- Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309464534
感想・レビュー・書評
-
読むのに3ヶ月かかった。登場人物の感情の動きが激しくてついていけない。相手を嫌いだと思ったら次には好きになったり…。読んでいて疲れるし感情移入できない。
本書はブルーノという金持ちのドラ息子・アル中・ホモ・マザコンの悪魔がガイという男を洗脳し狂気に陥らせるサスペンス。ブルーノはサイコパスである。ガイ自身最後の最後でそう表現している。そのためブルーノ自身の心境を語ったページは全く理解できないしそんなブルーノに愛憎入り交じった感情をいだくガイも理解しがたい。
これでブルーノが女だったら悪女に引き寄せられる男(ガイ)の感情だと理解もできるが、なぜこんなサイコパスの言いなりになって遠ざけられないのか。感情移入が厳しいところだった。読者が女性ならこの辺の同性愛じみた部分を楽しめるのかもしれないが、男の自分にはブルーノとの縁を切れないガイが理解不能だし、ひたすら悩み続け情緒不安定なガイも嫌いだ。
解説によるとこの本のパターンが作者の基本らしい。もうこの一冊で十分。他を読む気はしないな。
ガイは「物事はすべて反対の部分を併せ持っている」と語る。これはラストのセリフのところですらそのままである。しかしラストに至ってまで、一本心の通っていないガイ。彼の心がジェットコースターのごとく揺れ動き続けるのを追いそれを理解しようと努めるのは大変疲れる読書体験だった。詳細をみるコメント1件をすべて表示-
bookmania1105さんまったくもって、その通りですね。僕も読みにくかったです。まったくもって、その通りですね。僕も読みにくかったです。2024/05/16
-
-
初めてのハイスミスである。ハイスミスと言えばアラン・ドロンの映画「太陽がいっぱい」である。
テレビ放映された時に観て、ラストのシーンが秀逸過ぎて子供心に深く焼き付いた。
いつかは、手に取って読んでみたい小説だとは思っていた
今回、ピーター・スワンソンの「そしてミランダを殺す」を読んだ事で、この作品を手に取った。
勝手に小説の内容をミステリーと思って読み始めたが、これはサスペンス小説だったため、思っていた感じでは無かった。
他の方のレビューにも有るが、主人公二人に感情がに着いて行けず、とても読みづらかった
そして、主人公たちの考え方などに、とてもイライラさせられた
善悪とは、生きるとはとか、まるで哲学書だ。
でも、完全に詰まらないとは言い切れず、不思議な余韻を残す作品だ
主人公の二人の結末は、呆気無く、ちょっと拍子抜けだったけどね
ハイスミスの「太陽がいっぱい」は続編も数冊出版されており、全て読んでみたい気がするが、取り合えず「太陽がいっぱい」だけ購入してみるかな
それに「見知らぬ乗客」も映画化されているので観てみたいし「太陽がいっぱい」も改めて観たいな -
(2024/03/27 5h)
-
スーパー面白かった
人を殺して暗闇の中必死で逃げるシーンの不透明さが読書体験という、情報が文章からしかわからないところ、視覚を使って得る情報なのに頭の中で思い浮かべるしか実体を得る手段がない感じに重なった気がして凄く良かった
手探りで進むしかない感じが…. -
列車に偶然乗り合わせた二人の男性。片方が交換殺人の話を持ちかける…前半は面白いのだが、後半の二人の関係がちょっとくどい。
-
同性愛的な空気、エディプスコンプレックス
母親を女性の理想・幻想とする雰囲気もあるが、
独善、偏執、執拗、鬼気、狂気
勝手に過度な共感愛情愛着、歪み狂った感情を
スマートに凶暴にあいてに流し込み、ぶつけ
自身の破滅だけではなく、相手の破滅も
愛ゆえに呼び込んでしまう、身勝手への不愉快さ。
巻き込まれ、追い込まれ、抗いながらも
狂気の世界に踏み込んで、泥沼から抜け出せず
ズブズブと深みに入り込み、破滅へ向かう苦しさ。
ラストは本当にこれまでの世界がボロボロと崩れ落ちて
行くような感覚を覚えるが、
どこで、どの時点で、どうすればよかったのかではなく、
出会わなければよかった、出会ってしまった時点で
全てが決まっていた、終わっていたという
むなしい絶望感。 -
なんとなく見覚えのある著者名。読んだことあるようなないような。ブクログにはないのであるとしてもずっと昔で、おぼえていないのだろう。偶然夜行列車に乗り合わせたガイとブルーノ。ひょんなことからお互いに殺したいと思っている相手がいるとわかり、交換殺人の幕が開く。実際はそんなに単純な話ではないが、基本的にはそういうストーリーだ。似たような話は他にもありそうだ。事件そのものはスムーズに行われたものの、いずれ探偵の捜査によってばれてしまうので、倒叙物としてもミステリ的興味は薄いが、2人の揺れる内面描写、特にブルーノに引きずられて深みに墜ちてゆくガイの心理的葛藤が読みどころだろう。しかしいくら大きな借りができたとはいえ、ブルーノにいいように操られるガイがちょっと不自然では。知らぬ存ぜぬで突っぱねるかそれこそ訴え出ればいいのに。まあそれでは小説にならないか。
-
犯人捜しをする推理モノではなく、犯人のわかっている状態でこの先の展開が読めずに、息を詰めてページを繰るミステリー。心理状態や当時当地のようすが丁寧に描かれていく筆致で、ミステリ好きでなくとも楽しめる。
時代がかった原作の文章や、舞台となっている時代の雰囲気をしっかり持ちながらも、古くさくない今風の翻訳でとても読みやすかった。