白鳥異伝

著者 :
  • 徳間書店
4.16
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  • Amazon.co.jp ・本 (598ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198605407

感想・レビュー・書評

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  • 勾玉シリーズ第二巻。双子のように育った透子と小俱那の物語。一気読み間違いなし。あっという間に読んでしまった。壮大なファンタジーだ。そして読み終わった時に、あれこれは、少女マンガの世界ではないかと気づいた。だから何か問題があるわけではない。大変面白かった。

  •  とっても長い話で(笑)色々感想はありますが、いちばん言いたいのは、私にとってはこれに大人になる前に出会えてよかったな。そう感じました。なぜかはよく分かりません。もちろん年齢関係なくお薦めです。
     「勾玉」をめぐる3部作シリーズの2作目、日本書紀ヤマトタケル伝説を元にしたファンタジーです。異国っぽい雰囲気が魅力のファンタジーもあるけど、これは純日本の冒険ファンタジーでとても繊細かつ大胆でした。少女は郷を焼き滅ぼされたことで、姉弟同然の大好き「だった」少年を殺しに、必要な勾玉を集めに旅立ちます。再会後の2人が行き着く運命は、戦も巻き込み予想外の連続でした。
     この本の魅力は、私たちにとって当たり前の自然な感情の心理描写や考えで溢れているところです。覚悟は決めていても普通に死ぬのは怖いし、不安・悲しみでいっぱいで、憎しみや哀しみ、諦め、自己嫌悪、後悔…。ネガティブな言葉たちですが、不思議なのは登場人物たち 結構こういうこと考えてるのに、読んでいる方は暗い気持ちになりません。むしろ感動しました。たぶん、彼らは自分の問題に本気で立ち向かって一生懸命戦っているからこその感情だからかなと思います。本当にすごいですね。蔵書 総・図書・国際(第3書庫)913.6Og       HNざっそう

  • 空色勾玉に続く古代ファンタジー!
    日本史がファンタジーに
    ファンタジーの底力を堪能した。

  • 201805

  • 4-19-860540-8 598p 1997・3・5 3刷

  • 勾玉シリーズで一番好きなのが、この『白鳥異伝』でした。
    小倶那と遠子の関係が、恋も覚束ない頃からずっとお互いを唯一としてきたところが、そして、その二人がきちんと幸せになれたことが、羨ましくて、嬉しくて、子どもの頃は何度も何度も読み直していました。
    倭建命の逸話、白い鳥が陵から飛び立つのを、初めて古事記を読んだ時から幼心に音もなく寂しく感じられていたのですが、この本一冊で、それがどこか報われたような救われたような、そんな心地になったのを、今でも覚えています。

  • エンタメ小説として面白く、とくに10代の読むジュブナイル小説として、とてもよい

    ●なぜジュブナイルとしてよいか
    自分の背負うものはなにか、自分はなにを求めるのか、ということ(〈運命〉と〈意志〉の問題系)を、ともに、前向きにかんがえさせてくれる物語
    あとだいじ。ちょっと背伸びした兄貴的存在の大碓(p65「おぬしのもっていき方がまずいのだろう。女の子に理屈は通用しないぞ」)や大人びた恋愛(大碓と明、菅流と加解とか。それを経たのちの第9章のオグナと遠子の小学生高学年的な初々しさ)

    ●三部構成
    第1部(一章は除く)オグナの物語
    第2部 遠子の物語
    第3部 ふたりの2度の再会の物語

    ●第1部
    オグナが
    己は何を求めているのか(=意志)を探して
    運命にたどり着いてしまう話
    →オグナの詳細説明

    ●第2部
    遠子が
    意志をもってオグナを探しつつけるなかで
    自分に運命がないことを知る話
    →遠子の詳細説明
     ①巫女ではない(明も象子もそうなのに)
     ②「普通の」女の子(p338「わたしは何者でもない」, p385「遠子には無理だ…普通の人間にはできないことなのさ」(菅流))
     ③女になりたくない

    ●本作ヤマ場としての船上での再開(第8章 1,2)
    オグナと遠子は再開するが失敗
    →挫折の物語、失敗の物語、バッドエンド。
    ※遠子が初潮=女になることで失敗するのは何故か。(女になる=運命にしたがうことであり、オグナを求める意志じたいがそこから生じたから?)

    ●『古事記』との関連性
    オグナ=ヤマトタケル 遠子=オトタチバナヒメ(橘)
    古事記においては、ヤマトタケルは死んで白鳥になり、オトタチバナヒメはヤマトタケルを救うために人身御供になる入水する
    →運命に受け入れる・負ける話として総括できる。キャラクターたちは『古事記』という圧倒的な物語必然性=運命によって死ぬ

    なぜキャラクターと言ったか。この物語は『白鳥<異伝>』。ヴァリアントであり、2次創作である。つまり、本作は荻原規子が『古事記』おいて死ぬヤマトタケルとオトタチバナヒメを救い出す物語。
    おそらくオグナと遠子だけであればバットエンドで終わったのではないか。それを回避させたのは誰か。それは菅流

    ●菅流の介入(第8章 3~,第9章)
    オグナと遠子を繋げる役割を果たす
    しかし物語的に大きく変更したのではないか(推測として「正伝」ではオグナが大王を殺す〈父殺し〉があったのでは。だからこそ私生児設定の宿禰がいるはず)
    よって(?)ダレ場でもある(「ナディア」〈島編〉を想起せよ)

    ●オグナと遠子の成長物語の結論(第10章)
    遠子:オグナをめぐる百襲との嫁姑戦争
      →この中で百襲との違いを認識(p530)しながらも同じかもと迷いつつ(p555)、しかし決断し(p566)、オグナが私と違う意志をもつ他者だと認め許す(p575)ことで成長物語として達成する
    オグナ:宿禰との兄弟戦争(p579)→皇子としての自分を譲り渡す(p588)
      →成長しそこねたオグナ(父殺しができなかった)。ゆえに無責任なキャラとして終わった気が。割りを食った存在としての宿禰(皇子という呪いのみ引き受けざるをえなかった。彼はまほろばに戻って父に愛されるのだろうか?)






  • 二転三転の大波乱…いやぁ、面白かった。
    最後はちょっと長すぎて、歯切れの良いタイミングを失っていたのじゃないかという気がした。特に、恋愛モードに変わってからは。
    だけどこれだけうねりのある物語を貪り読んだのは、実に幸せな時間だった。

  • 前作の狭也と稚羽矢の子孫の物語。主人公の遠子は幼馴染の小倶那を探すために勾玉を探す旅に出る。子供の頃の遠子と小倶那かわいかったなあ。七掬の小倶那を大切に育ててる感じも好ましかった。そして軟派に見えるけど意外と漢気のある菅流もよかった。一気に読み進めてしまった。とても長い話だったけど充実感。

  • ちらちらと感想を読むにつけ、どうやら勾玉シリーズで1番人気がありそうなのだけど、私的にはイマイチ。
    遠子がちょっと・・・・・・私には合わなかった。とはいえ面白いことに変わりはありません。菅流格好いいよ。

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著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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