人間の条件 (ちくま学芸文庫 ア-7-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480081568

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    条件づけられた人間が環境に働きかける内発的な能力、すなわち「人間の条件」の最も基本的要素となる活動力は、《労働》《仕事》《活動》の三側面から考察することができよう。
    ところが《労働》の優位のもと、《仕事》《活動》が人間的意味を失った近代以降、現代世界の危機が用意されることになったのである。
    こうした「人間の条件」の変貌は、遠くギリシアのポリスに源を発する「公的領域」の喪失と、国民国家の規模にまで肥大化した「私的領域」の支配をもたらすだろう。
    本書は、全体主義の現実的基盤となった大衆社会の思想的系譜を明らかにしようした、アレントの主著のひとつである。

    [ 目次 ]
    第1章 人間の条件
    第2章 公的領域と私的領域
    第3章 労働
    第4章 仕事
    第5章 活動
    第6章 〈活動的生活〉と近代

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 10年程前に精読し、書き込みなどでかなり痛んでしまったので、今回新たに買い直して再読しました。
    私は長年「なぜこんなに辛いのに死んではならないのか?」「なにを心の中心に置けば安心できるのか?」「私はなにのために生きれば良いのか?」といった問いに苦しまされ、若い頃から哲学や宗教などの思想を学んできましたが、この本以上に心にしっくりくる思想には未だに出会ったことがありません。かなりさりげなくですが、アレントも指摘している通り、あらゆる哲学は、それぞれに参考になり面白みもあるけれど、結局は都合の良い究極の真理(=神)を創造しているに過ぎないようにしか思えないからです。宗教も同じことですが、それはただ神という架空の概念に寄り掛かり、思考停止しているだけであるように私には思えます。アレントはそういったわかりやすい神を創造せず、そのために人類の絶望的な状況への対策も提示していません。この意味でアレントの思想はインパクトに欠けるかもしれませんが、でも誠実だと私は思います。
    難解ではありますが、古代から近代までの様々な思想を網羅し、「労働・仕事・活動」や「公的領域・私的領域」といった興味深い概念を用いて「我々がしていること」を精密に分析していますので、少しでも哲学に興味のある方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:311//A68

  • この本は、生き甲斐を考える上での思考の土台を作ってくれる。自分探しの前に読むべき。
    人間の条件を、「労働」「仕事」「活動」の三点から、数多くの思想家の言葉や書物や当時の科学の発見を引用しながら、淡々と現したものである。その幅は広く、そして深い。理解に達しているとは言い難く、これから何度も読むことになりそうだ。
    結局のところ、どう生きるかは、どう世界を捉えるかとほぼ同義である。故にその前提を何処に置くかが重要である。生物学的にヒトだとしても「人間の条件」を必ずしも有しない、というのがこの本の言いたいことでもある。
    友情ものの物語では、「ヒトは一人では生きていけない」という思考停止ワードだけで終わらせるところであるが、この本は最初に提示した三つの言葉を中心に掘り下げる。補足もたくさんあり興味深い。

  • 本書では、「活動的生活」の中核たる不死への努力を浮き彫りにしている。第1章によれば、「活動的生活」は、労働、仕事、活動という三つの活動力からなる。第2章によれば、かつてポリスでは家族という私的領域を前提とし、その上に公的領域での政治的活動は展開されていた。しかし、公的でもなく私的でもない社会的領域が近代に勃興したという。第3章の議論によれば、「労働」とは、生命維持の必要物を生産するための活動であり、マルクスのようにこれを「仕事」と混同すべきではない。第4章は、「仕事」を扱っている。「仕事」とは、耐久性のある物をもたらす行為であり、これが活動や言論が存続するための条件となる。第5章によれば、「活動」は、たんなる生命維持の過程から人間を解放して新しい「始まり」を示す行為であり、これは、人間が活動と言論という他者との関係の中でユニークなアイデンティティを示すことでもある。第6章は、活動的生活と近代の関係が扱われている。それによれば、近代では生命過程こそが最高位に位置づけられるようになり、近代の技術と諸理論は、いわばこれに貢献している。アレントは、労働や仕事が人間生活に不可欠だが、これらからは人間的な生の意味が生じないとを訴えているように見える。

  • 読んでみたい気もするけど、読めるかな...

  • ハンナ・アーレント(原題)/公開予定
    ■10月~
    マルガレーテ・フォン・トロッタ監督
    2012年ドイツ映画
    配給:セテラ・インターナショナル
    http://www.cetera.co.jp/index.html
    岩波ホール
    http://www.iwanami-hall.com/contents/lineup.html
    第25回東京国際映画祭 | ハンナ・アーレント(原題)
    http://2012.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=215

  • 読み応えあり。示唆に富んでいて面白かった。考察したいテーマが山ほど。

  • 昔っぽくてだめだ。
    科学を知らないにもかかわらず、科学批判。責任を科学に押し付けているようにも見える。そしてヒューマニズムにもかかわらず結局暗黙の悪を生み出して排除される人間を生み出している限を自身が作り出しているのではないか、という様な感じ。まさに理想主義的、還元主義的という自分の理論に対するリフレクションがかけている気がする。
    数年前に読めば違ったかもしれないが、今はいらっとくる。
    確かに混沌の現代で、ある程度の共通善というものは必要なきもするのだが、混沌それ自体の効用の記述をせずに理想ばかり押し付けられている感じがしてしまう。

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著者プロフィール

1906-75年。ドイツに生まれ、アメリカで活躍した哲学者・政治思想家。主な著書に、本書(1958年)のほか、『全体主義の起源』(1951年)、『革命について』(1963年)など。

「2023年 『人間の条件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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