夜行観覧車

著者 :
  • 双葉社
3.27
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本棚登録 : 7781
感想 : 1169
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236941

感想・レビュー・書評

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  • 家族って、その人たちにしか分からないものがあるんだろうな、って思った。幸せそうに見えてもその奥にはいろんな思いがあって。いろんな人からの視点で描かれていくのがおもしろかった。個人的には遠藤家よりも高橋家よりも、小池さと子が話を深くしてると思った。あの人もまた、切ないものがある。

  • ドラマを先に見てしまったので、比して読み応えが、ちょっと物足りなかったかなぁ。

  • ひばりヶ丘という高台の高級住宅街で起きた殺人事件。
    誰もが羨むエリート一家の高橋家の父が被害者で、母が加害者。
    容姿端麗で優秀な子供たちは、一気に加害者家族と被害者家族になる。
    癇癪持ちの一人娘がいて一番問題を抱えていたはずの向かいの遠藤家、その隣人のお節介ババァの小島さと子。

    学歴コンプレックスや階級コンプレックス、他人との比較、親と子それぞれに抱えるストレスや身勝手なエゴ、女性週刊誌やマスコミが好きそうな下世話さ、他人の不幸を餌にする野次馬根性。

    女性特有の醜さは、嫌悪の塊で読んでいて気持ちいいものでもないし、ここから学ぶ要素もない。
    それでも、するすると一気に1冊読み切ってしまうところが、湊かなえさんの奇術なんだろうなぁ。

  • この小説を読んで思い出したのが、東野圭吾さんの「手紙」です。
    犯罪者を家族に持つという所が共通点。
    まだ「手紙」を読んでいない方は、読んでみてください。

    「夜行観覧車」は犯罪を犯してしまった母親と
    これからどうなるのか不安な三兄妹。
    そして、向かいに住む、家庭内暴力をふるう娘をもつ家族。
    そして、高級住宅地に住む人々。
    それらの人々が絡まって話が進んでいきます。

    読後感、とても良かったです。
    最初から途中までは、意地悪で心が狭く有閑マダム的に描かれていた小島さと子が、最終的にはとても良い人に描かれています。
    そして、比奈子(犯罪者の娘)の友人や隣人たちが、悪質な張り紙をはがしていく。

    家族って、一つ歯車が狂うとここまでおかしくなるのか、と怖くもありますが、それでも家族は家族。捨てられるものじゃない。
    そして、犯罪加害者の家族の周りに存在する、助けてくれる人々。
    内容はダークですが、心温まる場面で終わりましたので、
    読後感は良かったです。

    生徒にも薦められます。

  • もやもやしたラスト。

  • #3072ー44ー366

  • ひばりヶ丘で殺人事件が起きた。
    事件が起きた家族の視点、向かいのお家からの視点、
    ぶっとんでいるように見える隣人からの視点。
    それぞれの視点から話が進んでいく。

    娘の彩花の癇癪がひどい遠藤家。
    優秀な子供たちのいる高橋家。
    実際に殺人事件が起きたのは、高橋家。
    彩花の何でも他人のせいで悪いことが起きてる精神には、
    理解ができなかった。
    けど、思春期の頃はそういうものかも…
    と少しだけ思えたよー。

    ハッピーエンドではないけど、家族の在り方については
    考えさせられたかなぁー。

  • 夜行観覧車 湊かなえ
    (株)双葉社
    2010 6/6 第1刷
    2010 6/17 第2刷

    2019 12/11 読了

    この本も「BIBLIO RADIO」でご一緒してくださってるペコリーヌさんにお借りしました。

    本作の中では
    日常、非日常は薄皮を挟んで密着している。

    日常的な社会の中では
    最早人々は正常に生きていけなくなっているのかなぁ…

    個人の感情は社会の中では
    まるで不必要と言われているのかなぁ…

    感情が爆発した先端が「殺人事件」だとするなら
    その感情を覆い隠している日常的な社会の方が歪なんだろうか。

    2010年に出版された本作は
    この歪な社会を予言しているのかもしれない。

  • 消化不良・・・

    とりあえず息苦しい作品であった。さすが湊かなえさんだけあって、登場人物は相変わらず読者と等身大でリアル。だから決してすっきりとしたラストではない。そのあたりをどう捉えるかが作品の評価の分かれ目だろうか。

  •  図書館より
     高級住宅地で起こった殺人事件の真相を、事件の起こった高橋家、その隣に住む遠藤家、そしてその近所に住む小島さと子、それぞれの視点から迫っていくミステリー。

     『告白』の湊さんらしい人間のドロドロっぷり(笑)。コンプレックス、エゴ、親からのプレッシャー、ストレス、現実逃避……、事件の真相は? というミステリ的な興味はもちろんありますが、読めば読むほど明らかになっていく、各人物たちの抱えた黒い部分に嫌悪を覚えつつも、
    筆の巧さ、そしてなによりも舞台や各人物の境遇の置き方が巧くその黒い部分にどこかしら共感や理解を覚えながら読み進めてしまいます。

     一見幸せそうに見えた高橋家と娘が常に癇癪を爆発させている遠藤家、しかし事件が起こったのは高橋家の方。しかし読み進めてみると遠藤家でなぜ事件が起こらなかったのか、なぜ高橋家で事件が起こってしまったのか、という境界線がぼんやりと見えてきます。

     読んで思ったのは家族という共同体の曖昧さ、そして家族の平穏は常にギリギリの綱渡りの上で成立しているのではないか、ということでした。

     個人的に小島さと子の悪意がなかなかに強烈でした。善良そうな人かと思いきや、自分の価値観のためにやること、そして何よりそれをとがめられた時の反論が
    理解はできてもまったく共感できないもので、こんな行動原理でこうも自分が正しいように言い返せるんだな、とある意味感心してしまうほど。そんなさと子ですが、終盤では意外な面もみれて、人間って分からないな、とも思いました。

     まとめ方が少し雑というか、無理やり話を希望を残した感じで終わらせようとしているのが、少し違和感がありましたが、改めて「やっぱり湊さんだなあ」と思わせられる作品でした。高橋家の子どもたちは本当に頑張ってほしいなあ。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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