アライバル

  • 河出書房新社
4.28
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本棚登録 : 2440
感想 : 324
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309272269

感想・レビュー・書評

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  • 文字が全くない(架空の読めない文字が少し出てくる以外)絵本。
    セリフを想像しながら読んだ。
    異国で戸惑いながら逞しく生きるお父さんと周りの移民たちが素敵です。

    見知らぬ国で単身赴任して、家族を呼び寄せた時のことを思い出した。

  • >世界各国多数の賞を受賞、世界中に衝撃を与えたグラフィック・ノヴェル、ついに刊行! 漫画でもコミックでもない、素晴らしいセンス・オブ・ワンダーに満ちた「文字のない本」。


    絵本だと思い込んでいましたが、想像していたのとはちょっと違っていました。
    文字のない大人のための物語といった感じ。

    タイトルのアライバル(arrival)は到着、到達といった意味でしょうか。 

    家族と別れて旅立った男性が不思議な世界で色々な体験をしてまた戻ってくる話・・・と説明するだけではこの本の魅力が伝わらないのが残念。
    セピア色っぽい感じの絵で一見ちょっと暗めなんだけれど、なぜか強く惹きつけられました。


    作者のあとがきより、この本の大部分はさまざまな国や時代の移民の方々の体験談から着想を得ていると書かれていました。
    作者の父も1960年にマレーシアから西オーストラリアにやってきた移民だそう。
    この物語の主人公の男性は作者の父がモデルなのかなと思いました。


    一度読んだだけでは理解できない感じ。
    理解する必要はなく感じるだけでいいのかもしれませんが・・・
    じっくり何度も眺めて味わいたい物語でした。

  • 読み始めたら止まらなくなって、読み終わったら涙が出て来た。忍び寄るものは恐ろしく、訪れる光は限りなく優しい。どんなでも生きられる、頑張れる。そう思える本でした。

  • 文字のない絵本。
    絵の点数は非常に多く、セピア色の鉛筆画のようなタッチで丁寧に描き込まれている。
    文字がないからといってさらっと読み終わるようなものではない。絵から情報や感情を丁寧に汲み取りながら読もうとすると結構時間がかかる。そしてそれだけの価値がある。
    説明が一切ないので今何が起こっているのか不安に思いながら読むことになるが、主人公だって現状を把握できず、新たにたどり着いた土地で右も左もわからない状態になる。まさに主人公の不安を共有しながら読む感じがとてもよい。
    最後は前向きな終わり方でよかった。
    あと、みんな相棒ポケモンみたいのを連れているのがかわいい。

  • これはすごい!
    始めて読むショーン・タン。
    文字なしの絵だけの表現ですが、絵本と言ったらいいのかマンガと言ったらいいのか…と思っていたら出版社からの内容紹介に「グラフィック・ノヴェル」とあり。なるほど。

    家族と離れ、新たな土地へ移住する。
    そこは、全く知らない土地。言葉も文化もまるで違う。
    男はそこで、様々な人々と出会い、助けられながら奮闘する。
    ここで出会った人々にもまた、それぞれこの新天地に来るに至った歴史があるのだ。
    そして、男は妻と娘を呼び寄せる。

    とても細やかな表現で、文字がなくとも、登場人物の心情がひしひしと伝わってきます。
    ファンタジックでノスタルジックな世界観。

  • 絵だけで語られる物語。
    映画を見終わったかのような感覚になった不思議な本。

    絵本ってこういう風に表現できるんだなということと、
    文字がなくても絵だけで伝えられるってすごいなと単純に感動した。

    一人一人に辛い過去や移民の背景があるんだなとわかった後に見るたくさんの人の顔写真が重く響いてきた。

  • 文字の無い絵のみの絵本。でも、どんな本よりも雄弁でした。異世界なのに何故か馴染みのある不思議な世界。 国籍も年代も関係なく読む人を魅了する本なのではないでしょうか。誰もが抱える人生への不安。仕事の疲れ。出会い。生き甲斐。温かな幸せ。 様々な事柄がセピアの絵の隅々に描かれていて、ページをめくるたびに少しずつすーっと心の疲れが取れていくのを感じた一冊でした。

  • 男性は妻と娘を残し大きな不安と小さな希望を抱えて異国に旅立つ。船には自分と似たような人々、鳥のように飛んでいく手紙たち、目にするものがすべて珍しい都会、親切な人々、争いと荒廃…。

    言葉が書かれていない絵本。会話も効果音もなく私たちの目に映る紙の上はあくまでも無音。その世界に入り込むと読む人それぞれに音が聞こえてくる。茶色と黒を使い分け訴えかけてくる絵、街も人の表情もすごくいい。安易に笑ってない。この世界を映し出している。

  • 大人になれば、絵本を読み返す機会は減るかもしれない。この本は一度読むだけでは足りない。何回も読むうち自分だけのお話になっていく、原始的なよろこびに気づける。

  • 饒舌な字のない本。
    都市間の友好関係とか、敵対関係の表現がかわいいのだけど、子供の頃の仲良さ怖さってそんな脳内表現だった気もする。
    新しくできた友達(じいさん)と交友を深めるシーンが、セピアな上に木なんか一本も生えてないのに、ひだまりとか新緑を感じさせてホカホカした気持ちになる光景で良かった。

    裏表紙を読まない方が良かったなー。

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著者プロフィール

1974 年オーストラリア生まれ。幼いころから絵を描くことが得意で、学生時代にはSF 雑誌で活躍。西オーストラリア大学では美術と英文学を修める。オーストラリア児童図書賞など数々の賞を受賞。2006 年に刊行した『アライバル』は世界中で翻訳出版されている。イラストレーター、絵本作家として活躍する一方、舞台監督、映画のコンセプトアーティストとしての活躍の場を拡げている。9年の歳月をかけて映画化した『ロスト・シング』で2010 年に第83回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞。2011年にはアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。2019年には日本で初めての展覧会を開催。現在メルボルン在住。

「2020年 『ショーン・タン カレンダー 2021』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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