殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198933678

感想・レビュー・書評

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  • 乾くるみ氏や歌野晶午氏のようなまた最初のページに戻って確認…
    というような文章で最後が分かってまた読みたくなる小説だけど、後味が悪い。
    フジコも虐待された被害者の1人で両親が何者かに殺され叔母の家に引き取られる。そこでの生活は周りからいじめられないように注意しながら学校生活を送り、そこで最初の殺人をする。
    そこからどんどんエスカレートしていくフジコ。そのフジコの小学生からの生い立ちを書いたのがフジコの娘。調べていくうちにフジコの両親を殺したのが誰かわかったからか、小説家になった妹に原本を託して死んでしまう
    そしてその本を出版するがその妹も殺されてしまう。
    誰が犯人なのか分かるとまた再読。
    読み返しを何度もしてしまう小説だった。

    再読。
    見当違いだった。妹は殺されてはいなかった。
    フジコの殺人は分からなければ大丈夫。という気持ちと、小学生の頃に周りにバレてしまう前に同級生の子を殺してしまった事がきっかけで簡単に人を殺すようになる。子どもが産まれいい母親になろうと努力しても、自分の親みたいな人になりたくないと思いながらも子どもに虐待をする。
    叔母が母親と同じだとフジコにいうが叔母はどんな気持ちで言っていたのだろうか。従兄弟との繋がりも気になって読んだがあまり接点なく過ごしていた感じがする。

  • はしがきで、「読者のみなさんが、この小説を途中で放り出すことなく、あとがきまで辿り着かれることを心から祈りながら。」とあるのだが。
    最後まで読んだけど、だいぶ傷だらけ(*´-`)前半、メンタル病むかと思った。この本は、猛毒でした。

  • 猛毒ながらも効果が期待できる
    取り扱い注意な貴重本・・・とのこと。

    高津区一家惨殺事件

    仮の人格(as if personnality)

    ネグレクト

    新興宗教の広告塔

    整形依存症

    保険金殺人

    蝋人形・おがくず人形

    夢見るシャンソン人形

    痛い・痒い・辛い
    だけど、真梨作品は面白い?

    まぁ、面白かったけど

    ホント、犬も喰わない☠小説でした。

  • 暑苦しい夏の夜に、もっと暑苦しくなる。
    エグイ描写が多いけど背筋が凍るとか寒気がするとかより、毛穴が開いて汗がじんわり出るような感じ。
    こんなにも人は人を簡単に殺して処理していけるものなのか。
    母から娘へと続くカルマ。延々と繰り返される業。「小説」は最後にかすかな光を見せるがあとががそれを拒否する。
    おもしろいね。あとがきまでしっかりと楽しめる。
    高峰美也子著『制服の裏側』を読んでみたい。

  • 『最後の一行に慟哭する』というのが
    背表紙に書かれた謳い文句だったけど
    その衝撃よりも虐待と死体損壊の様子がキツイ。
    虐待は子を持つ親としては見たくないし、
    死体損壊は描写が細かくて生臭さまで伝わってきそう。
    とにかく気持ち悪い。
    これは作品の出来不出来とは関係なく、
    人を選ぶ作品だと思う。

  • サイコパスの話。あまりにひどい生い立ちに身震いしつつ、受身から当事者になっていく業が人間ぽい。本当のノンフィクションみたいな文体が◎。

  • イヤミスというが、「子供たちは夜と…」より心をエグられないし、のっぺりグロい。後半一気読みしたのもあるが、ただただヒステリックに突き進んでいくことに感情移入しきれず。頭で「え!そゆこと!」と驚きはしたものの、それこそ新聞紙面を撫でるだけなようで、中身を感じられなかった。

  • 本当に読んでる間も読後もおぞましいほどに口の中に苦味が走るような不快感。

    心を暖かくするようなほっこりした小説には出会うことあるが、こんな黒板をキーキーいわせ続けたようなイヤーな気持ちになり続ける小説もなかなかない。いや、あるけど、久々というのかな。

    ほんの少しのことなんだ。
    心では思うけど行動には出さないだけで、ほんの少しの自分の中にある闇が全て面に裏返されてしまったような居心地の悪さと、あり得ないと思う気持ちと、その狭間にいる薄気味悪さというかなんというか。

    とにかく気分の悪くなる一冊。がらとにかく目が離せません。。。

  • 「最後の一行を読んだ時、あなたは著者が仕掛けたたくらみに戦慄し、その哀しみに慟哭する」……、というあおり文句が、裏表紙の書籍内容紹介欄に記載されています。こう書かれていたら、本読みであればすぐにピンと来るはず。そうです。○○トリックです笑

    それはそうと、このあおり文句はウソです。最後の一行を読む前に、あるいは勘の良い人なら中盤くらいで仕掛けを充分に看破できるレベル。そして、別に哀しみに慟哭するようなこともありません。これ、JAROに電話したって良いくらいのウソあおりです。

    ただ、そんな仕掛けを抜きにしても、ミステリとして楽しめます。仕掛けはあくまでオマケみたいな感じ。殺人鬼フジコの一生がこの作品のメイン。でもこの仕掛けが、最後の真相に生きてくるという、二重構造を持った作品です(本作内でしきりにダブルミーニングがクローズアップされていますが、それもこの二重構造を示唆していておもしろい)。


    そんな本作のあらすじ。藤子は、十歳のとき、一家惨殺事件のただひとりの生き残りとなった。叔母の家に引き取られ、それまでの落ちぶれた暮らしとは別の人生を歩み始める藤子。しかし、いつしか彼女の人生は狂い始めた。ひとり、またひとりと、彼女は人を殺す。何が少女を伝説の殺人鬼・フジコにしてしまったのか? ……という。


    文学的な要素よりは、娯楽作品としての位置づけの方が大きい。それでも、ただの娯楽として手を出すと、ダークでイヤな気分になりますので、気軽には読まない方が良いです。昨今の言葉を借りれば、イヤミス(=イヤな気分になるミステリー)です。

    ただ、一度読み始めると、読むのを止められないパワーがあります(買ってその日に読み終えてしまったくらい)。「これから先どうなるの?」と、先が気になって気になって、いつ止めたら良いのか分からなくなる作品ってありますよね。この作品もそれに似ています。しかし決定的に違うのは、先が読めないのではなく、先が読め過ぎてしまって、しかしその想像しうる先をできるだけ回避したい、つまり「そうでない方が良い」という願望と「でも見てみたい」という怖いもの見たさが、読むことを止めさせてくれないのです。これはうまい。僕を睡眠不足にさせようとする作者の罠笑

    まぁ、とはいえ、娯楽作品としては佳作かもしれない。しかし、読み進めさせられるパワーは強いです。そして、個人的に好きなイヤな話系というのもあり、読んで損はありませんでした。これから読む方は、パワーを持って行かれる作品ですので、気力のあるときに読んでください。

  • 愛を知らず、そして愛を求め狂気と化す。。。ある1人の女の殺人鬼になるまでの悲しくて切なくて恐ろしい話。作品自体がはしがき〜あとがきまでのセットで構成されており、各章のトリックが終盤解明される。ラスト1ページの嫌な終わり方が逆に読了後の爽快感を与えてくれた。これぞイヤミス。序章からの引き込まれ感は気持ち良かった。そして一気読み。"あたしは蝋人形、おがくず人形"。。。読了後もこのフレーズが僕の中で鳴り響く。あたしは蝋人形、おがくず人形。。。あたしは蝋人形、おがくず人形。。。あたしは蝋人形、おがくず人形。。。

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著者プロフィール

1964年宮崎県生まれ。1987年多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤中症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーとなり、”イヤミス”の急先鋒として話題に。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる。そのほかの著書に、『5人のジュンコ』『私が失敗した理由は』『カウントダウン』『一九六一東京ハウス』『シェア』など多数。

「2023年 『まりも日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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