新装版 あ・うん (文春文庫) (文春文庫 む 1-20)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167277208

感想・レビュー・書評

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  • あ、うんの関係・・・は夫婦かと思ったら違いました。
    昭和感がすごくいいです。

  • みな本当のことはいわないで生きている。「おかしな形にはおかしな形なりに均衡があって、それがみんなにとってしあわせな形ということも、あるんじゃないかなあ」。
    正論ばっかり声高に主張して突っかかって、しんどくなっている自分の未熟さが嫌になる。

  • 昭和を舞台に軽やかで静かな三角関係と友情を描いた作品。

    この物語の主軸は3人になる。
    男前で懐が深い門倉修造。
    下町男児の気性を持つ水田仙吉と慎ましく真面目な仙吉の妻たみ。

    この3人の三角関係を程よく穏やかな語り口で、昭和の時代背景とともに描いている。
    男子の旧く固い友情と、門倉が恋い焦がれるたみへの想い。
    昼ドラのような激情で泥臭い印象は決して与えないまるでプラトニックな愛の物語。

    …と思ったら、娘のさとこの恋模様や
    一癖ある仙吉の父初太郎の夢と死、亡くなったあとに心動かされた仙吉とその後に登場する弟との交流。
    門倉の女性遍歴などなど、様々な物語が折り重なっている。
    昭和のとある1つの家庭を描いた人情話のようにも見える。

    文章は男子の友情の心意を深く説いている荒々しさがあるのに、男女の愛を描いている文章は繊細で美しい。
    両極端なのに全体がまとまっていて向田作品初心者の私にはとても読みやすかった。
    いやらしさを感じない艶かしい男女のそれぞれの想いは美しい。

    波乱に満ちた昭和という時代を舞台に、
    その時代の背景と人物たちの艶めかしく美しい三角関係を描いた作品。

  • 昭和初期の山の手を舞台とした、製薬会社のサラリーマンの水田仙吉と親友の実業家門倉修造、門倉に思われる仙吉の妻たみ、仙吉夫婦の一人娘さと子、門倉の愛を得られぬ妻の君子を中心とした、暗い昭和の支那事変前夜の庶民の暮らしを描いている。

    タイトルの「あ・うん」は、仙吉の父初太郎がこの二人をさして「神社を守っている狛犬の阿(あ)と吽(うん)だ」と評したことが作品の中で示されている。

    門倉さんかっこつけだけどかっこいいな~。2人の友情が大切に続いてほしいと思うから、たみが好きでもなびかない一本気なとこがすごくよかった。

  • 最近、現代作家ばかり読んでいたので忘れていたけれど、この本を読んでどうして私があまり現代作家の本を読まなかったかを思い出した気がする。
    結局のところ、行間に流れる空気が、現代作家のものは想像がつく、というか自分の生きている時間と同じだけれど、近代以降現代未満の作家のものは別の次元だから、一種憧れを感じるんだな、と。
    まあ、向田邦子はまだ現代の部類に入るかもしれないが、やはり戦中派とも呼べる年代のものなので、私が知っている現代ではないから。

  • この作品は、こんなゆるいわたしでも奥歯に物が詰まったように思えた。
    メトロノームが行ったり来たり、ときにもどかいほどゆっくり。
    今の時代は、意外と白黒求め過ぎているのかもしれない。
    いい加減でいいこともたくさんあるのよと言われているようだった。

    仙吉の妻と、門倉の、微妙な関係・・・。
    これはなんだろうなぁぁ、罪なような罪でないような。
    秘めた想いに自分だけが酔っているというか、
    秘めながらそれも楽しんでいる。
    一線を超えず、昔のひとは賢かったね。
    ギリギリな感じがよりいいのかな~。
    いたずらに艶っぽいや。

  • もっと何か理由があるのではないか、などと探りすぎると、「え、終わり??」となるかも。あうんよりも、あの人が好きこの人が好きが目立つような?複雑な心情や描写は読んでいて楽しかった。

  • 向田邦子。もう1冊。ちょっと深く淡々としすぎ。

  • 小説は昭和12年の日中戦争の頃の話。
    心に思ったことをすぐ言葉にしてツイートするのが流行りの昨今では
    それぞれの思いを口に出さず秘めたまま暮してしている主人公たちは、もはや化石と呼ばれてしまうのか?
    いや、むしろプラトニックこそ最先端。

  • 29歳現在では、分かり切れない内容。奥が深い、というか、人生とはこういうものなんだ、と思う。
    向田邦子のすごいところは、何回も読み返したくなるところ☆
    宮本輝とはまた違った、「人間臭さ」がにじみ出ている

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著者プロフィール

向田邦子(むこうだ・くにこ)
1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2021年 『向田邦子シナリオ集 昭和の人間ドラマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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