ヒートアイランド (文春文庫 か 30-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167686017

感想・レビュー・書評

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  • アキとカオルの渋谷カラーギャングの物語。非合法カジノから奪われたプロの強盗から奪った金をめぐって、攻防が繰り広げられる。みごと自分達のチームを二人は守る。最後にプロの強盗団から誘いを受けるアキだった。

  • ヤクザが絡むハードボイルドは、たまに読むが、どうも実感がわかないことが多い。大体が、ヤクザ同士の抗争だったり、そこに一般人が紛れ込んでしまったり、およそ想像が追い付かない。
    本作では、ヤクザからチーマー、それらを束ねる集団、プロの強盗集団が金を巡って攻防する手に汗をにぎる本格ハードボイルド小説だ。一般人が絡まないということで、世界が明確になり、それぞれの微妙な立場の変化とそこに生まれるすきを突くなどの頭脳心理戦が繰り広げられる舞台がきれいに存在している。
    なかなか読みごたえのある一冊。
    「君たちに明日はない」シリーズとはまた一味違う垣根涼介の世界を見ることができた。

  • シリーズ最新刊を読みかけたら、あまり覚えていないことに気付き再読。
    凝縮された若いエネルギーが今の年齢では少ししんどくて、初読時の方が楽しめたかな。

  • 渋谷を舞台にしたストリートギャング(そんなんいるのか?)と、プロの泥棒と、なんちゃら組のお話。全員悪いんだけど、勧善懲悪てきに描かれていて、感情移入の先がわかりやすい。状況説明も必要最低限なので読みやすい。読みやすいけど、主要人物の過去をタイミングよく入れてるから薄っぺらくもならず、無理なく次作へ誘導される。

  • 登場人物、多くなく、物語の筋に必要な最低限の人数を揃えた感じ。読み終わってみたら、そう感じた。

    前半部で舞台を整え、後半部で一気に主題に行く。
    すべてはクライマックスにおける三つ巴(四つ巴?)の立ち回りのために、前半部が構成されたように思える。そういう意味では、一種の群像劇のようにも見えた。

    だからこそ、舞台が整った時、アキのひらめきの瞬間から描かれる後半のスピーディさは、この本の最大の魅力だと思う。

  • 2012/5/30

  • 「ヒートアイランド」「ギャングスターレッスン」「サウダージ」「クレイジーヘブン」。シリーズを一気に読了。
    渋谷の不良少年達を束ね、「雅」なるチームのヘッドであるアキ。
    彼とサブリーダーのカオルらは、頭脳と腕力を武器に「ファイトパーティー」なるイベントを企画し、運営していた。だが、ある事件が起こり、彼らは二つの暴力団
    、そして二人組のある男達に追われることに。アキは知恵を働かせ、4つ巴の死闘となる作戦を実行する。
    「ギャングスター〜」では、何とアキは敵であった二人組の男達・桃井と柿沢の誘いを受け、裏金強奪の仕事に就くことに。無敵で恐い物無し、冷静沈着だったアキのイメージが一変。桃井と柿沢に完全に下っ端扱いされ、命をかけた危険なレッスンに四苦八苦する。アキが段々かわいい、とも思えてくる。
    「サウダージ」では、柿沢の過去の仕事仲間が主人公に。彼―耕一は、コロンビア人の気性の荒い彼女―DDとちゃらちゃら街を徘徊し、自分の過去を呪い、何かと因縁を付け、暴力を振りかざすいけ好かない男・・・と思っていたのだが、後半、人間らしい部分がどんどん見えてくる。不思議と愛着がわいてくる。
    DDはとんでもなく破天荒でヒステリックな女性なのだが、耕一への一途すぎる愛情が切なく、泣ける程だ。キャラクターの存在感はピカイチ。
    そして、アキの可愛らしい恋模様も描かれる。アキの不器用さが笑える。ラストは切ないけど。。
    最新巻では、待ちに待った「雅」の再集結。カオルの東大での穏やかな学校生活も描かれる。クラスメイトの慎一郎という、久々の「表社会」のキャラクターがキーパーソンで、またカオルとアキの、慎一郎から見る視点も新鮮で面白い。

    ハードボイルド系の小説は好きだ。
    このシリーズは、アキや桃井始め、それぞれのキャラクターが魅力的。自分にはまず接点のない世界の人々で、共感も出来ないはずなのに、気付いたら人間味ある彼らの気持ちになって事件を見守る自分がいる。
    作者の緻密で莫大な情報量にも感服する。文中に、南米などの様々な国が舞台となるシーンがいくつかあるのだが、その描写も実にリアル。調べてみると、旅行代理店での添乗業務の経験があるらしく、それが元になっているんじゃないかと。
    しかし、余計な描写も実に細かい。性描写や延々と続くクルマの知識。うん。私は女子だしそこまでクルマに興味無いので、飛ばしてます。。

    垣根さんの本はあと二冊借りてる。その後は図書館にある彼の全ての本を読んでみようと思う。やー面白かったね。

  • ストリートギャングと、ヤクザ、プロの強盗がからむ現ナマ争奪戦。
    この設定がまたハラハラしてたまらん!
    主人公のアキがかっこいい(*^^*)
    シリーズでこれから読もうと思います

  • 雅のアキとカオル、ポリシーを持った泥棒の柿沢と桃井、良いキャラクターだと思う。ストーリーは無理もあったが、面白かった。続きを読むことにしよう。

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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