顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか
- ダイヤモンド社 (2010年12月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478013731
作品紹介・あらすじ
スティーブ・ジョブズと比肩される新世代のカリスマ経営者の成功物語。最速8時間のスピード配送、長時間の電話対応…マニュアルなしのサービスの数々。圧倒的クチコミを生む秘密。まず、社員を幸せにする-類い稀な商才を持つ若者が、一度は巨万の富を手に入れながら、再び私財と情熱を注ぎ込み、苦難の末にビジネスと人生の目的を発見するまでの軌跡を描く。
感想・レビュー・書評
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2009年に約1千億円でアマゾンに買収された最強のオンライン靴販売企業、ザッポス。著者のトニーさんはその創業者CEO。ザッポスは日本だとあまり聞かない名前だけれど、アメリカでは非常に有名で靴のオンライン小売りでは国内最大の企業である。顧客満足度と従業員満足度の高い組織文化を築くことに注力し、カスタマーサービスの神対応や顧客の購買体験を重視する手法などにより理想的な経営戦略の一つとして未だに多くの経営者から支持されている。著者はこの本でザッポスの成長や価値観、カスタマーサービスの哲学を通じて、顧客中心のビジネスモデルの重要性を示し、企業文化の構築が成功の鍵であることを伝えている。ビジネスマン必読の一冊。
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興味深い成功ストーリー。トニーの失敗からの学びの一つである、自社の事業の根幹を司る業務をアウトソースしない、というのは改めて重要な判断だと気付かされる。前半はおもしろくスラスラ辞めるが後半1/4は正直だれてしまった。
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・ 会社に強い結びつきを感じる社員はより生産性が高い
・ 社員の会社との結びつきを示す代表的指標は、その社員が社内にどれだけ友人がいるか、または社内に親友と呼べる人がいるかどうかです
・ まずはオフィシャルなところに無料で仕事を受注する。そのあとに、その実績を使って地元企業にアプローチする
・ 私たちの成長のきっかけはそんな風におこることがよくありました。ただアイデアを投げかけてみて、アイデアがササるか、状況に応じて変化するか、実現するかをみるのです。
・ つくテーブルを選ぶのは、自分で決められる最も重要なこと
・ テーブルに少々不合理なことをしたり、経験不足の人が多すぎると、最高のプレーヤーでも非常に勝ちにくい
・ リスクが最小の物でなく、期待値が大きい物を選ぶ
・ アドバイスを求めることを恐れないこと
・ どんなビジネスに対するビジョンでも、テーブルを大きくできるようなより大きなビジョンが存在することがわかりました
・ 人生でも、自分がそのときしていることにとらわれたり、のめり込んでしまうことはよくあることで、そうなるとテーブルを変わるという選択肢があるのを忘れがちだということがわかりました。心理学的に見ても、乗り越えなければならない様々な習慣があるから、大変なのです。自覚して意図的に努力しなかったら、いましていることを続けるという習慣が常に勝つのです。
・ 謙虚であれ:「初心者の心には可能性があります。しかし、専門家といわれる人の心にはそれはほとんどありません」 鈴木俊隆
・ 自分たちのコア・コンピテンシーを決してアウトソースしてはならない。オンライン小売り企業として、最初から倉庫業務を自分たちの中核として考えるべきでした。
・ 偉大な企業は、ただ単に金儲けや市場で一番になることを超えて、もっと大いなる目的とかより大きなビジョンを持っている(ビジョナリーカンパニー2)
・ 目標を早く達成できた大きな理由は、私たちが時間、資金、経営資源を三つの重要分野に投入しようと決めたためでした。カスタマーサービス、企業文化、社員の教育と能力開発。今日でさえ、ブランド・カルチャー・パイプラインだけが、結局自分たちが長期的に持つ競争優位性であると信じています
・ 電話はブランディングに最適なツールのひとつだと信じています。五分ないし10分の間、顧客の注意をこちらに向けさせられると同時に、ここできちんと対応すれば、顧客はこの体験をいつまでも記憶にとどめ、しかも友人たちに話してくれることがわかったのです。
・ 私たちはピッキングの効率性を最大限に上げようとは思っていません。最大限まで高めようとしているのは顧客体験で、これはインターネット通販事業では、できるだけ迅速に顧客に注文の品を発送することで部分的に決まってしまいます。
・ 楽しさとちょっと変な物を創造する
・ 仕事で下最高の失敗は何ですか。どうしてそれが最高だったのでしょうか
・ 忘れてならないのは、あなたがなにを話したか、なにをしたかではなく、相手がどう感じたかが最後は最も重要だということです
・ 「よい」は「すばらしい」の敵
・ 人にしてもらいたいことを人にしてあげなさい
・ 講演がうまくいくには①情熱的になる ②個人的な話をする ③あるがままでいる
・ 私たちは全員違う道をたどりながら、「幸せ」というひとつのゴールに向かっているのです。
・ 幸せとは、自分で自分をコントロールしていると感じられるか、自分が進歩していると感じられるか、つながり(関係の数と深さ)、ビジョンと意味(自分自身よりも大きな物の一部となること)の四つできまります
・ 顧客のハピネス:期待を満たす→欲望を満たす→意識していないニーズを満たす
・ 社員のハピネス:給与→評価→意味
・ 投資家のハピネス:短期の投資→長期の投資→後世に残る投資 -
【カスタマー・サービスを浸透させる10の方法】
②あなたの会社で日常的に使われる言葉のひとつに、「ワオ!」と驚かせる、を加えます。
④強欲な、あるいは社員をひどく扱う顧客はこちらから縁を切ってもいいのだとはっきり認識します。
【真実の瞬間】
私たちは毎日何千もの電話やメールが入りますが、どの電話やメールも最高のカスタマー・サービスと顧客体験を作るザッポスというブランドを構築する機会として考えています。
キーワード:ザッポスの文化は素敵だが、属人化が過ぎないか? -
・インターネット広告ネットワーク会社、リンクスエクスチェンジをマイクロソフトに2億6500万ドルで売却→セコイアなど大手になるまで育てるシード投資でザッポスに出会う。
・ポーカー経営学
リミテッドホールデムルールはハウスは場所代を取るだけでプレイヤー同士の勝負なので勝てる可能性が0ではない。手札とポットオッズ(賭け金総額に対する割合)で統計学的に見た正しい掛け方がある。その上で、経営に役立つポーカーのルール。
◆ 着くテーブルを選ぶのは、自分で決められる最も重要なこと。経験豊富なプレーヤーは疲れているのにチップをたくさん賭けている平凡なプレーヤーが九人いるテーブルでは、集中しているとても上手いプレーヤーが九人いるテーブルの10倍儲ける事ができる。
最高の品揃え、サービス、最良の価格の七本指手袋メーカーあるいは、ウォルマートと競争すべきか。
◆ 着いたテーブルで勝ち目がないと分かったら、テーブルを変わっても構わない。
◆ テーブルに少々不合理な事をしたり、経験不足の人が多すぎると、最高のプレーヤーでも非常に勝ちにくい。
◆ 強い手なら弱く見せ、弱い手は強く見せる。ブラフするタイミングを判断する。
◆ 自分の「ブランド」が大切。
◆ 自分について人が語るストーリーが作られるようにする。
◆ 想定できる最悪のシナリオに対して常に準備しておく。
◆ 勝ったゲーム数の多い人が最終的に一番多く儲ける訳では無い。ゲームで負けない人が最終的に一番多く儲ける訳でも無い。
◆ リスクが最小のものではなく、期待値が大きいものを選ぶ。
◆ 負けても差し支えない範囲でのみプレイする。
◆ ゲームの仕方を理解しないでゲームをしない事。例え大勢がそのゲームで儲けていても。
◆ いかさまをしない。いかさまをしても結局勝てはしない。
◆ 自分のやり方を貫く事。
◆ ゲームの動きは変化するのだから、その夜を通してプレイのスタイルを状況に適応させる事が必要。フレキシブルでいる事。
◆ スタミナと集中力が最もあるプレーヤーが大抵勝つ。
◆ 他人と差別化する事。テーブルの他のプレーヤーがしている事と反対の事をする事。
◆ 希望を抱くのは良い策とは限らない。
◆ 自分を「理性を失い、つい悪い手に賭けるような感情的な状態」にしないこと。一休みして散歩をするか、その晩はゲームを止めておくほうがずっとコスト効率がいい。
◆ うぬぼれない。見せびらかさない。自分よりも上手い人は常にいる。
◆ 今しているゲームを超えたチャンスを探す。新しい生涯の友達や新しい仕事の接点を含め、これから誰と知り合うかは決して分からないものだ。
・初心者の心には可能性があります。しかし、専門家と言われる人の心にはそれはほとんどありません。
・ハピネスのフレームワーク。
①自分で自分をコントロールする事
②進歩を感じる事
③つながり
④ビジョンと意味(自分自身より大きなものの一部となること)
・マラソンの一番良いトレーニングは息を切らさずに長い会話を楽に続けられるほどゆっくり長い距離を走る事。効果と直感は反することがあり、各自の幸せもそうである。 -
「最速8時間のスピード配送、長時間の電話対応…マニュアルなしのサービスの数々。」最初にこのキャッチコピーを読んだ時によくそんなことが出来るなぁと思った物ですが、実際に読んでみるとその理由がわかります。
僕はこの本をとって読むまで、ザッポスとCEOであるトニー・シェイのことについては、何も知りませんでした。でも、今にして思えばそれがよかったのでしょうね。
「インターネットで靴屋なんか流行るわけないだろう」
なんて固定観念を根底から覆してくれるものでした。彼は幼いころからさまざまなビジネスを「起業」しては失敗も経験し、最初に成功したリンクエクスチェンジをマイクロソフトに売却して一生働かなくてもいいくらいのお金が懐に入ってきた段階で普通の人は満足してしまうものなんですけど、トニー・シェイはマイクロソフトで一定の期間とどまってさえいれば入ってくるお金を手放してでも新しいことに挑戦する。その姿勢にはすごく感銘を受けました。
こういう新しいことに何度も挑戦することができるバイタリティー。これはぜひとも見習うところであると思います。そして、ザッポスを創業した際の「ワオ!」という価値観を徹底させ、浸透させるまでのコアバリューをまとめたものは新旧の企業に限らず、どこでも通用する姿勢ではないかと思っています。こういう会社が生まれるダイナミズムはやっぱりアメリカならではのものですし、そういう企業を生み出すのは人であり、彼のような人間やザッポスのような会社が生まれるのもあの国の風土だと感じます。
現在、この会社はアマゾンに買収されているそうですが、会社としてはどうやら自律を保っているそうですね。この本は分厚いですが、書かれてある内容は非常に率直で、平易な言葉で彼の軌跡がつづられていますので、起業を考えている方や、何かを変えたいという方は、ぜひ読んでいただけるとうれしいです。 -
ザッポスは日本にはあまり馴染みのない企業ですが、インターネットビジネスやサービス等をテーマにしたビジネス本でよく見かける名前だったので、以前から気になっていました。
ネット通販という「顔の見えない」業態でこれだけ顧客体験が話題にのぼる事がそもそも凄い!私も飲食業に従事しており、顔を突き合わせてサービスを提供している身なので余計にそう思いました。ネット通販でこれほど顧客との絆を築ける企業がNo.1に成らない訳がない。
CEOであるトニー・シェイの商才や人間的魅力も、ザッポスをここまで育て上げた大きな原動力。Twitterフォロワー全米1位(経営者)は伊達じゃない。本書を読んで、私もすっかりファンになってしまいました! -
ザッポスの考え方で仕事が出来るともっと楽しいだろうな。
面白いので読んでみたらいい。
少し長いけど・・・。