たとえば、君という裏切り (祥伝社文庫)

著者 :
制作 : 栗俣力也(原案) 
  • 祥伝社
3.63
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本棚登録 : 357
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396344788

感想・レビュー・書評

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  • 病に冒されたベストセラー作家に最期のインタビューをするライター、アルバイト先に現れる女子大生に恋をした大学生、公園で出会ったお姉さんから遠い国のお話を聞くのを楽しみにしている少女―彼らが好きになってしまった“あの人”はいつも自分ではない“誰か”を想っていた。
    三つの物語は時を越え、“ある人”の深い愛に結実する。


    1つ目の作品を読んで、何かうまく表現は出来ないが、好きな感じだなぁ~と思った。
    2つ目の作品を読んで、あー、ありそうだなぁ、こういうの。
    男の子の恋心なのに、妙に感情移入してしまった。
    あれ?でも3作がつながるようなことが帯に書いてあったような・・・。

    3作目、あーーーーなるほど繋がりそう!
    そういうことか!と。

    そして、最期のインタビュー。え~!なるほどそっち!?

    単なる恋愛小説ではなくて、でもたんなるミステリでもなくて、なかなか物語として面白くサクサク読めてしまった(*^-^*)

  • 正直、何も期待せずに読み始めました。
    でも、退屈せずに一気に読みました。
    最後にあんなバイオレンスな事実が出てくるなんて。
    すべてのことの顛末が怖過ぎる。
    読み終わった後に背表紙のあらすじを見て思いました。
    『確かに、ある人の深い愛に震えましたよっ‼︎』

    なんかもう全部怖い、時代を超えて怖い。
    でも、私を数時間、夢中にさせてくれた。

  • 3つそれぞれの物語が最後ひとつに組み合わさり進む展開。
    共通して下田涼花のストーリーかな。
    彼女の執念、執着が多くの人を巻き込んでいくかたち。
    ただ、彼女の独占的な行動は関わった人達を不幸にしていってる印象。
    特に本物の小堀充希があまりに報われず哀しい。そんな感想です。

  • 何でもライター、早田に突然舞い込んできた有名な覆面作家への本人からのインタビュー依頼。取材をするうちに早田にある感情が生まれ、決められていた条件を逸脱し始めてやがてある結末を迎える。これが尻切れトンボで次の短編に入ると大学生がバイト先で見初めた女の子にどうアタックするか悶々する話になったので拍子抜け。していたらん?という箇所が。なので投げずに読み進めていたら三番目の小学生の和津が公園で会ったお姫様と名乗る少女との短編でもしかして?となり最後の締めではこう来たか!と綺麗に繋がりすっきりした。しかし前作でも思ったけどここまでするかー?

  • 人の心は分かりにくい。言葉でキチンと伝えられたとしても、それが本当のことだとは限らない。相手を騙そうと思って嘘をついているかもしれないし、気を使って本音を隠しているのかもしれない。たまに本音をズケズケと言う人に出会うことがあるが、果たしてそれがすべて本音かというと微妙だろう。もしかしたら、弱い自分をガードするために虚栄を張っているかもしれないからだ。

    さてそうなると信じられるのは自分だけということになるが、実は自分が一番自分を裏切っているかもしれない。いや、自分の気持ちや感情を抑えたり蓋をしたりすることで、自分にダメージが来ないようにしているのかもしれないのだ。そう考えると、自分を裏切ることは案外悪いことではないのかもしれないし、誰かに裏切られることもまた、自分のことを大切に思ってくれていることの裏返しなのかもしれないと思える。


    佐藤青南さんが、栗俣力也さんの原案を元に書いた「たとえば、君という裏切り (祥伝社文庫)」という物語は、人を愛することの素晴らしさと怖さを感じさせてくれる一冊だ。

    第一話
    ライターの早田は、病のために筆を折るというベストセラー作家の鴨志田にインタビューを依頼される。彼女は自分の過去について淡々と語っていくが、あまりにも謎の多いその人生に早田は徐々に疑問を持ちはじめる。

    第二話
    望月はファミリーレストランでアルバイトをする大学生。アルバイト先に現れる女子大生の小堀に恋をしたが、恋愛経験の少ない望月はなかなか前に踏み出せない。そんな望月を同級生の立花が励まし、徐々に望月は小堀との距離を詰めていく。

    第三話
    和津は小学校3年生の女の子。公園で知り合った上級生の袴田さんから秘密の物語を聞かせてもらうことで、今まで持てなかった勇気と正義感を持つようになる。クラスでいじめられていた下田さんを助け、二人で袴田さんの話を聞くようになるが、そこに和津のお兄ちゃんが入ってきてしまう。


    三つの物語はそれぞれに胸が痛くなるような切ないラブストーリーだが、それぞれの物語が時空を越えてひとつになると、そこにはさらに深い愛情が隠されていたことに気がつく。

    佐藤青南さんと栗俣力也さんとのコンビは、先日ご紹介した「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に (祥伝社文庫)」と同じだ。物語の原案を栗俣力也さんが練り、作家の佐藤青南さんが内容を膨らませて小説にした作品だ。栗俣さんは数多くのヒット作を作り「仕掛け番長」の異名を持つ名物書店員だけに、こういう物語を読みたいという読者の気持ちを良く分かっている。

    この物語も前作に続いて一気読みしてしまったが、二転三転するミステリー要素はこちらの方に軍配があがるだろう。こうなるかもしれないなという予想を、さらに何回もひっくり返してくれる意外な展開がすばらしい。ぜひ読んでいただきたい一冊だ。

  • 3つの話が最後に繋がるミステリー。
    全編を通してある人の話が描かれており、それが誰の事なのかが最後の手紙でわかるという話。
    ある人の想い人以外、関わった人のほぼ全てが不幸になっていて中々エグい。深い愛情というか執念、妄執といった表現の方が的確かも。面白かった。

  • 『行動心理捜査官』シリーズで有名な佐藤青南さんが
    書店員である栗俣力也さんの原案を基に書き下ろした1冊。
     
    3本のオムニバス書き下ろし小説、
    かと思いきや、最後の最後に
    「え? そういうことだったの?」
    と思える仕掛けが……
     
    各話の主要人物たちの年齢設定がばらばらだな~
    とは思ってたんですけど、見事に騙された感じです。
     
    この文章テクニックは盗むべきところが
    たくさんあるな~、と読み終わった後に
    感じたくらいさすが佐藤青南さん、といった作品です。
     
    震える純愛ミステリー小説を読みたいなら
    まずこの1冊を手に取ってみることをおすすめします。

  • 途中まで、恋愛色だとか、普通な空気感が強くて、なんでこれ読もうと思ったんだっけかな…?と思いながらも、とりあえずは最後まで読むか、と読み進めた。
    最後の章ですべてがつながって(まあ名前を騙ってたり、離婚での苗字変更が使われててずるいなーとは思ったけど)、想像以上にたったひとりの自分勝手な、後味の悪い終わり方に、読んでよかったー!となった。個人的には気持ちのいい、終わりの裏切りだった。

  • 「三つの物語は時を超え、〝ある人〟の深い愛に結実する」
    三つ目を読み終えてもどう繋がっていくのか謎でしたが、
    「最期のインタビュー【追記)」でやっと腑に落ちました。
    全部、下田涼花に集結するのか。
    でも、これ「深い愛」なの?すごく歪んだファン心理みたいでゾッとした。
    鴨志田玲は満足したかもしれないけど、和津とお兄ちゃんが気の毒すぎる。
    和津にとって正義感が強くて何でもできる自慢のお兄ちゃんだったのに。
    読後感は悪くないけど、藤村兄妹がかわいそうでした。

  • 一見関連のない3本の小説。最後に一本の糸ですべてが繋がるのが気持ちいい。

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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