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感想・レビュー・書評
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中学生以来2度目。さすがにこの小説は内容の大筋を覚えていた。重く陰鬱な雰囲気だが、我々の年代ならかなりの人がこの作品を通り過ぎて来たはず。当時は実感できなかったエピソードも、年月が過ぎ、相当の部分を同様に経験してきてしまったかもしれない。
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青空文庫で読了。太宰治の分身のような葉蔵の半生です。読んでいて気持ちが滅入る一方、深く共感してしまう部分も多く、読むのが止められません。いま例えるとしたら、モルヒネのようなものです。20代で読んだ記憶、2010年に映画で観た記憶、どっちもぼんやりですが、どちらも気持ちが滅入ったのだけは覚えています。
人間が持つ悩みや恐怖、色々あると思いますが、葉蔵は自意識過剰で全てが恐怖の対象になっています。なぜ共感できるかと言えば、私も潜在的にそんな想いがあるからなんでしょう。酒、女、タバコ、薬...程度の差はあれ、これらが人間の逃避先であるならば、現代にもリトル葉蔵は沢山いるとも言えます。
自意識過剰は責める雰囲気を持つ言葉ですが、言い換えれば、人間が放つ氣を敏感に感じ取れる無垢な心の持ち主なのかもしれません。この作品から得られた事は確かにあります。でもうまく言葉にできません。ただ葉蔵の以後の人生が、今までと全く逆であって欲しいと願いたくなります。 -
失格のアントはなんだろう…。一人一人、誰もが思い描く理想の人間。でも、理想は理想。つまり、誰もが人間失格。人間なんてそんなもんだよ。そう言われてる気がして、少し元気になれる。
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主人公が想像したよりもずっと繊細というかデリケートというか、なかなかに気難しさがあって面白かったです。
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今読むと自意識過剰すぎでもうギャグなのか?と思うような話でした。でもヤバいやつの小説だと思えばそれなりに面白かったです。
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主人公は重度のHSPだろうか。
私も周りの感情や反応を気にしてしまうほうだから、わからないでもない。けど、この主人公は異常なほどに敏感。敏感の天才だと思った。
そしてとても流されやすい。
意志が弱い。
だけど、あきらめることをしていなくて、
人に好かれようといつも悩んでいる。
これは生きづらいと感じた。
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人との接し方が分からず、常に偽りの自分を演じている男。酒とクスリに溺れ、心中未遂を繰り返し身を滅ぼしていく…。太宰本人をモデルにしたような最後の完結作品。
「恥の多い生涯を送ってきました」から始まる、ある男の手記を模した小説。イメージ的にはとっつきにくい古典文学の部類に入る気がしていて、名作ではあるのだけれど中々手が出せない本の一冊でした。ですが、読み始めて最初に感じたのが、読みやすいなということ。現代仮名かどうかということを他にしても、内容がすっと入ってきやすいのは確かです。
自らに人間失格と烙印を押したこの男。前半は、卑屈なほど自身を卑下しながら、実は自慢かというぐらい鼻につきました。青年期以降もダメっぷりは拍車がかかり、時代というものも大きいとはいえ、ろくでもないというのは事実でしょう。ただ、やはり才能を持った人物というのは、どこか常人では計り知れないところがあるのでしょうね。
太宰治に関して言えば、三十代に集中して意外と多作であったんだなと知りました。 -
この作品の主人公のような人は意外といるのかもしれないと思った。
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初めての純文学。
人間失格というタイトルではあるが、人間誰しも持ってる弱い部分が表出している感じ。