ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)

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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336045010

感想・レビュー・書評

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  • いちばん傷つけてしまったひとが無人の星に現れて、
    ふたりっきりで過ごさねばならないとしたら。

  • 冒頭、主人公がどういう立場の人物かやどんなミッションを負っているかといった背景の説明が何もなくいきなり未知の惑星への突入から物語が進むので、読者は未知の世界に足を踏み入れた主人公と同じ不安感を持ち、何が起こるのか、どんな小さなことにも神経を研ぎ澄ますことになります。

    とにかく構築されてる物語世界がすごいです。
    いろいろな切り口があるかと思いますが、私はコミュニケーションの本質について考えさせられました。

  • [ 内容 ]
    惑星ソラリスを探査中のステーションで異変が発生した。
    謎の解明のために送りこまれた心理学者ケルヴィンの目の前に自殺した恋人ハリーが姿を現し、彼はやがて悪夢のような現実と甘やかな追憶に翻弄されていく。
    人間とはまるで異質な知性体であるソラリス。
    そこには何らかの目的が存在するのだろうか。
    コンタクト―地球外の知性体との遭遇について描かれた、最も哲学的かつ科学的な小説。
    広大無辺な宇宙空間において、理解不能な事象と愛の記憶に直面し、人は何をすべきか。
    タルコフスキーとソダーバーグによって映画化された新世紀の古典、ポーランド語原典からの新訳版。

    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ソラリスと言う未知なる惑星に関する重厚な解説文とシンプルながらも人間の意識とは何なのか考えさせられる物語によって構成された小説。
    こういう架空の物についての設定をこれでもかってくらいの密度で詰め込んだメタフィクションもあるんだね。すごいわ。

  • 漠然としたイメージの総体が物語になっているようだと、そんなことをまた漠然と考えていたら、ソラリスがゆるゆると空へ向かって溶け出して固体化する。
    漠然は漠然でしか捉えられないのかも。
    熱を出した時に見る夢の様な幻想的なイメージに支配されながら文章を追っている自分がいた。
    読後感をうまく言葉にできない感じが何ともモドカシイのは、たぶん初めてのSF小説だったからではなく、きっとこの小説の特殊性のせいだと思う。
    物理的に存在する異世界が日常に流入してくることだったり、科学を突き詰めていくと哲学や宗教にたどり着いたり、SFというジャンルの面白さを知るには、十分すぎた模様。

  • もう多くを語る必要はないほど有名な『ソラリス』
    レムの代表作ですね。

    クラークとか、イーガンのような哲学SFなんですが、
    僕が個人的にライフワークにしている、
    理数科学的原理と人の生の豊かさの関係について、
    多くのことを教えてくれた作品です。
    そういう意味では、『銃夢』のノヴァ教授と今作のケルヴィンが僕の先生です。

    惑星「ソラリス」を探査中のステーションで起こる異常。
    死んだはずの恋人との再会。
    生きている“海”とのコンタクト。
    人が「生きる」とは「死ぬ」とは、何なのか・・・

    僕の本棚のテーマの一つとして、作中のセリフが引用されています。

    この作品はすでにSF小説の枠を超え、
    文学の域へと達しています。

    SFが好きな人も、嫌いな人も一読をおすすめ!

  • 古典的な SF だが、
    哲学的かつ悲しいラブストーリー?
    重苦しい気分に襲われるが、
    SF としては一級品なのだろう。

  • 図書館で何度か借りる。今回ちゃんと最後まで読んだ。

  • 結構面白かった。
    ハリウッド版のソラリス見るくらいなら、
    小説読んだほうが。。。

  •  海に覆われ、それ一個全体でひとつの地球外知的生命体である惑星――ソラリス。調査用に建設されたステーションに降り立った心理学者ケルヴィンは、そこが狂気じみた空気に満ちていることに気づく。研究者たちの不可解な言動、現れる『客』、渦巻くソラリスの霧と波・・・・・・。それらは何を意味するのか? そして人類と地球外知的生命体の邂逅は、何をもたらすのか?
     初レム。「未知なるもの」とのコンタクトを描いた小説や映画は数あれど、その中でも最高の思弁性をもつ作品だと思いました。いやはや、こんなことを考えていた作家がいたのかと少しばかり感動。読んでいる間はうまく自分でまとめることができませんでしたが、解説の言葉を借りれば、やはり「未知なるもの」の〈他者性〉がテーマ。よくある「未知との遭遇」は、結局のところ人類とそれとの間に何らかのルールが見いだされることになっている。しかしそれは、本当に可能なのか? 我々が成層圏の向こうへと出て行ったとき、そこに待ち受けるのは我々が予想できる範囲とは限らない。むろん、理解が最終的に可能かどうかということと、理解しようとするかどうかは別問題ですけど。
     作品内に描かれる要素がかなり多いので、未消化な部分がまだまだありますねー。個人的にはストーリーのほうはあんまり追わずに(え)、ソラリス学や神学的論争、科学者同士の推測合戦といった章を中心的に読んでました。新訳が出てよかったよかった。

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著者プロフィール

スタニスワフ・レム
1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006 年死去。

「2023年 『火星からの来訪者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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