殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198933678

感想・レビュー・書評

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  • 後味が悪いというか、もうどこを読んでもぐっちょんぐっちょんです。

    フジコの育った環境は確かにかわいそうやけど、欲深くて、自己中心的で、悪いのはすべて他人。

    ひがんで媚うって蔑んで、心のどろどろ具合は読んでてしんどい。

    でも殺人の描写はとてもシンプルで絵本に出てきそうな感じなのがまた気持ち悪い。

    何のためらいもなく邪魔な人間をざっくざく消してくとこは映画冷たい熱帯魚のでんでんのよう・・。こわい!

    こどものところはほんまきつかった・・。

    最後の方は救われて落とされて救われて落とされて・・とにかく気持ち悪くておもしろいです。

  • 悲惨な物語だ。
    子供の残酷さが怖い。幼児思考の大人が怖い。子の命を親が握っているという事実が、なのに子は親を選べないという事実が怖い。

    いじめシーンや虐待シーンは胸が悪くなる。
    殺人シーンは、直接的な描写は少ないものの、ネジがおかしくなっているフジ子の内面描写が背筋を寒くし、映画版「隣人13号」を連想した。

    構成には大きな仕掛け。読者を驚かせるためだけの仕掛けではなく、この本の主題と言える「カルマ」を表現するために施された仕掛けだから、意味が深い。
    全てを理解するには読み返す必要があるが、しかし残念ながらすぐに読み返す気にはなれない、悲惨な物語だ。

  • 虐待されて、いじめられて…

    いい加減な男に騙されて孕まされて…

    整形して美女になっても幸せは続かない…
    負の連鎖。カルマ。そして殺人行為にさえも慣れていく…

    エグい、イヤミスであることは間違いないが一気に読ませる力強さがある。

  • ■ある人気作家が一つの遺稿を手に入れる。
      その作品は世間で話題になった殺人鬼の話だった。
      殺人鬼フジコの生きてきた歴史、殺意という衝動。

     不思議な本でした。
     大部分がフジコの一人称で語られます。
     このフジコさんは虐待の被害者でイジメの被害者で
     そりゃもう悲惨な目にあってて
     でも、その辺の自己分析は妙に客観的で覚めてる。
     読者は一人称で語られると語り手の視線で物語を読みますので
     要はその悲惨な人生を歩むフジコになってしまうわけです。
     むちゃくちゃさっさと読み進めたのは
     早く読み終わって呪縛を解きたいと切に願ったからだと思う。
     最後に「あ、これは誰かの手記だった」と思い出させる構造で
     心底ホっとしたものね。

     キモはあとがきかも。
     しんどいけど、ついつい最後まで読んですこしだけ安心できました。

  • 母親みたいになるものかと幸せになろうともがく、フジコがどんどん母親のようになっていく様がある意味恐怖だった。随所で登場する叔母によって、思い起こされる母親の記憶。最後に明かされる話からして、これも叔母の策略だったんだろうな。「私はあなたのために言ってるのよ」系がやはり一番悪どい。

    書き方としてドキュメンタリー風に書かれており、新鮮でおもしろかった。

  • イヤミス中のイヤミス。
    グロテスクな表現とかなければすごい好きなジャンルなんだけどなー。
    読むのに体力消耗する

  • あとがきまで読んでようやく理解できる作品。
    時々現実と妄想?が入り交じる描写が分かりにくくてウーン、という感じだったんだけど、種明かしされてなるほどねって思った。
    グロいグロい言われてるけど、個人的にはそうは感じなかったかな。

  • 顔をしかめたくなる小説。最後までぞわぞわする、そんな物語。
    はしがきから始まり、あとがき、解説と、初めて余すことなく舐めまわすように読んだ。
    これだから小説はやめられない!

  • 読みたくないのに読まざるを得ない、目が手が文章を追い、頁をめくるのをやめられない。
    「うへえ」と思いながら、小中学生の頃の生々しい、1秒後には残酷に変わる脆い人間関係(心の奥の底の黒い箱の中に押し込んだ体験、空気感そのもの)が溢れ出してきて否が応でも再体験させられるような描写がリアル。
    あとがきにもあるがまさに「毒を持って毒を制す」 
    環境が整えば誰でもフジコになりえる、そんな瞬間がたくさんあった。さすがイヤミスの旗手です。

  • 読書メーターより。2019.6.21読了。

    不幸の連鎖を繰り返すフジコを見ていて、こころがぐっと苦しくなる。
    『これほど痛くて甘いときめきは、もしかしたらこれが最初で最期かもしれない。』一番好きなひと文。
    好きで好きでどうしようもなくて不器用にしか立ち振る舞えなかったり、相手の顔色ばかり伺ってご機嫌取りをしてしまうことは、きっと誰でも経験があって、自分の中にもフジコになり得る要素はたくさんあると感じた。

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著者プロフィール

1964年宮崎県生まれ。1987年多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤中症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーとなり、”イヤミス”の急先鋒として話題に。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる。そのほかの著書に、『5人のジュンコ』『私が失敗した理由は』『カウントダウン』『一九六一東京ハウス』『シェア』など多数。

「2023年 『まりも日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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