- Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309021263
感想・レビュー・書評
-
久々に小説の世界に浸った。
やっぱSFは良いね!大好きだ!
ゼロ年代最高の作家の一人と言われている伊藤計劃の遺稿を円城搭が引き継いで完成されたこの作品。
正直、どちらの作風が色濃くでるか、読み始めるまでは期待もしつつ疑問も抱いていたけど、読み終えたらどちらも裏切られた気分。
こんなにロマンチックな作品になるなんて。。。
終わり方も良かったなー。
あのシリーズと繋がりを連想させてくれて。
個人的に一気に読むのをお勧め。
特に後半。
途切れ途切れで読むと全体像が分かりにくなりそう(そこらへんは円城搭っぽい)。
しかし、改めて伊藤計劃という作家が若くして世を去ったことが惜しまれてならないな。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
魔法全盛の科学。
メスメリズムとスチームパンクじゃ!わーお!
科学史の中で二つの説、二つの道、二つの選択肢が提示された時。歴史上では選ばれなかった方に、正しくなかった方に進んだ話だと思っている。
プロローグ以外は円城塔の執筆だけど、伊藤計劃が語り続けた人間のあやふやさは今作でも新しい形で書かれている。伊藤計劃らしさを感じられる大ネタだったので、遺作として見ても非常に満足している。
日本編でちょっとお遊びが過ぎるかなー。
あとまさかの神話的(蛸)ほのめかしにニヤニヤ。選ばれなかった方、正しくなかった方というネタの選定基準を考えればおかしくは無いな。 -
デストピア型物語作成ウェア「Project Itoh」をインストールされた小説作成機関「Enjoe Toh」が書き出した、拡張された世界の創世記であり黙示録。
屍者とはだれか、死者とは、生者とは、そして「わたし」とはだれなのか、変数に代入する値によって幾つにも読み出される言葉の配列。 -
圧巻。
2000年代を駆け抜けた俊英伊藤計劃の残した長編のプロローグを、友人であり同時期から常に最先端を行く円城塔が書き上げた珠玉にして至高のSF。
虚実交えた登場人物たちが織りなす思考・言葉のタペストリー。
伊藤計劃の追い求めた言語や意識の問題を、やはり言語や記号を追求する円城塔が見事に再構築、『虐殺機関』『ハーモニー』だけではなく、『From the Nothing,With Love」をも包含し、円城塔がPuroject Itohの円城塔的完成形を提示した力作であり、円城塔のSF作家としての実力を見せつけた大傑作です。
もともと話に合わせて文体を変えられる円城塔ですが、ここまで押さえた筆致で書けるとは、恐ろしい才能だ。
間違いなく、今年だけでなく、オールタイムベスト級の傑作なので、読め!
そうとしかいいようがない。 -
この作品が完成するまでの伊藤計劃と円城塔の「物語」を知らず『屍者の帝国』を手に取る読者はあまりいないと思うが、もしそういう読者がいるならば、その「物語」を知った上で読むことをオススメする。伊藤計劃と円城塔の「物語」を知っているか否かで、作品に対する評価は違ってくると思う。
しかし、そういう意味においては「物語」を知らない人が読み、抱いた純粋な感想を知りたい気もする。恐らく現時点でブクログやAmazonでレビューを書いてる人は、その「物語」を知った上で読んだ読者であり、良い悪いは別にして、ドーピングをしているようなものだから。
以前、円城塔の『道化師の蝶』を読んだ際に自分の読解力が不足しているだけの話なのだが自分の中に「円城塔=難解な作品を書く人」という構図が出来上がってしまっている。
本作も決して読みやすい作品だとは思わなかったが、素晴らしい作品であることは間違いない。しかし私は一度で全て理解できたとは思わないので、再読の必要がある。 -
じっくりじっくり読んだものの難解すぎて理解にとんでもなく時間がかかった。。というかまだ大枠しか理解できていない気がする。伊藤計劃歴代作品の中でも(今作は1/2だけど)難解だった。。
屍者という、想像しにくいものだったからかも -
もう少しポップな感じだとよかった。
-
映画公開までになんとしても読み終えたかったのですが結局間に合わず、200Pほど読んだ状態で映画を観、再び原作を頭から読み直すという工程を踏みました。
映画はかなり大胆な改変がなされているので、どちらに先に触れるかで印象はかなり異なってくるのではないかと思います。
個人的には映画の長さ・設定の方が気に入ったので、原作はやや冗長に感じられました(映画は設定を削ぎすぎて、やや話に矛盾があった気もするのですが)。旅の描写が長すぎて、やや話が中だるみしているように思います。
夭逝した伊藤計劃の本を円城塔が書き継ぐといった話なのですが、実際に伊藤氏が書いている部分はプロローグのみで、残りは全て円城氏が書いているので(仮に伊藤氏の残したプロットなどがなかった場合)、実質ほぼ円城作品なのだと思います。最初の方の文体こそおとなしめだったものの、最後の方では完全に円城節全開といった感じで、やはり理解するのに労力を要しました。
しかし今までの円城作品とはやはり一線を画していて、かなりエンタメ色の強い作品になっています。文学作品の登場人物や、実際の史実の人物などが登場するのはなかなか面白みがありました。
ただやっぱり、ちょっと長いかなぁ…。