デザインの輪郭

著者 :
  • TOTO出版
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感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887062603

感想・レビュー・書評

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  • デザインは宇宙のようだ。著者が20年ほどデザインを学んで、まだ輪郭しかつかめていないのだから。

  • auの携帯、インフォバーは、デザインが美しくて欲しかったけれど、二つ折り携帯がよかったので機種変しなかったのだった。
    今でも惜しいと思う。
    それをデザインされた方だった。

    デザインって具体的にどういうもの、ということは書かれていないのだけれど、こういうことを考えてやっている、っていう感覚を読むことが出来るのはすばらしい。
    ふつう、シンプル、そういったことの大事さや、無駄のなさが、とても美しい。

    p214

    僕にとっての情報とは、あなたと私が今、
    考えてはいなくても同じ椅子の座の感触を
    同時に感じているというようなことです。


    少し前に読んだ整体の本(骨盤にきく-気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門-――片山洋次郎)で、
    両手で自分の二の腕のあたりを抱く、というのがあった。
    これが落ち着くんだったか、効用を忘れてしまったのだけれど……

    このときに、手でさわっているのでなく、さわられていると感じることが大事なのだとあって。

    深澤さんが、手そのものを描くのではなく、背景があって、手が浮かび上がるというような表現をされていて、これが自分の中で結び合った。

  • この手の本としては、意外に深い本。第一印象では詩的な絵本のようなものにみえて敬遠していたけれど、難波和彦さんのウェブサイト(日記)で好評価だったので手にとった。

    「輪郭」「デザインと俳句」「ふつう」「ほら、ね」「凝り性」「週末小屋」など、美しい表現・思想、ドキッとする考え方、うならされる見方に満ちている。
    忘れたくないキーワードが多く、味わいのある一冊。

  • 言葉の断片がストンストンと落ちてくる。他人とは思えないシンクロ感、と言うとあまりにおこがましいが、終始共感しきりだった。

  • 【オススメ書籍紹介】『デザインの輪郭』深澤直人
    (レビュアー:エンジニア 久保田)

    本書は「デザインとはなんなのか」という、
    やや抽象度の高い内容について書かれています。
    例えば「張り」という章があるのですが、本文が
    「張りは、輪郭の力のことです。」
    と続きます。
    はて?と思って読み進めていくと、

    ものとその周りにある環境との関係が、そのものの輪郭を決めていく。
    その輪郭を見だすのがデザイナーの仕事であるということがわかってきた。
    ~略~
    外の要因や、外の力が、内を決めているということが。
    その必然的かたちが、必然的力をみせる。それが「張り」なのである。

    と続きます。
    わかったような、わからないような。
    でも、なんとなくわかりますよね。
    そもそも「張り」についてこんなに深く考察したことがないので、
    分からないのは当然なんですけど、なんとなくわかる。
    この、何もないところから、なんとなく分かる状態に持って行くこと
    その行為そのものがデザインなのかな。と感じました。

    デザインするということは何か具体的なものが最初からあるわけではなく、
    様々な要因が星屑のように散らばった中から、星座のように輪郭を見出すことだと。
    そしてその輪郭を見えるようにサポートすることがデザイナーの仕事だと本書では書かれています。
    「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで,自分は何が欲しいのかわからないものだ」
    というジョブスの言葉を思い出します。
    よく考えると、これはデザイナーだけの仕事ではなく、自分のようなエンジニアにも言えることです。
    大量の要件の中から本当に必要なものを選び、問題を解決するものを提示して作っていく。

    手段は違えども同じ目標に向かっている。
    そんなことを思い、すこしデザイナーに親しみを感じられる一冊でした。
    エンジニアにもオススメです。

  • 11年間ゼネコンでデザインする人たちを見てきて一緒に食事をしたり遊びに行ったりしていて独特の世界があることに興味を持っていた。けれども自分がまだ若すぎてよく知り合えないままになってしまったのがもったいないと感じていた。
    この本は工業デザイナーの著者が日々の生活でものごとをどんなふうに捉えているか、哲学とともにあますところなく感じられて新鮮だ。「じゅんさいのぶよぶよのようにその見えない感触を楽しみたい。」
    装丁も美しい本でとても楽しくよみました。
    こーきさんありがとうございます。

  • 工業デザイナー、深澤直人さんのデザインに対する考え方を軸にしたエッセイ集。デザインする事についての過程から考察まで興味深い内容で、繰り返し読みたくなる本です。

  • 深澤さんの視点は常に、一定の心拍数を保ち、
    でも確かに生み出したもので、心地よくざわざわさせる。

  • 一流のデザイナーによる金言の数々.
    日常におけるありふれた当たり前のことを完璧にすることに、デザインの目的を持っているようである.
    「ゆでたまごを完璧にゆでることに凝っている」

    デザイナーの仕事は夜空に散りばめられた星屑の中から、星座の輪郭を見つけることなのだ.

  • 深澤直人さんといえば、無印の壁掛けCDプレイヤー、auのインフォバー、プラスマイナスゼロの加湿器。ではないでしょうか。
    彼のインタビューをネットでみたり、デザインのデザインの中で語られていたりしてるんだけど、もう、とにかくカッコいい。
    語彙が無いせいで「カッコいい」なんだけど、他に言葉が見当たらないほどカッコいい(笑)
    そんな深澤フリークな私からすると、最高な本でした。
    デザインの輪郭というより、深澤直人の輪郭と言った方が近いんじゃないかと思う。
    スーパーノーマルなデザインをする彼がどんなにノーマルじゃないかがわかります。
    彼とか、馴れ馴れしいね。
    深澤直人が好きな人、彼のデザインした製品が好きな人に読んで欲しいです。そして更に好きになってください。

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著者プロフィール

1956年 山梨県生まれ
1980年 多摩美術大学プロダクトデザイン科卒
1989年 渡米、IDEO入社
1996年 帰国、IDEO東京支社長
2003年 NAOTO FUKASAWA DESIGN設立

卓越した造形美とシンプルに徹したデザインで、イタリア、フランス、ドイツ、スイス、北欧、アジアなど世界を代表するブランドのデザインや、日本国内の企業のデザインやコンサルティングを多数手がける。電子情報機器から家具・インテリアに至るまで手がけるデザインの領域は幅広く多岐に渡る。

「行為に相即するデザイン」「意識の中心」「ふつう」「輪郭」「典型」など、自らのデザイン哲学をこれらの言葉で表すとともにデザインの具体を通してその実践を続ける。デザインのみならず、デザインを通して対象の本質にせまる力、その思想や表現などには国や領域を超えて高い評価を得ている。

人間の意識していないときの行動の中にデザインのきっかけがあることを見い出し、それを「Without Thought(思わず)」と名付けた。1999年からはその名を使ったデザインワークショップを毎年開催し、書籍とともに発表を続けている。

米国IDEA金賞、ドイツiF design award金賞、日本グッドデザイン賞金賞、英国D&AD金賞、ドイツred dot deign award、毎日デザイン賞、織部賞など受賞多数。「MUJI」壁掛け式CDプレーヤー、「±0」加湿器、「au/KDDI」INFOBAR、neonはN.Y.MOMA所蔵品となる。2007年ロイヤルデザイナー・フォー・インダストリー(英国王室芸術協会)の称号を授与される。フランス国立セーブル製陶所招待作家。

21_21Design Sightディレクター。良品計画デザインアドバイザリーボード。マルニ木工アートディレクター。2010年〜2014年グッドデザイン審査委員長。
2012年Braun Prize審査委員。日経優秀製品・サービス賞審査委員。毎日デザイン賞選考委員。
多摩美術大学統合デザイン学科教授。2006年Jasper Morrisonと共に「Super Normal」設立。2012年7月より日本民藝館五代目館長。

著書には「デザインの輪郭」(TOTO出版)、共著書「デザインの生態学-新しいデザインの教科書」(東京書籍)、共著書「デザインの原型」(六耀社)、作品集「NAOTO FUKASAWA」(Phaidon)がある。2008年には「THE OUTLINE 見えていない輪郭」写真家、藤井保氏との展覧会を開催、同タイトル書籍を出版(アシェット婦人画報社)。

「2017年 『AMBIENT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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