あい

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 119
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412087

感想・レビュー・書評

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  • 20130718
    この人が描く人物はいつもあたたかく、いさぎよく、ゆらがない自分を持っている。私には理想でしかないけれど。母に「あなたもあいのような人になりなさい」と言われた。今作は実在の人物の一生をかなり早足で追いかけていて、想像で埋めて行く作業があった(笑)

  • 澪つくし料理帖シリーズで有名な著者が書いた、実在の人物をモデルにした小説。
    貧しい育ちながら努力をして蘭方医から御典医にまでなった関寛斎。
    その夫を支え続けた妻あいの視点で、出会いから永久の別れまでが描かれている。
    苦しい状況の中でも、常に前向きなあいがいたからこそ、寛斎は自分のやりたい事に身を捧げることができた。
    高齢になってから北海道開拓に着手するほどのバイタリティあふれる夫を支えるのは、並大抵ではなかっただろう。
    そのぽじてぃぶさq、見習いたい。

  • 幕末から明治にかけ実在した蘭方医・関寛斎について、その妻・あいの立場から見た生涯の物語。
    高田郁らしく人間愛・家族愛をテーマにした小説だが、澪つくしシリーズ、銀二貫のような感動までは感じられなかった。が、寛斎とあいとがお互いを思いやり尊敬しあう夫婦愛が羨ましく思った。

  • 実在の人物をモデルにして、史実を基に書かれたフィクション、という感じ?
    今夏のジブリ映画『風立ちぬ』と同じ方法論なのかな。
    堀越二郎は実在するけど着想は堀辰雄の『風立ちぬ』がモチーフ、みたいな。

    実在の人物を取り上げている、ということで
    冲方丁氏の『天地明察』『光圀伝』を思い出した。
    偉人本人の目線から、更に男性目線から語るのと
    偉人の妻、女性目線で語るのと
    作家さんの特徴もありつつ、大きな違いが透けて見えるのは面白かった。
    特に関寛斎や息子たちの描写のカッコよさは女性作家ならではだなぁと。
    勝手な願望だが、冲方丁氏が関寛斎を描いた物語を読んでみたくなった。

    このお話の核心は第一章のラスト、祝言の場面に集約されているのかな、という気がした。
    寛斎とあいが一番幸せだった瞬間がここだったのかもしれない、と。
    あいのポジティブさもいい感じ。幕末の話でこのポジティブさは目から鱗だった。
    かといってぶっ飛んだ人にも見えないし。違和感なくポジティブなのがすごい。

    全体的にはあっさりテイスト。もっというと駆け足で話を纏めちゃったように見えた。
    70年近い生涯を語るにはこの2倍くらい必要なんじゃないだろうか。
    その駆け足感が若干残念ではある。

  • 現実の偉人である「関寛斎」を生涯にわたって支え続けた妻・あいの物語。
    当然、関寛斎については数多くの資料が残されているようですが、あいさんについては作者の想像による補完もあるようで。

    偉人伝みたいなものってドラマ性が高くて読んでいて楽しいものですが、その妻っていうのも面白いものですね。

    ただ、「これこれこういうことがおこった」という感じで話がやたらとサクサク進んでしまうのがちょっと話を薄く感じさせるような。一生を駆け足でざーっと見た気分。そのせいか、それなりに艱難辛苦があるもののなんか順風満帆にいろいろ物事が進んでるなあ・・・という印象が強い。苦労は苦労なんでしょうけど、同時代の一般的な人に比べるとかなり恵まれてるというか。。

  • 高田郁さんらしい、芯が強くてひたむきな女性が主人公。
    実在の人物らしいのですが、前半は比較的丁寧に描かれているのですが、後半になると駆け足に感じられてそこが残念でした。

  • 書きたい要素がたくさんあったんだろうけど、もう少しエピソードを絞って深く丁寧に書いてほしかった。
    全体的に展開が駆け足で、入り込める前に終わってしまった感じがする。
    高田さん好きなだけに、ちょっと残念。。
    でも後半、特に北海道に移ってからの最後はよかった。

    みをつくしと、出世花の続きを楽しみにしてます!

  • 実在した人物をモデルに書いた小説。
    司馬遼太郎らも題材に小説を執筆した関寛斎、その妻あいの生涯を描いたもの。
    夫を支え、子を産み育て、家を守り懸命に働き続けたあいの生涯は胸を打ちます。
    苦境に直面しても、物事の良いところをとらえて前向きに進もうとする姿。その姿に夫をはじめとした周囲の人々は何度も救われたことでしょう。
    親たちの決めた相手と結婚し、夫のゆくところへ従い、一見すれば流されているようにも見えるかもしれませんが、慕う夫の役に立ちたいと奮闘する姿は自立した女の姿でもあるように思います。

  • 妻・あいの存在を示す物は、手織りの木綿の布地が少し、着物一枚、帯締め、家族写真数様。あとは、夫・関寛斎の「婆はわしより偉かった」等の言葉しか残されていない。実在の人物・関寛斎を妻・あいの視点から描くことで、北海道開拓を志した関寛斎の人となりや考え方、生き方の根底にあるものが見事に浮かび上がってくる。そこに、素晴らしい夫婦愛が確かにあると感動した。

  • 幕末に実在した医者、関寛斎の妻、あいの生涯を描いたお話。
    今まで読んできた髙田さんの小説はずっと食に関するものだったので新鮮でした。

    読中、髙田さんの小説はどうしてこんなにすぅーっと入っていけるのかなあとぼんやり考えたのですが、髙田さんって欲張らないんですよね。
    実際書かれている事の何倍もの情報を調べ得ているはずだし、この時代についてももっともっと詳しいはずなのに、あえて書いてない。気がする。
    だから読む側の私たちもまっすぐに受け取ることができるのかなと思いました。

    寛斎があいに「禍に直面しても挫けず、物事の良い面を見つめて難事を乗り越えてしまう」と感嘆する場面が印象に残っています。

    どんな災害や困難も人は乗り越え、生き、繋がって、今があるんだなあ...。勇気づけられました。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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