雨にもまけず粗茶一服

著者 :
  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838714490

感想・レビュー・書評

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  • 初、松村栄子作品。
    コミカルでテンポ良く、さくっと読めました。
    遊馬はお金欲しさに家宝を売ろうとしてしまうようなイマドキの男の子なのに、
    ふとした仕草や茶道の事になると普通の人にはできないような振る舞いをさらっとしてしまう。
    そんなギャップが不思議であり、羨ましくもありました。
    身に沁み込んだ振る舞いはそう簡単に抜けるもんじゃないですよね。
    能天気な遊馬と正反対の性格である弟の行馬。
    彼が昔から考えていた壮大な計画を知った時はビックリ!
    そしてラストはほろっとさせられます。
    ドラマ化されても面白いかも。

    【「これからは自分らしく生きることにしたんだ。黒々とした髪七三に分けて、あんこ喰っててもしょうがないだろ」武家茶道家元後嗣・友衛遊馬18歳。彼はそう言って家を出た―。酔狂な茶人たち、ほんのり甘い恋心、そして消えた茶杓…。京の都で繰り広げられる茶ごころたっぷりの傑作エンターテインメント】

  • リンク先のブログにて紹介させていただきました。

    http://zoo08.blog.so-net.ne.jp/2012-02-16

  • 茶道の家元の長男として生まれ、将来は跡継ぎと決められてきた主人公、遊馬。
    茶の伝統を受け継ぐ者として、一度は上方の空気を吸って来いと京都の大学を受験させられるも…実はそれをボイコットして遊びに行っていた。ある日その事がばれ、寺に放り込まれそうになったのを機に家出を決意。
    友人宅に転がり込むが、これがひょんなことから京都の町家で暮らすこととなってしまった。しかもその家のおばあちゃんは遊馬の家と関わりの深い巴流の茶道の先生をしているという。

    どうにかお茶から逃れようともがくも何故だか茶の湯と縁の深い遊馬。
    しかも本人は望まないものの茶道の素質があり、家元としての英才教育の賜物がにじみでてしまう。

    何がしたいのかわからない遊馬がドタバタしているくだりが長すぎる気もするけれどラスト50ページくらいの展開が圧巻!
    主人公の魅力はイマイチですが、脇役が個性的なので意外とちょうどいいのかも。
    とにかく私は好きな話でした。京都好き、茶道好きにはお勧めです。続きが出ているようなのでまた読みたいな。

  • ちょっと軽いおばかさんのように感じる主人公の遊馬(あすま)くんが
    とっても愛おしくって
    他にも不思議な魅力を持った人たちがたくさん出てきます
    心にとどめておきたい言葉が何個かあって
    手帳にメモして、何度かつぶやいたりしています

    「欠けているものは、いずれその人の中に求める心が生まれれば
     必ず補われる。」
    「待ってたって未来なんかどこにもない。
     男なら、引き裂いてむしりとって割れた爪の間に作るんだ」

    他にも、茶の湯の規範や掛け軸の言葉
    以前、読んだ時はストーリーにばかり気持ちがあったと思うけど
    今回は、心に深と染み入る言葉の宝庫でした

  • 純粋に面白い。キャラもテンポも最高です。読み始めるといつも一気読みしてしまいます。有名じゃないのが本当に勿体ない作品。
    友だちとN○Kの朝ドラにしてほしいって話をよくします。

  • 再読

  • 京都などを舞台とした作品です。

  • 主人公はお茶の家元の跡継ぎを運命付けられている長男ですが、その中学生になったばかりの弟がすごい。自分は家元にはなれないという次男の運命をはやくも理解し、それを回避するための壮大な計画を練り上げ実行する。源氏物語もよみ、女性を自分好みに染め上げると公言する。すごいね。そんな弟に比べるとお兄ちゃんは人間味豊かで自由奔放に生きてるように見えます。このバランスが面白いです。

  • 支流ながらも茶道家元の家の長男として生まれた「遊馬」が、家出中にいろいろ体験したり学んだりしてたくましく成長していくという話。

  • 面白かったんだけど、特に前半、主人公・遊馬の生き方にはちょっとイライラ。
    自分の生き方が自分で決められない家元の宿命みたいなのには同情するけれど、何というかそこから逃げている感じがイヤでした。

    でも、そんな遊馬が京都で出会う一風変わった茶人たちは、みんな一癖も二癖もありながら、みんなそれぞれに茶道を愛していて、彼らとの交流の中で遊馬が少しずつ成長していく姿は、青春小説の王道ではありながら、やっぱり気持ちいいです。

    ちょっと茶道を習ってみたくなりました。

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著者プロフィール

1990年『僕はかぐや姫』で海燕新人文学賞。92年『至高聖所(アバトーン)』で芥川賞。他に自身の茶道体験を綴った『ひよっこ茶人、茶会へまいる。』、武家茶道を軸にした青春小説『雨にもまけず粗茶一服』『風にもまけず粗茶一服』『花のお江戸で粗茶一服』、古典を繙く『京都で読む徒然草』などがある。

「2019年 『夢幻にあそぶ 能楽ことはじめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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