ともぐい [Kindle]

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  • 新潮社
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感想・レビュー・書評

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  • 迫力のある内容だった。
    主人公の猟師、熊爪。
    熊爪の宿敵、穴持たずの熊。
    穴持たずの熊を倒した、若手の赤毛の熊。
    こんなにも怖そうなやつらがいるのに、最後に生き残ったのは目の不自由な陽子だったとは。
    「女は怖い」んだよと再認識させられる最後だった。

  • 近所の書店では売り切れで変えないので、kindleで読んだ。

    最初の方は、街の人とコミュニケーションをとろうとしない熊爪が、コミュ障の自分と重なって、ちょっぴり共感しながら読んだ。

    赤毛の熊との闘いから、「この話は、どうやら思わぬ方に進むようだ」と気づいた。
    そのあたりから、熊爪の行動の意図がわからなくなった。

    おそらく、命の循環・営みが大枠にあるのだろうけれど、そこまで読み切れない自分の読解力がもどかしい。

    いずれ、もう一度読んでリベンジしたい。

  • 直木賞受賞作品

    ただ人と熊との死闘を描く作品かと思ったら、もっと深かった。

    山中の獣たちの生活、これに近い熊爪の生活、そして熊爪に関わるそれ以外の人間も、生き抜くための営みは獣に似ている

    たくましく生きていく獣としての人間

    これが赤裸々に描かれていた

  • どちらかと言えば、熊と猟師の戦いより、猟師の心理に重点を置き、それを表現した作品です。

  • 北海道の山中の小屋で人との交わりを拒絶し一人暮らす猟師の熊爪。獲物を求め、熊や鹿、兎を殺す。それは、富を得るためではなく生きるため。時々町に下りるのは銃弾と山では得られない食料の調達。赤毛のヒグマとの闘いは壮絶だった。骨盤を骨折しその後の熊爪の生き方が変わった。他人の子を宿した陽子を小屋に連れ去るが、この時は既になかば野生の山の男の生き方に絶望感と諦めがあったのだと思う。陽子とのまぐわい、熊爪の子を宿した陽子。そして、陽子による熊爪の最後は意外だった。犬の順序さに感動した。

  • 読み始めから最後まで、
    コンクリートに囲まれた環境で培ってきた
    人間性では理解し難いことが多く、
    かと言って、人間として失いたくないものを
    持っているようにも感じる物語だった。
    失いたくないというより、
    既にないものを切望する気持ち、かもしれない。

    とにかく、主人公の猟師熊爪の行動の
    一つ一つが人間ではなく、猟師の視点で描かれ
    その中にある人間とは違う倫理感や概念に困惑する。

    熊との攻防や、町と人々とのやりとりの中、
    猟師として生きていた熊爪の人生を、
    もっともっと覗いてみたいという欲求に駆られる。

    印象に残ったことを書き連ねるには、
    言葉が足りない。自分の持っている言葉では書けない。

    残念だが、それくらいの衝撃を持って
    この小説を楽しんだ。

    今年の直木賞2作を読んで、
    この2つを同じ評価基準で比べることは、
    どれほど大変な作業だったのだろうかと思った。

  • 直木賞候補。

    明治の北海道の山奥に暮らす猟師の話。
    熊を撃って生計を立てる熊爪。クマの毛皮や鹿肉などを街に売りに行くが、人付き合いがないので昔から街の豪商のところに売りに行く。

    そんな生活の中、他所の街から冬眠しない熊を追いかけて熊爪の山に入ってきた猟師がその熊に襲われて重症を負う。潰れた目を吸い出すなどの看病を行い、豪商のところに届ける。その猟師はもともと曰く付きで、豪商の家も何か悪いことをして出ていく。

    その熊と戦って熊爪も負傷するなど。そして豪商のところにいた盲目の女が欲しくなり、貰いに行く。豪商は商売で失敗して没落し、女を貰って山小屋で暮らす。2人子供が生まれるが、その女に熊爪が殺されておわり。


    うーん、あんまり面白くなかったかな…

  •  迫力があり、痛さや臭いなども感じられた。
     後半、熊爪が怪我を負ってからは、やはり野生動物と人間は違うということが明らかになったということなのか。

  • 自然風景や狩りの描写が圧感。ワンちゃんがとにかく可愛かった。

  • 久々に骨太の、かつ生々しい生の小説を読んだ。
    「ともぐい」という題名からして、おどろおどろしい。読み進めながら、幾度となく、「結末」を想像したが、そんな思いは木っ端微塵にはね返された。

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著者プロフィール

1979年北海道別海町生まれ。2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)、14年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、15年同作でJRA賞馬事文化賞、19年『肉弾』で第21回大藪春彦賞を受賞。最新刊『土に贖う』で新田次郎賞を受賞。

「2020年 『鳩護』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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