- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488010010
感想・レビュー・書評
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ミステリーとしてめちゃめちゃ面白い。
地中で発見された白骨が少しずつ掘り出されていくのと平行して、過去の事件も少しずつ暴かれていくという上手すぎる構成。
でもそんな構成の上手さなどどうでも良いくらい、深み凄みのある人物描写、物語世界。
これを読んでいるとき、「あまちゃん」も見ていたんだけど、正反対のトーンに見える2つの作品は、実は同じテーマを持っていると思う。
故郷や親族から切り離され都市に住む人間の転落、家族の崩壊というものだ。
「あまちゃん」はその崩壊をどうしたら再生できるのか考え抜き、天野アキという解答をクドカンが導き出した。奇跡の存在だ。
緑衣の女はそんな奇跡の存在がいないリアルな世界だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
捜査官エーレンデュルの過去と、彼らが追う事件の進展を絡めながらストーリーは進んでいく。
哀しくて、辛い場面もあるけれど作者インドリダソンが伝えたいと思う優しさも感じ取れる。
訳者・柳沢由実子さんの読みやすい訳文とあとがきに寄り
ストーリーを深く知る事ができる。 -
アイスランド発のミステリシリーズは家族をテーマにしている。
ストーリーの中心となる家族だけでなく、刑事の家族についても描かれる。
そのストーリーはやや陰惨にすぎるようで、アイスランドの天候には晴れが無いんじゃないかと思えてくる。
しかし最後の1ページでみごとに雲間から光が差し込む。 -
前作もそうだが、暴力的なシーン多し。
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思わずページを捲る手を止めたくなるほど悲惨な家庭内暴力。終戦直後の悲しい物語の結末は現代で発見された白骨とどう繋がっているのか。一応どんでん返しもあり、ハッピーエンドなのだが、全ての結末が読者の望む方向ではない。家庭内暴力という言葉が認知される前の話としながらも現代への警告という意図が多分に感じられた。
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内容(「BOOK」データベースより)
住宅建設地で発見された、人間の肋骨の一部。事件にしろ、事故にしろ、どう見ても最近埋められたものではない。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近にはイギリス軍やアメリカ軍のバラックもあったらしい。住民の証言の端々に現れる緑の服の女。数十年のあいだ封印されていた哀しい事件が、捜査官エーレンデュルの手で明らかになる。CWAゴールドダガー賞/ガラスの鍵賞同時受賞。究極の北欧ミステリ。 -
”家庭内暴力”を題材とした小説。
一見ハッピーエンドのようにも見えるが(暴力夫が死んで良かったと思う)、誰をもそこから解放されていないことを考えると、”暴力の連鎖”の罪深さを思い知る。苦しい小説でした。