アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア) (ミステリ・フロンティア 1)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017002

感想・レビュー・書評

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  • 結末がどこに向かうのかが全く予想できず、とにかく先へ先へと進めたくなる内容でした。

    個人的に中盤越えても河崎がどうにも好きになれない感じで、しかし、それでもずっと引っかかっていてもやもやするなと思ったら、なるほどそういうことだったのか…。
    違和感って感じるものなのだなあと。
    後味は悪い、というかすっきりしない終わり方でした。

    映像化されてるのは知らなかったので、あそこはどう表現してるのだろうというのはちょっと気になるところです。

  • うむ。おもしろい。これは間違いなく、おもしろい。伊坂さん、さすがやなあ。そう唸ってしまう作品ですね。確かな満足がありました。お見事でした。

    この物語、主役を3人だとすると、「河崎」「琴美」「ドルジ」だとすると、椎名を「3人の物語に途中参加しただけの人」だと設定すると、その3人中、二人は死んでしまっていて、残る一人も、私的制裁、という罪?を犯し、警察に捕まっただろう。或いは、ポメラニアンを助けようとして、車に轢かれて死んでしまった?と思われる。おまけに、椎名のお父さんも、おそらくは癌?で、余命いくばくもない状況になっている?という感じですし、なんとも暗い。なんとも辛い。かなりヘヴィーな状況ですよ。登場人物のほとんど、誰もかれも。

    無邪気故に、許しがたい、吐き気そのものだぜって感じな、邪悪そのもの、この世の軽薄な残酷さの象徴みたいな、江尻&あとの若者男女の3人組の動物虐待の事件も含めて、陰惨な作品だ、という考えも、できる気がする。というか、作品の語り口を変えたら、大変に暗く重い、でも感動的な作品にすることは、できるのだと思う。其れだけの力量のある、作家ならば。

    だが伊坂さんは、この重いテーマに振ることのできたであろう作品を、あくまで、あくまでも、(真っ黒い服を着た)悪魔でも?軽やかな作品に仕立て上げるんですよねえ。その作風よ。その価値観よ。そのポリシーよ。素敵だと思います。

    世の中の残酷さをこれ以上なく書きながらも、決して悲観的ではない。ブータンの国の人が考える「生まれ変わり」を肯定的に考えている?点も含めて、伊坂さんは、何故にそこまでに、明るいんだろうなあ、楽天的なんだろうなあ、強いんだろうなあ。そう思うんですよねえ。素晴らしいなあ。

    作中、くりかえしくりかえし言及される、「神様の声」の持ち主、ボブ・ディランの曲に例えると、伊坂さんは「くよくよするなよ」って、言いたいんでしょうねえ。どれほど世の中が残酷でも、それでも、決して、笑う事を止めない。そんな姿勢を、感じますね。素敵です。その「神様」を、コインロッカーに、閉じ込める。むう、なんだかなあ、クールだよなあ。繰り返される、ドルジの名台詞「ソウデスネ」も、なんともクールです。

    あと、ドルジの行った、江尻に対する私的制裁は、ブランキーの名曲「★★★★★★★」を、思い起こさせました。腐った奴を正しい奴が引き裂いてやる。神様だってそうしたんでしょうねえ。そして、因果応報。くう。辛い。だがそれは、美しい事なのか。死んでも生まれ変わるだけだから。ベンジーとボブ・ディランって、似てますよねえ、雰囲気が。

    あと、琴美と河崎が話をしていたバッティングセンターで、ホームラン性の当たりを連発していた小学生。あれって、「あるキング」の主人公、山田王求なんでは?とか思ったんですが、どうなんでしょうね?気になる。気になりますね。そういう事を思わせてくれるのも、伊坂さん、流石だなあ。

  • 書店に広辞苑を盗みに入る物語。
    これまで読んだ伊坂幸太郎作品では首相暗殺や銀行強盗という犯罪が行われていたので、それらと比べると事件の被害規模の小ささに拍子抜けしてなかなかページをめくる手が進まなかった。後半になって伏線回収が始まり、いろんなことが明らかになるが、なんかスッキリしない読後感だった。

  • 伊坂さんの作品らしく、伏線がたくさん。面白さはもちろんあったんだけど、でも、しばらく読んでいくと、この人死んじゃうんじゃないか的な雰囲気が濃厚になってきてそれが嫌だった。救いは彼らに弄ばれて殺されたわけではなかったところ。

  • 最初、よく分からないなあと、とりあえず読み進めていっていたが、後半は少しずつ繋がっていき、ぐんぐん惹きこまれた。
    が、分からなかったことがはっきりし、すっきりはしたけど、悲しさが残った。

    初めてブータン人を知り、素敵な国だなあと思った。

  • 大学進学で独り暮らしを始めた椎名。アパートの隣室には、会った日に書店強盗に誘う青年が住んでいた。

    現在と二年前の話が交互になっており、徐々に全体の出来事や人物の真相が判明していく。

    友達に紹介されたもの、映画にもなっているそうで、人物描写をどのようにしているのか気になる。

  • 映画が大好きで本もよんでみた。やっぱら、かなしい話しだったけど本のほうが悲しく感じた。また映画みたいなー…

  • 見事に引っ掛けられておお〜となった。読後感がちょっと寂しい。残念なのは個人的にどうしてもヒロインが好きになれなかったこと。「人間は嫌い、動物は好き」タイプのキャラはどうも受け付けない……

  • 初期の伊坂作品らしい展開ですね。
    大学生達が織りなす青春をリズムのある軽い文章、会話で綴り、悪者が出てきて事件が起こり・・・
    何となく既視感のある前半部でしたが、後半は引き込まれました。

  • 【あらすじ】
    大学に通学するため仙台のアパートに引っ越してきた僕は、隣人から「広辞苑を手に入れるため本屋を襲撃する」手伝いに誘われる。最初は唐突な言動に戸惑う僕だったが、隣人の言われるがままに、本屋の裏口を見張る羽目になる。

    【感想】
    過去(2年前)と現在の章が交互に登場する構成になっている。過去のエピソードを読み進める事に、悲惨な結末が予想されてしまうが、それが現在のエピソードと結びついた瞬間は感動する。しかも叙述トリックではないので爽快デスネ。
    ちなみに、この本を読むとブータンの知識が付く。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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