アライバル

  • 河出書房新社
4.28
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本棚登録 : 2440
感想 : 324
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309272269

感想・レビュー・書評

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  • テレビで取り上げられて気になっていた本。
    選書されました。いえい!

    絵で表す本というのは過去にもあったけど、これはその絵の量が半端でない。サイレントムービーとはよく言ったもので。
    過去だか未来だか現実なのかファンタジーなのか、
    サイレントゆえにはっきりしないところがきっと良い。

    とりあえず生き物がすごくかわいい。

  • 絵本の体裁ですが、「グラフィック・ノヴェル」というものらしい。

    表紙裏の説明を転載します。
    『ショーン・タン 1974年、オーストラリアのパース郊外に生まれる。現在、メルボルン在住。イラストレーター、作家。舞台製作や映画製作も手がける。ショート・アニメーション「The Lost Thing」が、第83回アカデミー賞短編アニメーション賞受賞。

    arrival / 到着、(新しい方法・製品などの)出現、(季節・行事などの)到来、やって(引っ越して)来た人、新参者、誕生、赤ん坊

    新たな土地に移民した者が、その土地で生まれ変わり、新生児のように成長していく。そこには過去の自分を捨てなければならない辛さと、新しい人生を歩むチャンスを手にした幸せとの両面がある。それをまるでサイレント映画のように一切の文字を使用せず表現した、究極の文字なし絵本』

    文字なし絵本なので、題名やあとがき以外は原作と同じだということです。だけど日本版の方が紙が上質で立派らしい。
    ずっしりと重くて、とても古びた写真アルバムという感じの本です。それだけで本好きとしては手に取るのが嬉しくなります。
    紹介にあるように、絵本というよりサイレント映画を見ているようでした。

    どこかに移民を決意する主人公の世界、移民する先の世界、他からも移民してきた人たちの元の世界、全部がファンタジックでこの地球の風景ではありません。でも、だからそこに何を重ねてみるのかは読者の自由。
    3.11後にこれを読んだ私は、彼らの街を襲う影に原発を重ねてしまいました。

    作者が多くの移民で成り立っているオーストラリアの人だということは、この作品の製作の原点でしょう。アメリカに残っている資料も参考にされたとか。

    物語の最後で、なんだかほっとして涙が浮かんできました。何度でも読み返したい本。図書館で借りましたが、欲しい、手元に置きたい・・・・。
    ネットでこの本のことを知り読みました。私もここでお勧めして、もっと多くの人にこの本を読んでもらいたいと思いました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「絵本というよりサイレント映画を見ているようでした。」
      静かに想像力を掻き立てる世界。まさにサイレント映画ですね。
      最近立て続けに邦訳が出て...
      「絵本というよりサイレント映画を見ているようでした。」
      静かに想像力を掻き立てる世界。まさにサイレント映画ですね。
      最近立て続けに邦訳が出て嬉しい悲鳴。様々な表現の出来るショーン・タンの筆力に圧倒されてます。
      2013/02/07
    • tokiwahimeさん
      どうしてこんなに隅々まで細やかに表現されているのだろうという、ショーン・タンの世界ですね!
      私も圧倒されました。
      最近出た、「エリック」「ロ...
      どうしてこんなに隅々まで細やかに表現されているのだろうという、ショーン・タンの世界ですね!
      私も圧倒されました。
      最近出た、「エリック」「ロスト・シング」も読みました。どっちもとても良かったです。
      2013/02/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どっちもとても良かったです。」
      ショーン・タンは、不思議な感覚に襲われますよね、懐かしいような淋しいような、、、ちらっとしか観ていない「ロ...
      「どっちもとても良かったです。」
      ショーン・タンは、不思議な感覚に襲われますよね、懐かしいような淋しいような、、、ちらっとしか観ていない「ロスト・シング」の映像がDVDになったので、購入したいと思っているのですが金欠中で、購入時期未定。。。
      2013/03/21
  • グラフィック・ノヴェルという新ジャンルの一冊。いわゆる文字のない絵本なのだが、一つ一つのカットが驚くほど精巧で緻密に作られている。古いスライドを連続で映写したかのようなその手法は、新鮮味に溢れ、文字が一切ないにも関わらず実に雄弁。翻訳家の岸本佐知子氏は、「翻訳したくて、翻訳できなくて、地団太をふみました」との弁を残している。

    著者はオーストラリアのイラストレーター兼作家、ショーン・タン氏。四年間にわたって描き続けた絵で構成されている。父親がマレーシアからオーストラリアにやってきた移民であり、本作は新たな土地に移民してきた者が主人公になっている。

    ストーリーは、SF仕立ての展開。妻子と別れ、一人新天地に乗り込む主人公。彼が新天地で目にしたのは、見たことのない建物、見たことのない乗り物、見たことのない生物、見たことのない食物。新天地で出会う人は、それぞれ過去に辛い経験を持つ。しかし、やがてそこでの生活に新しい希望を見い出す。

    新天地における主人公の戸惑いや希望が、新しい表現手法を通すことにより、読み手にもダイレクトに伝わってくる。本書こそが絵本の新天地なのである。自分自身を投影させ、行間を読むことによって成立する本書は、読むたびに異なった印象を得ることができるだろう。新しいことにチャレンジする人生の節目、パラダイムが移り変わる時代の節目に、何度となく読み返したい一冊。

  • 文字が1つもない。
    妻と娘を残して一人未知の土地へ向かい、言葉も何も分からない街で同じように移民となった人たちに出会い、遅れてやって来た妻と娘との再会を果たします。
    登場する辛い過去を背負った人たちや不思議な生物も重要な役割を果たしていました。
    文字が無いため色々想像しながらページをめくるのはとても楽しかったです。

  • これは一つの家族の物語。
    文字のない絵本なのでその背景も状況も実際には分からない。それでもなぜか胸にずんと突き刺さるものを感じた。

    ここに行き着くまでに出会った人たちにもそれぞれの人生があり、辛い過去があったのだろう。ここで出会う人たちはきっと違う場所で生まれ、違う民族であり、違う言葉を話す。それでもこんなにもみんなが同じで、温かい気持ちがある。

    1本の映画を観ているような濃密さ。とても素敵な物語だと思った。

  • 読了

  • レイモンド・ブリッグズのスノーマン的な雰囲気の字のない絵本
    でもこっちは、なんだこの世界は…!!?と戸惑いを隠せない世界観
    どこなんだここは…何なんだこの生き物は…彼らは一体…???
    これが…ショーン・タンの世界…

  • さまざまな生命体のなかのひとつとして生きる人間。
    なにかに司られながらその脅威に囲まれながら生きる人間。それらが生み出す幻想と独創、緊張と弱きものの優しさ。ショーン・タンの世界。

  • 絵が温かみがあってすき。文字がないところも良い。

  •  現実にはどこにもない国へ引っ越した男性の暮らしを緻密な鉛筆画で表現されている文章のない絵だけの絵本。
     ところどころで出てくる変な生物がユーモラスで可愛らしい。
     妻子を置いて知らない国で生計を建てる男性の心細さや、そんな中でも親切にしてくれる人の有り難さが、絵だけでうまく表現されている。
     男性と同じく、生まれた場所を離れてきた人々との交流の際になぜその人がこの国に来たのかがわかる回想が載っているページは、他のページと比べて背景が黒かったりセピア色だったり、またイラストの端がシワが寄っているように加工されていたりボロボロだったりと、まるで古いアルバムをめくっているような気分になる。
     戦争に言ってきたと思しき男性の回想で、最初は二本で歩いていた足が駆け足になり、一本だけになったのを足だけで表現していたのは見ていて悲しくなった。
     しかしストーリーとしては男性は辛く当たられるわけではなく、希望が持てるストーリー。

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著者プロフィール

1974 年オーストラリア生まれ。幼いころから絵を描くことが得意で、学生時代にはSF 雑誌で活躍。西オーストラリア大学では美術と英文学を修める。オーストラリア児童図書賞など数々の賞を受賞。2006 年に刊行した『アライバル』は世界中で翻訳出版されている。イラストレーター、絵本作家として活躍する一方、舞台監督、映画のコンセプトアーティストとしての活躍の場を拡げている。9年の歳月をかけて映画化した『ロスト・シング』で2010 年に第83回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞。2011年にはアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。2019年には日本で初めての展覧会を開催。現在メルボルン在住。

「2020年 『ショーン・タン カレンダー 2021』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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