人間の条件 (ちくま学芸文庫 ア-7-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480081568

感想・レビュー・書評

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  • 難しくて、未消化
    少し時間をおいて、再挑戦!

  • 長かったし、半分も理解できたのか分からないのだが、「何かの始まり」であるような気がする。つまり、数十年後に読み返したとき、「これは自分の思索の出発点だった」と振り返るような予感である。

  • ”複数性
     ? 多数性、多元性

    <抄録(抜き書き)>
    3つの基本的な人間の活動力
    ・労働 labour:人間の肉体の生物学的過程に対応する活動力
    ・仕事 work:人間存在の非自然性に対応する活動力。
      ※仕事は、すべての自然環境と際立って異なる物の「人工的」世界を作り出す
     ・活動 action:物あるいは事柄の介入なしに直接人と人との間で行われる唯一の活動力


    <きっかけ>
    購入のきっかけは忘れたけれど…読み始めたのは、2018年7月の人間塾で『100分de名著 ハンナ・アーレント 全体主義の起原』を課題図書として学んだため。”

  • 難し過ぎて読めませんでしたー。

  • (01)
    一義的には労働批判であり,特に近代の人間の条件として現れた労働についての批判である.しかし,射程は宇宙的であり,地球規模をも超えており.個と全体との間にある様相を世界として,活動と仕事という人間の他の条件により,労働に並置して,批判を企てている.
    古代ギリシア(*02)の市民文化を説き起こし,近代英語の語幹に残る原義を用い,デカルトやマルクス,あるいはハイデッガーを越える議論を目論んでいる.宗教,経済はもちろん,政治や権力,そして科学の姿をひととおり描いたうえで,家や個人,プライバシーの領域にも縦横無尽に切り込んでいる.
    芸術や歴史,あるいは倫理,そして愛や救済についても筆は及んでおり,それら人間を条件づける諸属性の連関を解き明かしている.
    したがって,20世紀から21世紀(*03)にかけての哲学や人間性についての基礎テキストとしての使用に耐えうる聡明さが本書には著されている.

    (02)
    プラトンやアリストテレスへの立ち戻りと批判は,近代と古代の比較により,次を論じるために重要な過程となっている.古代ポリスの奴隷制度から近代都市の労働者へとつなぎ,近代において特殊に現れた「社会」という場(あるいは,昨今,プラットフォームと呼んでいるもの)や権力という統治手法についての理解を助けてくれる.
    イエスやキリスト教の相対化についても興味深い指摘がある.神学の問題としてよりも,哲学の問題として,イエスの言動を取り上げ,聖書テキストに取り組んでいる点は,神と神々についての言及とともに注意が必要だろう.

    (03)
    消費社会の入口において書かれた本書に,富や財産がこれまでどのように扱われてきたかを示し,その先に起こった問題のありどころも示唆している.オートメーション,進化論,ミメーシス,ポイエーシス,共生など,その後の現代思想に引き継がれた課題も本書に散見される.
    都市問題としても,例えば,活動の古代,労働の現代をごくおおまかに布置すれば,仕事の中世が見えてくるのかもしれない.仕事人や工作人といった類の人間の条件は,それゆえに,中間項として見出されているようでもある.この仕事について,ディテールを描く作業は,わたしたちに残されているようにも感じた.

  • ・なんで読んだか?
    ハンナ・アーレントの映画を見て、悪の凡庸さについて知りたいと思ったから

    ・つぎはどうする?
    思っていたのとかなり違った笑 たぶん「責任と判断」を読むべきだった。

    ・めも
    全くちんぷんかんぷんだった。だから読んでない。解説サイトみたいなのをいくつか読んだけど、世界観が違い過ぎた。

    人間の営みを3つに分類していて、こんな理解をした。
    労働:生活に必要なものを生産すること
    仕事:芸術をつくること
    活動:政治的なこと
    で、いまの問題はすべてが労働中心になっていることらしい。

    たしかに、現代ではそのどれもがつながっている。芸術家もその芸術を売った対価で生活をしているから労働とも取れる。政治家だってそうだ。だから、これはお金を中心に成り立つ経済中心主義についての批判なのかな、と感じた。でも、それしか知らないので、労働を含まない生活がイメージできない。奴隷制とかの話かもしれないけど…

  • 2013/04/01

  • アーレントの『人間の条件』をおもむろに手にとって読んでいた。「人間の条件は、自然にも人工物にも条件づけられた存在である」というテーゼ。特に、人工物に条件づけられる存在であることがポイント。

    人工物を生産するのは、工業化の中での生産や、科学的実験における人工的状況の生産。

    近代科学の始まりとともに、それまで自然を対象にしていた(人類の)思考は、自らの行為を対象にした。科学は、自然の中の真理ではなく、自らで仮説を創造し、その仮説の中の真理を確認する営みであるとしている。

  • 3回目のチャレンジにしてようやく読み終わった…!

    これ一冊に物凄い量の教養が詰まってることだけはわかった、人に説明せよと言われてもできないけど。

    しかし、善意は大っぴらにやってはすでに善意ではないとか、物は使われなければ意味がないとか、自分なりに共感する部分は多々あった。

  • 原題:The Human Condition(University of Chicago Press, 1958)
    著者:Hannah Arendt (1906ー1975)
    訳者:志水 速雄[しみず・はやお](1935ー1985) 
    解説:阿部 齊[あべ・ひとし](1933ー2004)
    カバーデザイン:渡辺 千尋[わたなべ・ちひろ](1944- 2009) 版画、装丁。
    装幀:安野 光雅[あんの・みつまさ](1926-2020) 絵本、装丁。
    シリーズ:ちくま学芸文庫
    定価:本体1,500円+税
    Cコード:0131
    整理番号:ア-7-1
    刊行日: 1994/10/06
    判型:文庫判
    ページ数:560
    ISBN:4-480-08156-9
    JANコード:9784480081568
    備考:単行本は1973年、中央公論社より刊行。
    NDC:311.1  政治哲学

     条件づけられた人間が環境に働きかける内発的な能力、すなわち「人間の条件」の最も基本的要素となる活動力は、《労働》《仕事》《活動》の三側面から考察することができよう。ところが《労働》の優位のもと、《仕事》《活動》が人間的意味を失った近代以降、現代世界の危機が用意されることになったのである。こうした「人間の条件」の変貌は、遠くギリシアのポリスに源を発する「公的領域」の喪失と、国民国家の規模にまで肥大化した「私的領域」の支配をもたらすだろう。本書は、全体主義の現実的基盤となった大衆社会の思想的系譜を明らかにしようした、アレントの主著のひとつである。
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480081568


    【目次】
    目次 [003ー006]

    プロローグ 009

    第一章 人間の条件 019
     1 〈活動的生活〉と人間の条件
     2 〈活動的生活〉という用語
     3 永遠対不死
    原註 037

    第二章 公的領域と私的領域 043
     4 人間――社会的または政治的動物 
     5 ポリスと家族
     6 社会的なるものの勃興
     7 公的領域――共通なるもの
     8 私的領域――財産
     9 社会的なるものと私的なるもの
     10 人間的活動力の場所 
    原註 111

    第三章 労働 133
     11 「わが肉体の労働とわが手の仕事」
     12 世界の物的性格
     13 労働と生命
     14 労働と繁殖力
     15 財産の私的性格と富
     16 仕事の道具と労働の分業
     17 消費者社会
    原註 198

    第四章 仕事 223
     18 世界の耐久性
     19 物化
     20 手段性と〈労働する動物〉
     21 手段性と〈工作人〉
     22 交換市場
     23 世界の永続性と芸術作品
    原註 273

    第五章 活動 285
     24 言論と活動における行為者の暴露
     25 関係の網の目と演じられる物語
     26 人間事象のもろさ
     27 ギリシア人の解決
     28 権力と出現の空間
     29 〈工作人〉と出現の空間
     30 労働運動
     31 活動の伝統的代替物としての製作
     32 活動の過程的性格
     33 不可逆性と許しの力
     34 不可予言性と約束の力 
    原註 386

    第六章 〈活動的生活〉と近代 403
     35 世界疎外
     36 アルキメデスの点の発見
     37 宇宙科学対自然科学
     38 デカルト的懐疑の勃興
     39 内省と共通感覚の喪失
     40 思考と近代的世界観
     41 観照と活動の転倒
     42 〈活動的生活〉内部の転倒と〈工作人〉の勝利 
     43 〈工作人〉の敗北と幸福の原理 
     44 最高善としての生命 
     45 〈労働する動物〉の勝利 
    原註 504

    謝辞(ハンナ・アレント) [523ー524]
    訳者解説(昭和四八年三月 志水速雄) [525ー539]
    文庫版解説(阿部齊) [541ー549]

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著者プロフィール

1906-75年。ドイツに生まれ、アメリカで活躍した哲学者・政治思想家。主な著書に、本書(1958年)のほか、『全体主義の起源』(1951年)、『革命について』(1963年)など。

「2023年 『人間の条件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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