- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591162903
感想・レビュー・書評
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ただ淡々と話しが進んで行き、何の事件も起きずにエンディングまで行く感じ、嫌いではない。
年々、毒々しい話しが読めなくなって来た自分には丁度良い作品。
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なんのメリハリもなく、話が終わってしまい拍子抜けでした。
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地味な町で地味な人たちが地味につながっていく。よいことだ。ひとり暮らしを含めて30年間、借家住まいを転々として分かった。子どもが小さい時だけは、近所と繋がれるもんだ。
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主人公が参列する結婚披露宴のシーンから、
物語は始まります。
おめでたいことですが、
主人公はハッピーな気持ちではありません。
つつがなく式が終了することだけを考えています。
彼にとっては新郎も新婦も赤の他人。
代理出席の会社から派遣され、
アルバイトとして出席しているのです。
新卒で入った会社を二年で辞め、
次に入った会社は半年しか続かず、
今はコンビニのアルバイトをして暮らしています。
足りない生活費を補うため、
時々、代理出席のアルバイトをしているのです。
副業として金銭的なありがたみはありますが、
アルバイトの間中、
どこか居心地の悪さを感じています。
どんなに豪華な式であっても、
どれほど温かな会であっても、
その場において彼は、
”何者でもない誰か”に過ぎません。
数合わせのために、
ただそこに居るだけの書き割りのような存在です。
そんな彼が、
他のだれでもなく自分を必要とする仲間を得て、
自分が自分で居られる場所を見つける物語です。
この物語が面白いのは、
主人公が特別な才能を発揮したり、
特別な出来事に巻き込まれたりするわけではなく、
ごくごく普通の日常でそれを掴んでいくところです。
特別な何かができるから、
特別な何かを持っているから、
という訳ではないのです。
彼という存在そのものを認めてくれる人、
発揮できる場所に出会う物語です。
主人公が偉いと思うのは、
人生のちょっとしたつまづきに対して、
無闇に慌てふためいたり、
焦って無謀な行動に出ないことです。
誰しもちょっとしたつまずきをすることがあります。
転職先や異動先の同僚と馴染めない。
思っていた仕事と違っていた。
楽しそうだと思って始めたのにそうじゃなかった。
お金を損しちゃった。
そんな時、つい自暴自棄になったり、
あるいは自分はダメな奴だと卑下したりしがちです。
主人公は淡々と日常を送っているように見えます。
いつまでもアルバイトのままではいけない、
という想いを抱えながらも、じっとしています。
そこにチャンスがやってきます。
変化のきっかけです。
幸運の女神が手を差し伸べてくれるのです。
ここでも面白いのは、
そのきっかけは一見、女神の顔をしていないことです。
むしろ逆の顔でそっと近づいてきます。
普通なら見逃してしまうかもしれませんが、
彼は自然体でその流れに乗ります。
少しずつ少しずつ彼の世界は変わっていきます。
心持ちが変化していきます。
苦しい時こそ、辛い時こそ、上手くいかない時こそ、
「日常力」とでもいうような力が試される気がします。
日々を変えるために、
必死であがくことも必要だと思います。
ただ人生は長期戦。
ひとつずつ積み重ねるしかないようです。 -
4.1
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大学を出て新卒で入った就職先は2年で辞めた。すぐにみつけた次の転職先も半年で辞めた。以後コンビニでフルタイム、時々結婚式のサクラと、アルバイトで糊口を凌ぐ井川幹太はもう27歳になった。江戸川区平井のワンルームアパートに大学時代から住み続けて8年半。かつて同じアパートに住んでいた大学の同級生たちは、みんな転居していった。「またいつか集まれる」とみんな言うけれど、そのいつかはたぶん、もう来ないと思う。
誰かの彼氏や夫、父親、息子、どこかの企業の人、何かを成し遂げる人、夢を追う人。どれにもなりきれず茫洋と生きる幹太。しかし彼の周囲は、静かに確実に変わっていく――。
大事件は起きない。小さな事件も起きない。不条理な悲劇もない。価値観をがらりと変える刺激もない。自分に合う会社や仕事に巡り合えず、アルバイト生活のまま20代の後半を迎える青年の生活を淡々と描き出していくこの作品、それでも、それだからこそ、読んでいて思わず頷く、共感してしまうエピソードが満載だ。
幹太は就職先を決めるにあたって、とりあえず「パンが好きだから」という理由で第一志望の大手製パン会社に就職したものの、配属先でキツい上司にあたり、それが原因で辞めてしまう。もう好きなものに関わるのはよそうと、すぐに見つけた次の就職先は家電量販店だが、そこの上司には「普通、興味のない会社には入りませんよ」と言われ、「好きなものを仕事にしたくない」とも言い返せずに半年で辞める。
一度目は上手くいかなかったからと、考え方を変えて間を置かずに動いたことが裏目に出て、二度目の退職の後は身動きが取れなくなってしまう。
どうすれば良かったんだろうね。会社は何を求めて労働力を採用するんだ、何を基準に人を選んでいるんだ。わからないまま自信も気力もなくし、気がついたら年を取ってる。あるあるです。しかしまだ27歳で何を言ってるんだ小僧! 30代40代でそんなんなってるやつは今の日本にいっぱいいるのだ。
それはさておき、そんな幹太君、8年半も同じ場所に住んでいると意外に顔見知りになる人も現れる。同じアパートの上階の人、両隣の住人、近所の高校生、たまに行く喫茶店のおばちゃん。それはみんな良い人たちで、でも、そうやって他人を知っていくほどに、幹太の生活は穏やかながらも揺さぶられて、やがて新しい一歩を踏み出していく。その幹太君の背中がリアルに感じる、気分はもう近所のおばちゃんである。
私なんてスパイものとかハードボイルド・アクションとか、ミステリとか、歴史ものや戦記物ばっかり読んでるから、何も起きない日常系の読み物なんてつまらないと思っていた。けれどそれは間違いだった。何も起きない、ごく普通に見える人生のなかで起こるいろいろな出来事――子育て、夫婦や友人の間の関係、彼氏彼女の事情、そして仕事でおこる様々な問題はどれもこれも結構ヘビーなものなのだ。普通の人生、実は相当ハードモード。この『ライフ』に出会って、気づいてしまった。 -
2019年本屋大賞第2位
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平和なんだけど、なんとも言えない感じの小説でした。
やっぱアパートの一階にも二階にも住みたくないな?とは思ってしまう、騒音問題。 -
8
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人は他人には一般論を言う。