世界のすべての七月 (文春文庫 オ 1-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (570ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167705732

感想・レビュー・書評

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  • 私より一世代上のアメリカに住む若者が大学卒業31年後の2000年7月8日に催した同窓会での一人ひとりの物語を集めたクロニクル集。日本でもアメリカでもベビーブーマーの世代が50歳となって迎える日々は、それでもこの世代の明るさ(あるいは能天気さ)を宿している。ある者はこの日にそれまでの幸せを失い、ある者はもしかしたらこの日から幸せが始まる。それぞれが歴史に名を残すことはない平凡な毎日ではあるが、子細に見ればユニークなそれまでのライフイベントを持っている。1960年代後半に青年期を迎え、市井に生きた人々が振り返るとこんな話になるのかなと思わせる展開が、私にはとても気持ちよく読めた。レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」は読みにくいなあと嘆息する出来だったが、この本はよく紹介してもらえたなと村上春樹に感謝したい。

  • 初めて村上春樹の翻訳を読んだ。彼の作品がアメリカ文学から相当の影響を受けてることが分かった。

  • 春樹翻訳だからと期待したせいもあってか
    頑張って読んでみたけど、途中で挫折。
    読み易くはあるんだけど、中身面白くないよ....。

    グデグテの人間関係とその背景を
    ダラダラと文章にされてもなー。

  • 1969年の若者達が、2000年に同窓会で「かつての若者達」と出会うことから始まる群像劇。

    それぞれが、それぞれの形で傷つき、くたびれている。
    その姿が哀しくも、どこか可笑しく感じた。

    皆んなこうして歳をとって、死んでいくんだろうなぁ。
    そしてその子供たちも、そのまた子供たちも…。

  • 私にとっては大先輩にあたる人物たちの、様々な人生。
    なのに、すべての登場人物が自分の中にいるように感じる。

    人にはどうしようもないところがある。
    危険だとわかっていても選んでしまったり(その後ちゃんと失敗する)、別れてから相手を本当に愛してしまったり、人に知られてもあまり誇れないことをかなりしてしまっている、まさに「恥の多い人生」である(私の場合)。ご丁寧にそのどうしようもない経過を、大切な友人に逐一報告していたりもする。

    この物語に出てくる大人たちは、そんな人生の、もっと汚くて剥き出しな部分まで大胆にさらけ出してくれる。
    元牧師のポーレットの言葉が、そんな彼らの人生の出来事をより人間らしく色濃く印象づけている。
    「私ちちがイエスと言ったとき…最終的な決断を私たちが下したとき。…人生というのはそういうことによって初めて人生らしくなるのよ。」
    彼女はさらに続けている。
    「それ以外の記憶なんか、ほとんど全部どこかに消えちゃう…まるで自分の人生を、一度も使わなかったみたい」

    誰かのものではなく自分の人生であること。
    たとえ最悪な状況に陥っても、それが人生の味付けになることもある。
    この本を開く時間は気のおけない友達とどうしようもない話をしているようで、読了した時淋しさを感じたくらいだった。
    村上さんの読み進めやすい訳もとても良かったが、最大の魅力は村上さんもあとがきで書いてみえるように、「欠点が逆に誠実さを生み出している」この文章だと思う。
    自分が欠点だらけなので、というわけではないけれど、年齢を重ねるにつれて、欠点とみえる部分を持つ人(特にそんな男性)にたまらない魅力を感じるようになっている。
    10年後に読んだら、今よりさらに登場人物たちを愛しいと感じるかもしれないと思っている。

  • ほろ苦い。52歳なんて永遠の先みたいに思えたけど、きっとすぐ。

  • 宇野常寛「リトルピープルの時代」で言及されていたので気にしていたのですがしばらく積読状態でしたが、たまたまページを開いたら止まらない止まらない。こちらが登場人物達の世代とシンクロするように同窓会、同期会多発ジェネレーションに入っているからなのか…会社でも社会でももうちょいなのか、もうそろそろなのか自分の来し方を見つめる機会が増えているからなのか…もちろん若者が世界を変えることを信じた1969年のLOVE&PEACE世代のハチャメチぶりには圧倒されます。登場人物達は世界は変わらず、自分達が変わったのだの嘆息しますが確実に彼らは社会を変えてきたと思います。

  • 途中まで読んで放っておいた本。今読むと登場人物達の心情にかなりシンパシーを感じられた。とはいえ、文化の違いか育った時代や社会制度の違いか、十分に理解はできない。そんな時代やそんな時代を過ごしてきた人たちはこんな風になるのか。へ~。って感じ。

  • とりとめもなく延々と続く感じでちょっと飽きましたかな、最後は。幾つかはおっ、と思わせるんだけれども。
    いかにもアメリカっぽいお話満載、日本の土壌では絶対に生まれない作品であることだけは間違いない。例えば不倫なんて行為には徹底的な攻撃が待ち構えておりますからな。
    それにしてもreunionってそんなに出席したいもんなんですかね、設定そのものへの個人的な疑問が最初から最後まで本書に没頭できなかった原因かもしれない、、、いや花粉症だな、やはり。

  • なんと、読みにくい。あらすじを見て気になったので買ってみたけど、正直うーん……翻訳の春樹にその文章力をこき下ろされているくらいなので。それでも魅力ある小説と春樹は言うが私には合わなかったかな。オブライエンはしばらくいいかな。

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著者プロフィール

(Tim O'Brien)1946年ミネソタ州生まれ。マカレスター大学政治学部卒業後、1969年から1年間ベトナムで従軍。除隊後ハーヴァード大学大学院博士課程で政治学を学び、1973年に自らの体験をもとにしたノンフィクション『僕が戦場で死んだら』(中野圭二訳、白水社)を出版。『カチアートを追跡して』(生井英考訳、国書刊行会)で1979年に全米図書賞を受賞した。他の著書に、『ニュークリア・エイジ』(1985年)、『本当の戦争の話をしよう』(1990年)、『世界のすべての七月』(2002年、以上村上春樹訳、文春文庫)、『失踪』(1994年、坂口緑訳、学習研究社)などがある。

「2023年 『戦争に行った父から、愛する息子たちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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