- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309462189
感想・レビュー・書評
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読了
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龍角さんさん読了読了2020/07/21
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どこにも辿り着かない
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ブコウスキー晩年のエッセイ。
ブコウスキー自体、知ったのはごく最近なんだけど、彼が90年台になってマッキントッシュを使って日記書いていた、それもコンピュータを使いだしてから執筆がより盛んになったと喜んでいた、というあたりはとても意外だった。
タイピングの国だし、抵抗も少なかったのかな。
中身はいかにもブコウスキーというか、昼間は専ら競馬場に行って、夜は色々な出来事を思い出しつつ考えたことを書いていく、という感じ。
かなり好きなテイストだった。引き続き色々読んでいこう。 -
7割競馬、2割コンピュータ、1割酒。
所々に示唆に富む。 -
恥ずかしながら初めてチャールズ・ブコウスキーを読みました。何故か最晩年の日記から読んでしまったが、これまで読まなかったのを後悔するほど面白い!
競馬場に行って、夜はラジオでクラシックを聞きなが執筆活動をする老作家の日記がこんなに面白いとは・・・とにかく口が悪いが表現が面白い「地獄の生徒」とか・・。著作も読んでみようと思います。 -
「わたしは死を左のポケットに入れて持ち歩いている。そいつを取り出して、話しかけてみる。『やあ、ベイビー、どうしてる?いつわたしのもとにやってきてくれるのかな?ちゃんと心構えしておくからね」
かっこいい。 -
ブコウスキーというアルコールと女性に溺れたイメージが、薄暗がりのマッキントッシュの前で発光する文字を見つめながら自らのイメージを裏返していく。
ここで語っている老人は、"普通の老人"であり、「ブコウスキー=普通の老人」だなんて誰が想像し得ただろうか。面白さはそこにあるのであって、これは本人の過去の作品を読まずしては高尚な文学老人と見紛うほどである。やるわいな。しかしこれはほめているのだが、実際はただのくそ。ファッカーの類いであることはお忘れなきことを。 -
人生はあまりにも酷すぎて、手に負えない。踏みにじられ、うまく利用され、身体が潜水服のように重苦しくても、歩く道は罠だらけだ。カウンターの片隅で、酔えずに酔いながらも、ポケットの“死”を触ると、つるりとごつごつした手触りが迎えてくれる。こいつは嵐が吹こうが、ひょっこり晴れようが、狂ってしまってもいつも一緒だ。うっかり左ポケットに、大事なものをいっぱいいれたら、“死”がどれだか判らなくなるかもね。