ホテル1222 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488257064

作品紹介・あらすじ

雪嵐の中、オスロ発ベルゲン行きの列車が脱線、トンネルの壁に激突した。運転手は死亡、乗客は近くの古いホテルに避難した。ホテルには備蓄がたっぷりあり、救助を待つだけのはずだった。だがそんな中、牧師が他殺死体で発見された。吹雪は止む気配を見せず、救助が来る見込みはない。乗客のひとり、元警官の車椅子の女性が乞われて調査にあたるが、またも死体が……。ノルウェーミステリの女王がクリスティに捧げた、著者の最高傑作! 解説=若林踏

感想・レビュー・書評

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  • ちっとも面白くなかった。

  • ノルウェーの作家「アンネ・ホルト」の長篇ミステリ作品『ホテル1222(原題:1222)』を読みました。

    「エルスベツ・イーホルム」、「A・J・カジンスキー」に続き北欧ミステリ作品… 「アンネ・ホルト」作品は2年近く前に読んだ『凍える街』以来ですね。

    -----story-------------
    雪嵐の中、オスロ発ベルゲン行きの列車が脱線、トンネルの壁に激突した。
    運転手は死亡、乗客は近くの古いホテルに避難した。
    ホテルには備蓄がたっぷりあり、救助を待つだけのはずだった。
    だがそんな中、牧師が他殺死体で発見された。
    吹雪は止む気配を見せず、救助が来る見込みはない。
    乗客のひとり、元警官の車椅子の女性が乞われて調査にあたるが、またも死体が……。
    ノルウェーミステリの女王が「クリスティ」に捧げた、著者の最高傑作!
    解説=「若林踏」
    -----------------------

    オスロ市警の腕利き女性犯罪捜査官「ハンネ・ヴィルヘルムセン」シリーズの第8作目… 本作から元オスロ市警警部となっており引退後の物語になっています、、、

    前回読んだ『凍える街』が第7作目だったので、その続きという位置づけです… ホントは第1作目から順番に読んだ方が、彼女の過去の経験が色濃く反映されて形成された思考ロジックや挙動、複雑な精神状況等が理解できて物語に入り込みやすいのですが、第1作目~第3作目は邦訳されているが入手困難で、第4作目~第6作目は未訳らしいのでやむを得ないですね。


    2007年2月14日、職務中の負傷により車椅子での生活を余儀なくされ、警察を辞職した「ハンネ・ヴィルヘルムセン」が乗車していたオスロ発ベルゲン行きの列車が、雪嵐の中で脱線し、山中にあるトンネルに激突… 事故により運転手は死亡し、負傷者を含む268名の乗客たちは近くの古いホテル〈フィンセ1222〉に避難した、、、

    幸運にも列車には「マグヌス・ストレング」等、8人の医者が乗り合わせており、ホテルの支配人の「ベーリット・トゥヴァッラ」の手厚いもてなしを受けた乗客たちは救助を待つだけでいいはずだった… だがそんな中で、乗客のひとりで牧師の「カート・ハンメル」が銃で撃ち殺されているのが発見された。

    吹雪は止む気配を見せず、救助が来る見込みはない… 人々は次第に苛立ち、そして怯え始める、、、

    おまけにホテルの最上階には、正体不明の要人が宿泊しているとの噂が… どうやら脱線した列車の最後尾に特別車両が連結されており、そこに乗車していたらしいのだ。

    乗っていたのはノルウェーの王族? それとも移送中の犯罪者? 凶悪なテロリスト? 人々の憶測はとどまるところをしらない… 元警官の「ハンネ」が乞われて牧師殺人の捜査を請け負うことになるが捜査は難航、事件は一向に解決せず、次々と被害者が、、、

    老人の「エリアス・グラウ」が心臓発作で亡くなり、国立教会使節団秘書の「ローアル・ハンソン」が氷柱で刺殺され、金融界の大物「スタイナー・オース」が窓から転落死… 吹雪で閉じ込められたホテルの中に潜む犯人は誰?「ハンネ」の推理は?

    とまぁ、所謂"孤島モノ"とか"雪の山荘モノ"と呼ばれるサブジャンルに属する作品でしたね… 乗客たちの証言から「カート・ハンメル牧師」の過去の悪行が徐々に明らかになり、なんとなく動機も想定できるものの、、、

    偶然が重なったことにより犯罪が可能となっており、計画性が感じられないことや、真犯人が序盤から挙動不審な人物として描かれてはいるものの、読者への情報が不足しており、「ハンネ」の推理に納得できなかったんですよねぇ… 読んでる側からすると唐突な感じでしたね。
     
    「アガサ・クリスティ」の『そして誰もいなくなった』を意識した作品で、終盤に「ハンネ」が容疑者を一堂に集めて推理を説明して犯人を指摘するという本格派推理小説っぽい展開ではあるのですが… ちょっと物足りなさを感じました。



    以下、主な登場人物です。

    「ハンネ・ヴィルヘルムセン」
     元オスロ市警の警部

    「ガイル・ルグホルメン」
     弁護士

    「ヨハン」
     自然体験ツアーの主催者で赤十字のメンバー
     
    「マグヌス・ストレング」
     医師

    「カート・ハンメル」
     オスロの教会の牧師

    「ローアル・ハンソン」
     国立教会使節団の秘書

    「アドリアン」
     十五歳の少年

    「ヴェロニカ」
     アドリアンと行動をともにする若い女性

    「カーリ・トゥーエ」
     評論家。テレビなどにも出演

    「スタイナー・オース」
     金融界の大物

    「ミケル」
     若者グループのリーダー

    「ベーリット・トゥヴァッラ」
     <フィンセ1222>の支配人

    「ネフィス」
     ハンネのパートナー

    「マリー・サムエルセン」
     ハンネとネフィスの家の家政婦

  • やっちまったな

  • 正直言って面白くなかった。
    クローズドサークル物として期待しすぎたせいなのか。
    どちらかと言えば本格ではなく社会派だと思う。
    主人公も毒舌が多く人の話を遮ってばかりで好感が持てない。舞台となるノルウェーのことを知っていたら、楽しめるのかな?
    少なくとも著者が尊敬しているアガサ・クリスティーのほうが断然面白い

  • 列車の脱線事故で山間のホテルに逃げ込んだ数百名の乗客。猛吹雪に閉ざされたホテルの中で殺人事件が発生、避難した乗客の一人である元警部のハンナはホテルの支配人に協力を要請される。
    なかなかここまで偏屈な主人公も珍しい。ある意味とてもハードボイルド。シリーズ物の途中の作品らしいが。
    何が驚くって、作家の経歴…

  •  酷い凡作。気難しい主人公のヒト(他者)に向ける視線その意識を尖らせるさま、また相対する相手との距離の置き方・保ち方に対する神経質さ、そんな性格付けというか特徴付けはユニークであるとは思う。しかしそんな主人公に魅力が感じられない。設定はいいのに物語が一向におもしろくなっていかない。・・悪口しかうかばない。時間を無駄に費やした。

  • 「200人が巻き込まれた列車脱線事故」「マイナス30度」などといった舞台立てで人目を引きつつ、実際は即死した運転士以外は重傷者もなかったり(スキーストックが腿を貫通した主人公など、結構な重傷だと思うんだけど…いくら医者が大勢乗り合わせていたからって、医療機器もない中で、ちょっと予後が良すぎる気がする)、「遭難者」たちは温かく快適なホテルで豪華な食事に舌鼓を打っていたりで、どうも作者のやりたかったことがよくわからない。苛酷路線とマイルド路線、作品の雰囲気をどちらに寄せたかったのか。
    第二の凶器や、以前から化粧をせず、今は車椅子に乗る主人公なればこそ気づかなかった「ある欠落」など、ミステリ的に感心させられた小ネタも多少はあったが、そもそも200人もいてはアリバイ破りどころではなく、本格味は薄め。それよりは主人公やベーリット、マグヌス、カーリらの人物造型や、馴染みのないノルウェーの社会や風俗描写のほうに見どころを感じた。小説としてつまらないわけではけっしてないが、ミステリ、ましてクローズド・サークルものとしての期待を抱いてしまうと、裏切られることになるだろう。

    2016/10/22〜10/23読了

  • 館系とか雪山山荘系は自分のドンピシャ好みなのであらすじを見て買いました。
    主人公がマイノリティだったり健常者でなかったりするのだけどそれが物凄くサラッと描かれているので驚きつつこういうのが良いよなとも思った。
    トリックや犯人とかのヒントは色んなところに散っているんだけども視点が主人公だからつい引っ張られるし別の事柄も気になって全然分からなかったです!!!精進します
    あとこれ訳者あとがきにあるようにシリーズものなんですね!吃驚した
    ちゃんと1から読んでみたい気持ちも少しあるけど難しそうですね……

  •  クローズド・サークルを題材とした北欧ミステリ。
     激しい吹雪に見舞われたノルウェーの山中、トンネル衝突事故を起こした列車から避難した乗客たちが泊まるホテルで、連続殺人事件が発生する。
     偶然居合わせた元警察官の女性が中心となって展開する調査。
     モチーフを相似とする先行作品へのオマージュがそこかしこに見られるが、敢えて特徴を追記するなら、ロジックに特化した推理物に終始せず、主人公の内面を曝け出した心理小説でもあるという点が挙げられる。
     決して中立的な『神の視点』による謎解きではなく、時に偏向的であったり、厭世的であったり、ヒロインの人間性についての描写の方が、寧ろ厚みがある。
     肝心の事件とその解明について、読後の評価は分かれるであろうし、正直、説明足らずの部分も見受けられるが、この本自体がシリーズの中途に当たり、過去の巻のいくつかが邦訳されていないなど、出版事情を背景とした構成の不備とも言えるのではないだろうか。

  • 読むのがこれほどツラい本は久しぶりだ。主人公は車椅子に乗っている元警察官で、とことん人嫌いな性格。シリーズ物らしいから前から読んでれば分かるのかもしれないけど、何故主人公がこんな性格なのか、それに意味があるのかがなかなか分からない。一人称で語られるのだが、思考の流れは支離滅裂だし、ホテルに閉じ込められた人々の描写も主観が入りすぎていて推理の種にならない。密室ものなのだから、もうちょっと工夫して書いて欲しかった。

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