に近い。また、地震の記録そのものも、遭難者からの直接の聞き取りというよりは、公式記録+αに拠っているような気がします。

    内容的には、先の『三陸地震大津波』が津波被害についての啓蒙書であり、こちらの『関東大震災』が地震火災についての啓蒙書と言えるような気がします。著者の吉村昭がまだ存命であったならば、この度の東日本大震災の事は、どの様に記録を残していくのか、非常に気になります。

  • 〝震災の大災害は、歴史的に考えれば前例が繰り返されたにすぎず、それは人間の愚かしさから発している〟
    〝過去の人間が経験したことを軽視したことが災害を大きくした原因〟

    ↑これ、大正時代に言われた考察です。100年経ってもそのまんま使えますね・・・。
    人間の業と欲深さが災害を大きくするんだな、というのをヒシヒシ感じました。避難するときは身軽に!流言に惑わされぬよう!しっかり刻んでおこう。

  • 東日本大震災からちょうど1年たった日に読み始めた一冊。

    地震の揺れによる建築物倒壊や、津波による自然からの被害よりも、
    人々が携行する荷物や、町の構造によって広まった火災等、
    人災的なものによる被害が大きかった事が印象的でした。

    「朝鮮人や社会主義者が蜂起する」という流言によって
    引き起こされた数々の殺害事件など読んで、
    昨年の震災時にも「放射能の雨が降る」といったような
    風説が流布されていた事を思い出し、
    不安に駆られた集団の行動は情報化社会に於いても
    変わらないんだと思いました。

    関東大震災という単語は知っていましたが、
    近代以降の日本で10万人以上の被害者を出した災害が
    あったという事はこの本を読むまで知りませんでした。

    また、関東大震災での被害データが米軍によって
    東京大空襲へ利用されていたとは、、、

  • 読みたいんだけど、本を開くのが辛い・・・むしろ”コワい”本でした。気分が乗らなかったりして読了に1週間はかかったかな。でも、大地震については今世紀に生きるボクらは目を背けてはいられない事実であると思います。「歴史に学ぶ」と言いますが、「歴史は繰りかえ」してしまうんだなと言うのが正直な感想。それと同時に、一番コワいのは【災害の起こったことによる被害】。二番目に、いや一番と並んで恐ろしいのが【ありもしないウワサの流布】なんだと。まさに”今”は、吉村氏が遺した我々へのメッセージを読むべき時なのではないでしょうか

  • 関東大震災においての地震発生前から地震発生、被害状況、その後の社会情勢、復興に至るまで克明に記されている。首都圏の地震発生が現実味を帯びている今こそ教訓の書である。

  • 緻密な取材に基づいた記録文学。
    三陸海岸大津波に感動し、引き続き読みました。津波と同様に地震そのものの被害より、火災が悲惨な状況をもたらしたという事実に、背筋が寒くなる思いだった。
    過去の震災から学ぶことが重要なことはわかっていても、同じ過ちを繰り返すのが人であり、津波の惨事を避けられなかったように、70%と言われる首都直下型地震でも、大火災を発生させることになるのだろうか。
    科学者の警告も、時間という魔物にかどわかされて、誰も本気にしなかったという構図は、関東大震災でも東日本大震災でも同じであった。
    これが人間の性なのか、それとも、私たちは克服できるの。今、まさに、試されようとしているのではないだろうか。
    生きるために、今、読みたい本である。

  • 関東大震災のノンフィクション。東日本大震災と重なる。これを読むと国の対応などが克明に描かれており、人間は同じことを繰り返しているということが分かる。立ち上がるためのヒントというよりも、同じ過ちを繰り返さないためにどうするか、考えさせられた。

  • かつて首都圏を襲った大震災。こう云う時だからこそ歴史に学んでみたいと思った。人々の不安心理がデマを引き起こして拡散していく様は、道具はネットに代わった今でも何ら変わらないと感じた。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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