- Amazon.co.jp ・電子書籍 (248ページ)
感想・レビュー・書評
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道化を演じ、拒否できないヨウゾウの姿は今の日本社会に通ずるものがある。SNSで自分をよく見せ、人によって態度を変える現代の若者。上の者に素直に従い、我慢強く継続することを「良し」とし、斜めから物事を考えて自身の意思をもとに行動していくものを「変わり者扱いする」現代日本。主人公のヨウゾウは、そのポテンシャルの高さ故に周りとの違いを感じて孤独を覚えたが、資本主義社会において他人と自分に差がつき、「偏差値」が高くなればなるほど、分かり合う仲間が少なくなっていくことは当然のこと。分かり合える本当の仲間に出会えなかった、と言えばそれまでだが、そういった人に何らかの形で「出会える」というのも、才能だと思う。ヨウゾウは容姿も淡麗で賢かったが、人に恵まれなかったことが「人間失格」にまで至った原因だと思う。
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太宰さんは生きづらそうだなぁ。だからこそ着眼点が普通の人と違うんだなぁ。と、当たり前のことを思った。危うい人は他人に甘えることが上手だし、放っておけなくなる気持ちもわかる。最後には解脱したような描写だったのに、死んでしまったのか…。解脱したからこそ、なのだろうか。
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何とかなるよ、大丈夫!って思えない辛さ。これが生い立ちから来ているなら、罪が重いというか、、かわいそうだなと思った。
半分以上は完全に依存症の話。女、アルコール、薬物まで。現代なら適切な治療を受けられたのかな。 -
ここまで赤裸々に人の心の中を描いてもいいのだろうか。
この男はくずだ。
隣人の苦しみも分からず、Yes, Noも言えず、流されるがままに行きている。そのために周囲をたくさん振り回し、不幸を多く呼び寄せた。
結果として覚せい剤にも手を出し、どうにもならない状況までいってしまった。救いようがない。
でもこれが現状。こうして悩んでいた人が当時何人といたことだろう。
僕たちにできることは、こういう人が周りにいたら、側にいてあげて話を聞いてあげることくらいか。
いづれにしても、作品としては素晴らしい。 -
あぁ、
太宰治すごい。
初めて本に引き込まれた。
こんな短期間で本を読み終えたのは
いつぶりだろう。
ページを捲る手が止まらなかった。
涙も止まらなかった。
主人公の気持ちがわかりすぎて
辛いのに次を読みたい。って。
この人はどうなっていくんだろう
この人の最後はどうなるんだろうか
この人の
表現力と言葉の選び方…
泥臭くて飾らなくて
文字が生きている。
とことん自分を追求してる。
「一般」と言われる人間に
なりきれず、理解者すら現れず。
それでも期待せずにはいられずに
そして期待をしてはまた裏切られてきた。
優しすぎるあまり
人を優先し続けてしまった人間の人生。
だから自分すらも見失い
「人間失格」
の烙印を自分に焼き付けた。
人、1人の人生が詰まってる。
病気などの逆境に立ち向かう
今流行りのお涙ちょうだいの
感動ストーリーよりも人間らしい。
実に人間らしい人間なのに…
それすら
「人間失格」
人間の弱さや葛藤も
深く自分を見つめる強さを感じた。
酷く生々しい人間の生き様。
太宰自身がモデルであったならば
彼は確実に
弱さを持った強い人間だったはず。
弱さを知っているが故に
弱い人間の立場がわかり
優しすぎるあまり
考え込んで引きずられてしまう。
自分で気づいているのに
やめることができない。
見れば辛く苦しいはずなのに
あえて
自分から目をそらさなかった
誰よりも強く優しく弱い主人公。
あぁ、素晴らしい。 -
Kindle版読了。
人前で本性を表すことができず常に「道化」を演じている男。
彼の手記を下に、彼の転落していく人生が赤裸々に語られていく...
(あらすじ)
今回も予備知識まったくなしの状態で読み進めました。
『恥の多い生涯を送ってきました』という一文だけは何処かで見たことがあるかな、というレベル。
100年経っても読み継がれる名作。
描かれる人の心の闇に読者は多少なりとも「共感」してしまう。
ネットで調べたら色々と出てきます。
絶賛の嵐、みたいですが、どうも私は全く「共感」できませんでした。
後半は一気に読み進められたんですけど、それでも私の中には「反発」しか生まれませんでした。
最後の『あとがき』を読んでも。
合う・合わない、については、どんな本にもあるので、これは仕方ないと割り切るしかないですね。
最近の方で好きな作家の東野圭吾さんの作品の中にも「どうしてもダメ」ってヤツがありましたからw
一體この人は何者? とプロフィ...
一體この人は何者? とプロフィール欄を見たり、あちこちのリンクを辿つたり。
あゝ成程、東大御出身の元新聞記者であらせられたかと納得致しました。
私は、身体、精神、またはそれらの複合した高齢の障がい者に対して、今の日本政府(官僚)が...
私は、身体、精神、またはそれらの複合した高齢の障がい者に対して、今の日本政府(官僚)が敷設したレールに乗せられ、デイサービスなるものにまで連れていかれたのですが、サービスの内実はまさに“幼稚園ごっこ”。さらに人手不足のうえ、見え見えの経費削減姿勢。時々、ニュースで接する高齢利用者への虐待や様々な犯罪行為。……。通うのを止めました。
今は自宅で読書の毎日です。hei5さんの本棚を拝見し、久しぶりに嬉しくなりました。私がこの年末年始に読了したのが小川洋子『約束された移動』。一息ついて後は、昨年から精読している大江健三郎『燃えあがる緑の木』に戻りたいなと思っています。
hei5さんの様々な作品の感想をフォローしていますので、勉強させてください。
どこがお悪いのか分かりませんが どうぞお大事になさってください。
どこがお悪いのか分かりませんが どうぞお大事になさってください。