ほこりまみれの兄弟

  • 評論社
3.96
  • (9)
  • (7)
  • (5)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 85
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566020962

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 両親を早く亡くし、意地悪なおばさんの元で暮らす少年。彼は父さんから聞いた話から学問の道に憧れるが、休む間もなく仕事をさせられ、学校などは遠い夢。唯一慰めてくれるのは幼い頃から一緒の犬のアルゴスとニチニチソウの花。人との出会い、旅のなかで本当に大切なものは何か?問いかける。草の名前が沢山出てくる情景描写もいい。

  • 評論社が拾い上げて出しているサトクリフは、岩波で出ている作品に比べると小品が多いが、やはり翻訳されれば嬉しいもの。エリザベス時代のイギリスを舞台に、孤児の少年ヒューが辿る運命のお話。ちなみにイルカの指輪は出てきません。
    父の遺志を継いでオックスフォードで新しい学問を学ぼうと志すヒュー(と犬のアルゴスとツルニチニチソウの鉢植え)は、途中で出会った旅芸人の一座に「ほこりまみれの足の兄弟」と呼ばれて仲間に加えてもらう。(dusty-feet、ほこりまみれの足とは旅かせぎの人達全部を指す、と作中で説明があるが、最初にそう呼ばれてからヒューの通り名になっている)

    途中にイギリスの民間伝承や素朴な信仰などを取り入れつつ少年の成長を描いているところがとってもサトクリフ。傑作とは言わないけど良作だった。
    作中に登場するベドラムのトムと呼ばれる存在が気になって調べたら、実在した病院名から一般名詞として使われるようになった言葉らしかった。

  • ほかのサトクリフの作品にくらべると、
    ちょっと、ものたりなかった。

    展開が、ステレオタイプで、
    さらっとすぎていってしまうような・・・

    ひとりひとりの負った宿命や背景を、
    もっとかんじたかったな。

    「自由で楽しい旅暮らしの物語の奥に、
     生きることの意味を考える、深い主題がかくされた秀作」
    と、あったけれど、うーん。

  • イギリスの歴史ファンタジーの大御所、サトクリフの作品。
    興がのるまではとっつきにくいのですが、途中からはどんどん話にひきこまれていきました。
    さすが大御所。
    でもね、これ、児童書扱いでの出版なんですが、、、子どもたちが実際に手にとって読んでくれるかな? サトクリフの思いが伝わるかな?というのは難しいところです。

  • 男の子の旅への憧れを書きあらわしたような作品。

    育った場所を出るもっともな理由、偶然の出会い、そして仲間と一緒のさすらい。旅芸人であることで周囲のそしりやさげすみを受けたこともあるだろうし、空腹なことも多かっただろうがそれについては掘り下げず、仲間との交流や村での出来事などにフォーカスして書かれている。

    最後に起きる主人公の転機は「さもありなん」といったもの。
    他のサトクリフ作品ほど深さや渋さやドラマティックではないが
    やさしさのある、すてきな少年向け児童書だと思う。

  • カルピス名作劇場(?)を彷彿させる秀作。
    主人公の心の成長などを考えると、読書適齢5年は肯けるが、時代背景の描写などは少し、むずかしそうだ。
    たくさんの花の名前が出てきて、女性作家らしい。

  • 久しぶりにサトクリフを読んだが、初期の作品とはいえ、この質の高さを見よ!ああ、面白かった。まるで自分が主人公たちと一緒にイギリスを旅しているようだった。

  • 8歳の時に孤児になった10歳の少年ヒューは、親戚であるジェイコブおじさんとアリスンおばさんの農場に住んでいたが、彼らはとても意地悪。ヒューを悲しませるために愛犬のアルゴスを叩いたり。ある日おばさんにアルゴスが殺されそうになり、アルゴスとツルニチニチソウの鉢だけを持って農場から逃げ出した。
    オクスフォードへ行って新しい学問を勉強しようと目指すが、途中で旅芸人の一座と出会い、彼らと旅をすることに。

    16世紀のイギリスでは、住む家を持たず旅をして暮らす人を「ほこりまみれの足」とよばれていたそうで、そこからヒューも、旅芸人仲間から「ほこりまみれ」と呼ばれ、芝居に出たりしていた。食事できたりできなかったりの貧乏な旅芸人一座ではあったが楽しく日々を過ごしていたが・・。
    彼らに出会えたヒューは幸運。よかったね。旅の日々、芝居の話、途中出会う人々が語られる。

  • 2010.12.1〜2011.1.10.
    翻訳モノだが、ややこしい言い回しもなく、楽しく読めた。16世紀のイギリスでのお話で、子どもの成長物語。旅芸人とともに一年歩み、今後どうしていくのか、このままの生活を続けて、遠い将来、目的が果たせれば...と思いつつ読んでいたが、思わぬ展開をみせ、とても良い読後感だった。

  • 両親を亡くし、いじわるな叔母の家で暮らしていた12歳のヒューは、飼い犬のアルゴスを殺されそうになって逃げ出した。当てのない旅だったが、すてきな旅芸人の一行に出会い、仲間に入れてもらえることになって…。親切な人、意地悪な人、そして不思議な人や出来事に出会いながらヒュー達の旅は続く。人の心の暖かさを、じんわり感じる物語。

全20件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

イギリスの児童文学者、小説家。幼いときの病がもとで歩行が不自由になる。自らの運命と向きあいながら、数多くの作品を書いた。『第九軍団のワシ』、『銀の枝』、『ともしびをかかげて』(59年カーネギー賞受賞)(以上、岩波書店)のローマン・ブリテン三部作で、歴史小説家としての地位を確立。数多くの長編、ラジオの脚本、イギリスの伝説の再話、自伝などがある。

「2020年 『夜明けの風[新版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ローズマリー・サトクリフの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×