世界のすべての七月 (文春文庫 オ 1-3)

  • 文藝春秋
3.68
  • (22)
  • (56)
  • (37)
  • (8)
  • (3)
本棚登録 : 584
感想 : 53
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (570ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167705732

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ビブリオバトル紹介本!

    【所蔵なし】

  • 「あなたが会う人は誰でも何かを怖れているし、誰かを愛しているし、何かを失った人なのだということを憶えておきなさい」

    以前ネットで目にした引用そのままといった作品。

    50代になったら、人はどんな事を考えて生きているのかなとふと思って買った文庫。ティム・オブライエンの「本当の戦争の話をしよう」も読んだ事無いし、村上春樹ファンという訳でもない。30年ぶりの大学の同窓会でのあれやこれやを描く群像劇、というのもこれといって新鮮ではないし。きっと20代の頃に読んでいたら、つまらなかっただろう。中年の醜さ、みじめさが我慢ならなかっただろう。でも最初はいけ好かなかったキャラクター(特にドロシー)も、エピソードを重ねるうちに全員愛おしくなった。人はみんな複雑だ。しかしそれこそが魅力なのだと、胸をはっていきたい。エイミー、ジャン、マーラの女同士の友情が優しかったな。

  • 大学卒業30周年の同窓会。
    さすがアメリカのそれはスケールが違い、お泊りコース。国土が広いからなあ。大学の夏季休暇中のドミトリーや施設を開放している様子。

    最近の小説の特長で「キャラが立っている」ってのありますよね。登場人物の造詣がキモってやつ。これはその対極で、群像劇です。
    登場人物がワンサと出てくるので作家の技量がナンだと訳がわかんなくなっちゃう・・・で、オブライエンは?・・・・try it yourself!

    アーヴィングとかアップダイクを思い出させる雰囲気です。村上春樹訳で、うまいなーと思ったのは「・・・ああ、うちに帰りたくない、だんぜん帰りたくない。とびっきり帰りたくない」ってとこです ^^

    印象に残ったのは女牧師ポーレットの、記憶に残るのは自分で決断したことで、人生はそういうことによって初めて人生らしくなる、それ以外の日常のたくさんの時間はどこかに消えてしまう、っていうもの。目新しい意見ではないけど挙げている例が深いの ^^;;

  • 【購入】アメリカンなショート・カット。大学の同窓会に集う53歳たちの人生のそれぞれ。面白いけれど、ちょっと冗長か。

  • 中年の同窓会の話。中年の方は読まない方が
    よいのかもしれません。寿命が1日縮まるかも。
    つのだじろうの「恐怖新聞」みたいに。

  • 訳者をして「へたっぴ」と言わしめるほど色々破綻してるけど、良くも悪くもないようなストーリーの断片が折り重なっていて、また読みたくなるような読後感。ただし、おじさんとおばさんの性欲が苦手な人には禁書レベルの低俗さに感じられるかもしれない。

  • なんともいえない後味が残る。それは心地よいものか不快なのか、読んだ直後の今はわからない。
    誰しもある「過去への情動」をこれほどじんわりと感じさせながら、未来への温かな希望を思わせてくれる。とっつきにくいアメリカ群像劇だけれど、なんだか心に残る作品だった。

  • 1969年、アームストロング船長は月面に最初の1歩をしるした。その一方でアメリカは、ヴェトナムで不毛の闘いを続けていた。そんな年のミネアポリス(ミネソタ州)のダートン・ホール大学(架空のものだと思われる)の卒業生が30年ぶりの同窓会に集う。この30年間に彼らが得たものや、勝ち得た成功もけっして小さくはないのだが、すべての男女に、なにがしかの喪失感がつきまとう。53歳という年齢は、もはや不可能ではないものの、全き再出発は、もはや無理であろうから。この作品に巡り合えたのは、ひとえに村上春樹のお陰。感謝!

  • 1969年大学卒業生の同窓会。
    卒業後30年で手に入れたもの、失ったもの。
    転機や挫折、後悔も。全て一人ひとりの人間個人の大切な歴史。
    人生のハッピーエンド。終わるにはまだまだ早い。

  • 初めて読んだ時、第一章の途中でやめた。ニュークリアエイジの作者だったので、あのいかれた調子を期待して手にしたものの、なんだかどうにも、なにを言いたいのかわからなくて。
    それから十年近く本棚に眠らせておいたけれど、あまりの面白さに一気に読んだ。
    歳をとるからこそわかる感覚というものが、どうやらあるみたいだ。

全53件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

(Tim O'Brien)1946年ミネソタ州生まれ。マカレスター大学政治学部卒業後、1969年から1年間ベトナムで従軍。除隊後ハーヴァード大学大学院博士課程で政治学を学び、1973年に自らの体験をもとにしたノンフィクション『僕が戦場で死んだら』(中野圭二訳、白水社)を出版。『カチアートを追跡して』(生井英考訳、国書刊行会)で1979年に全米図書賞を受賞した。他の著書に、『ニュークリア・エイジ』(1985年)、『本当の戦争の話をしよう』(1990年)、『世界のすべての七月』(2002年、以上村上春樹訳、文春文庫)、『失踪』(1994年、坂口緑訳、学習研究社)などがある。

「2023年 『戦争に行った父から、愛する息子たちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ティム・オブライエンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×