あのころの、 (実業之日本社文庫)

  • 実業之日本社
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408550725

感想・レビュー・書評

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  • 吉野万里子さん、加藤千恵さんめあてで手に取りましたが、収録されているすべての作家さんは、今をときめく方々ばかりです。


    どの物語も女子高生が主人公であり、タイトル同様あのころの、なにかを思い出させてくれます。


    どの物語も脆く、こわれてしまいそうなんだけど、あのころの、なにかがたくさん詰まっています。



    私も5年前までは高校生だったんだけどな。



    どんどん遠のいていく中でも、あのころ特有の感じ方だったり、思いだったりを忘れてしまいたくはないですね。

  • 六者六様、感想をまとめきれません。 「いまを全力で駆け抜ける現役女子高校生と、かつて女子高生だったすべての大人の女性たちに贈る、珠玉の青春アンソロジー」 公式のこの文章がいいですね。僕には縁のない女子高生の記憶。それを垣間見せてもらった心地です。

  • 私、この手の本ででいちばん面白かったのって、
    江國さんのやつだなぁ、とぼんやり思いながら読んだ。
    この本が面白くないというわけでもないけど、
    なんか勝手に比べてしまってもよもよした気持ちになった。

    でもこれ読んだ年齢も関係してるのかなぁ。
    江國さんのを読んだときは高校生だったもの。
    たぶんこういう小説のターゲットど真ん中だったもの。
    だから感じ方は違っているのかも。

    私にとって「あのころ」は「あのころ」という枠に収められいて、
    それを今取り出して、あれこんなんだったっけ?となる。

  •  短篇集。同じテーマで書かれているので、
    テイストが似通っている印象を受けた。(
    家庭環境、登場人物の性格など)

     彩瀬まるさん、吉野万理子さんの作品が
    特に良いと感じた。

  • 好きな作家さんだけに、瀧羽さんの『パリパリ』は良かった。
    遥か彼方の女子高生達の世界、自分のときはこんなにセンシティブではかったよなぁと苦笑しつつも、新鮮なようないつの時代も変わらないような・・・懐かしさとともに読んだ。
    彩瀬まるさんも衝撃的で良かった。

    そっと肩を抱いて、大丈夫よ…と言ってあげたくなる1冊。

  • 柚木麻子さん、綾瀬まるさんの両名は「文藝あねもね」から気になっていて、本書でもとても良かったです。女子高生ならではの大人、同性、異性への憧れと嫉妬とか擬似恋心とか。自意識とか親子関係とか。二人の作品のどちらとも女子校のお話で本来はあまり好きなジャンルじゃないんですが…。その他の作品はすらっと読んでしまった。

  • 一番好きだったのは瀧羽麻子さんの『ぱりぱり』。明るい未来を連想させる終わり方が素敵。

    加藤千恵さんの『耳の中の水』はもうちょっと続きが読みたかったかなぁ。

  • 窪美澄さんの『リーメンビューゲル』を読みたくて購入。他の作家さんは初めて読むが、なかなかの読書体験に。というのは作家さんを開拓するという意味で読む楽しさを感じたため。
    一方、昔読んだ小説に出てきた“S”という概念を思い出す(実業之日本社刊行なだけはあるという感じか)。同性同士の交流を描く作品が多くて共感するには難しいものがあったが、自分とは違う高校生活を垣間見れたのは良かった。
    お気に入りは瀧羽麻子さんの『ぱりぱり』、文章がつややかで惚れこんだのは彩瀬まるさんの『傘下の花』。この方の作品はもっと読んでみたい。

    (彩瀬まるさんの文章に“急に、花をまいたような賑やかさが駅舎に満ちた。 (176頁) ”というのがあり、もうそこでKO負けでした。この艶やかな文章! 花をまいたような賑やかさにはじまる例えのうつくしさ、凛々しさがもう「たまらん!」と言う感じです。)

  • あのころの、私とあなたを思い出す話。
    不足なくらいが、新しいものを作る力が発揮されるのかもしれない。
    だけど、そんなものと闘っていくのは辛過ぎる。

  • 注目されている女性作家6名による高校生を主人公とするテーマの作品をいきなり文庫化。

    6名の作家たちもかつて女子高生だったわけで、それぞれの記憶に創作を交えながら工夫を凝らした作品群となっている。

    小説的な作品完成度は、巻頭に置かれた窪美澄さんの「リーメンビューゲル」が一番だけれど、自分自身の過去と正面から向かい合った吉野万里子さんの「約束は今も届かなくて」はノンフィクショナルで感動的。

    あこがれ、友情、それ以上に悲痛なまでの過去への思いが、今現在作家としてある自分を成り立たせているのだという自覚が溢れている。後から気付いても取り返しのつかないことってあるのだよな。
    ラスト・センテンスにやられたのは「ぱりぱり」(瀧羽麻子)。

    柚木麻子さんの「終わりを待つ季節」は、なかなか巧い。高校三年の学園祭の時期から卒業までのあわただしくも心騒がしい時期を捉えて、女子高ならでは特殊な人間関係を特徴的に描く。

    ぽっとしていて冴えなかった女子高生が、いつしか女子大生となり大人の目線で過去を振り返る、その落差がいかにも女性の成長という感じ。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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