- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887062603
感想・レビュー・書評
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請求番号:757.04/Fuk
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うまく言葉に表せないけど、デザインは"なにか"をそのままとらえた先にあるもので、そのことってとっても貴重なことだということのようだ。
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±ゼロのデザインを見た人はいないのではないかと思うが、
そのデザイナーさんがこの方、深澤直人さん。
片付けが苦手でデザインも、決まった所に整理することができずに
苦肉の策としていうところの「すっきりした」デザインに偏りがちな私。
当然±シリーズは大注目で、加湿器や扇風機など、利用していました。
そのデザイナーさんが有名な人だってのはしっていた。
オンライン記事かなにかでちらっとインタビューを読み、注目はしていた。
古本屋でふと手にしてそのまま、はいお買い上げ。
なんだろうこの人は、つきつめるのが、いい。
そうしてデザインとどうように、非常にシンプルに単純にあらわす。
それがまた、とてもいい。
いくつか気に入ったフレーズを引用しながらご紹介すると:
「ものとその周りにある環境との関係が、そのものの輪郭を決めていく。
その輪郭を見いだすのがデザイナーの仕事であるとわかってきた。
その輪郭とそこに加わる双方向の力を見いだせば、
それによって表面の力が自然と規定されてゆく。
自然と張りが見えてくるということがわかってきた」
これは、深澤氏が、自分はいったい何を元にデザインを決めているのだろうか?
と考え、「張り」という言葉を導きだし、しかしそれは実は表面からではなく、
内面によってこそいきてくるのである、そしてその内部は実は、
そのものと周りとの関係によってきまってゆくのであると。
雑談から端を発したこのロジックは「HARI」として受け容れられ、
社内のプレゼンから大学の講義、ひいてはデザイン会議で
とりあげられるようになったという。
その突き詰めるパワーもすごいのだが、しかしその表現は、
あくまで平易で無駄がない。
まさに氏の作品そのものが溶けているかのようだ。
時間がない!という方はぜひ、そのタイトルだけでもご覧いただきたい。
いくつか私の好きな章を。好きな章はなべて、タイトルも美しい。
・選択圧
・行為に溶けるデザイン
・使っていなかった触覚
・意図を消す
・感動の因子
・短命なデザイン
・自分を決めない
でも、最高に好きなのは実は、「ゆで卵」のエピソードだ。
これだけでも立ち読みでもいいから、読んでもらえたら。
きっと深澤氏のよさがわかるのではないだろうか。
わたしはどうも、「じゃ、ま、いっか」とすべてを端折る、通称「じゃまいか人」である。自分のその割り切りの良さは強みであると同時に、あたしという人間を平凡に落とす、おそろしい決め言葉でもある。
だからあたしは、不器用だとか要領が悪いといわれながらも、こだわり抜いて一見、融通の利かないような人が本当に好きだ。あたしが軽やかに生きるために捨て去ったその重たいなにかを引きずりながら、地面に着実にしるしを残している人をあたしは、美しいと思う。
よく究極に突き詰めると人は、同じものを見る、あるいは感じるという。例えば編集の松岡正剛氏が人生は編集だと言い、深澤氏はこの本の中でいみじくもどうように、デザインはすべての生き方に通じると言っている。絞り込んで妥協なく、突き詰めたものだけが目にするなにかを、二人とも目にしているに違いない。
あたしが便利と引き換えに捨ててきた、その人たちだけに許されたセンスで。 -
気になりだしたのは無印良品の換気扇型CDプレイヤーから。
名前を知ったのはINFOBARやその前のAUの多面体ケータイから。
そして+-0。
こういうアプローチって、最近ふえてきてますね。
俳句や自然に共通する何かを伝えている。
目に見えない輪郭をビジュアル化するのが、デザイナー。
自分から作り出すというより、環境から見付け出す。
夜の無数の星くずから星座の輪郭を見つけ出すように。
この本を読んだら、自分でもなんだか出来そうな気がしてきた。 -
プロダクトデザイナー深澤直人のエッセイ。
深澤直人がデザインをしている中で、軸となっている考え方や感覚を、微妙なニュアンスで伝えてくれます。
例えば「美しい」とも「新しい」とも違う「張り」という感覚。若くても年を取っていても、ある特定の人からは「張り」を感じる。
またいちごの種のくぼんでいる感じからおいしそうないちごを見分けられるのも、そこに「張り」があるからだ。
「張り」は内側と外側のバランスの中に生まれるものであって、これをデザインでどう表現するかが課題になっている。
そういうとてもリッチな感覚を翻訳してくれています。
作家ではないのに言葉にセンスを感じる。
クリエイティブな能力には似通うところがあるようです。 -
自分がデザインについてぼんやりと考えていたことが、書かれていた。
”デザインをする量より、デザインを語る量が多くなってはいけないとずっと思ってきた。”
このあとがきの一節は頭でっかちになりがちで行動しない自分への最高の戒めになった。 -
●僕がこれを考えたように見えるといわれますが、
それは僕が考えたわけではなく
そうなるべき姿であったということの結果だと思います。
auの携帯INFOBARのデザインなどでもおなじみ
プロダクトデザイナー深澤直人さんの著書です。
この本は当初インタビューから原稿をおこし
本にする予定だったそうですが
深澤氏の話す内容が論理的な内容とはほど遠かったため
キーワードとして抜き出し補足する文章を追記する
面白い形式の本になっています。
言葉によってデザインという
抽象を語ることは容易ではありませんが
深澤直人さんのデザイン観を
ぼあっとしたかたちで共有出来る1冊です。 -
「張り」
without thinking
ふつうのものをつくる
意図を消す -
今までのインタビューにさらにつけたした感じの内容でしたね。
今の心境では、納得できる面もある良い書だと思います。
何年後かにまた 読んだら違う味わいがあるかもしれません。 -
“ありのままに”
“付価しないことが価値”
自分では分かっているつもりだが、おそらく著者と同じ理解はできていないだろう。一から始めて十まで極めた人が再び一に戻るような境地なのだろうかと想像するが、自分自身が今すぐそれを実践することはできない。
今は一歩ずつ学んでいく段階だろう。
十年後、二十年後に読み返した時に、納得感を得られるだろうか…?