死をポケットに入れて (河出文庫 フ 3-3)

  • 河出書房新社
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462189

感想・レビュー・書評

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  • 読了

  • どこにも辿り着かない

  • ブコウスキー晩年のエッセイ。
    ブコウスキー自体、知ったのはごく最近なんだけど、彼が90年台になってマッキントッシュを使って日記書いていた、それもコンピュータを使いだしてから執筆がより盛んになったと喜んでいた、というあたりはとても意外だった。
    タイピングの国だし、抵抗も少なかったのかな。

    中身はいかにもブコウスキーというか、昼間は専ら競馬場に行って、夜は色々な出来事を思い出しつつ考えたことを書いていく、という感じ。
    かなり好きなテイストだった。引き続き色々読んでいこう。

  • 7割競馬、2割コンピュータ、1割酒。
    所々に示唆に富む。

  • 恥ずかしながら初めてチャールズ・ブコウスキーを読みました。何故か最晩年の日記から読んでしまったが、これまで読まなかったのを後悔するほど面白い!
    競馬場に行って、夜はラジオでクラシックを聞きなが執筆活動をする老作家の日記がこんなに面白いとは・・・とにかく口が悪いが表現が面白い「地獄の生徒」とか・・。著作も読んでみようと思います。

  • 「わたしは死を左のポケットに入れて持ち歩いている。そいつを取り出して、話しかけてみる。『やあ、ベイビー、どうしてる?いつわたしのもとにやってきてくれるのかな?ちゃんと心構えしておくからね」
    かっこいい。

  • 71歳の老人の日常記録。死を目前にしての焦り、日常の怠慢な進み、世界のからっぽさが語られている。いじけた文面の中にユーモアと美学があり、文章も軽妙で読みやすい。
    ロックをこき下ろし、競馬場の人間を見下し、「人類の中に本当に面白い奴は100万人に一人くらいしかいない」という主張をしていて、それ自体は同感なんだけど、でもそれは多分みんな生きるのに必死で、この作者みたいに「どうせなら面白く生きてやれ」なんて考える人が少ないからじゃないかと思った。
    そしてブコウスキーは、「でも結局勝つのは群衆だ」とも言っている。”本当に面白い人間”がいても、100万人のつまらない人間の作る社会は強い。そういった社会構造の波に、面白い人間の素質は洗い流されてしまうのかもしれない。
    でも、ブコウスキーは偶然なのか必然なのか、その100万人にはならなかったんだと思う。全編を通して、作者はただ生きているだけの空虚さに耐えられない、正直な人なんだという印象を受けた。

  • ざーっと乱読した程度だけど
    この境地に達しないと語れないような物書きの勢いと
    老いても劣らぬ素晴らしいユーモアセンスにびっくりされっぱなしの一冊だった
    書くことを恐れないってこういうことを言うのだな

  • ブコウスキーというアルコールと女性に溺れたイメージが、薄暗がりのマッキントッシュの前で発光する文字を見つめながら自らのイメージを裏返していく。
    ここで語っている老人は、"普通の老人"であり、「ブコウスキー=普通の老人」だなんて誰が想像し得ただろうか。面白さはそこにあるのであって、これは本人の過去の作品を読まずしては高尚な文学老人と見紛うほどである。やるわいな。しかしこれはほめているのだが、実際はただのくそ。ファッカーの類いであることはお忘れなきことを。

  • 人生はあまりにも酷すぎて、手に負えない。踏みにじられ、うまく利用され、身体が潜水服のように重苦しくても、歩く道は罠だらけだ。カウンターの片隅で、酔えずに酔いながらも、ポケットの“死”を触ると、つるりとごつごつした手触りが迎えてくれる。こいつは嵐が吹こうが、ひょっこり晴れようが、狂ってしまってもいつも一緒だ。うっかり左ポケットに、大事なものをいっぱいいれたら、“死”がどれだか判らなくなるかもね。

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著者プロフィール

1920-1993 ドイツ生まれ。3歳でアメリカ移住。24歳で初の小説発表、郵便局勤務の傍ら創作活動を行う。50歳から作家に専念、50作に及ぶ著作発表。『町でいちばんの美女』『詩人と女たち』等。

「2010年 『勝手に生きろ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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