再読。
同じ著者のちょっと毛色が違う別作品に続いて読んだので「これだよこれ…!」感がすごい。
一気に読ませる勢いがあって、サッチョウ・ローズ(余談だけれど途中まで警「察庁」でなく「薩長」だと思い込んでいてなんでだ?と思っていた)のひとりひとりにちゃんと役割があって、最後に心がかあっと熱くなった。
有り得ない設定なんだけど、書かれているこころは本物なところがいつも好きです。

ところで帯で著者が元キャリアであることをすごくアピールしているんだけど、出版社はその辺どういうつもりで宣伝してるんだろう。以前作者さん本人が新書で身分証明に使うことがないと名言していた警察手帳をバンバン出しているのって「大事なところはそこじゃないよ」ってメッセージじゃないのかな、と勝手に憶測してしまうので。

2020年2月26日

読書状況 読み終わった [2020年2月26日]
カテゴリ 小説

前半のやさしさがすごく好きだったぶん、終盤の畳み方が今までと違って乱雑でびっくりしてしまった。あとがきを読んでちょっと納得したけれども、いつもの作品とは全く毛色が違う感じ。

2020年1月30日

読書状況 読み終わった [2020年1月30日]
カテゴリ 小説

帯と作者さんに期待しすぎたなあという感じ。
森若さんの性格に関しては最初は好感を覚えたけど、結局のところ情に流されて全然公正・公平じゃなくなっている感じがして「イーブンが信条」って一体どこがやねんという…やっぱり弁当屋出身の受付嬢が結局関連企業に反省もせずちゃっかり居座り続けてるのも納得いかないし、秘書課のお局様の悪事を上に報告して責任を取らせないのも意味がわからない。
あと個人的に相手役の太陽のキャラが生理的に無理でした。(現役学生がよう言うわという感じですが)いかにも「最近の若者」系の、馬鹿っぷり丸出しで元気だけが取り柄のお調子者!みたいな人物像が本当に無理です。まず本人の与り知らぬところで連絡先を手に入れて、(実際は急用ですらなかったわけだけど)急ぎの案件だったので何々さんから教えて貰いましたすみません、の一言もなし。もうこの時点で完全に人格的に信頼皆無…不潔すぎる…

ヴィクトリアン・ローズテーラーのころの青木先生はどこに行ってしまったの、と思いながら寂しい気持ちで本を閉じました。

2017年2月16日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2017年2月16日]
カテゴリ 小説

天帝シリーズ系は読んだ後に「魂が救われる」感じがするけど、こっちは割とよくある「ほっこりする」感じ。でもひとつひとつのエピソードや式神とか紅茶の話は相変わらず面白くて好きです。(かといってこういう話ばかり書かれても困るけど…!でも今までの謎が少しずつ明かされてきたので次巻からは少し重い話になってきそうな感じ)
そして表紙のイメージが強くて全然気付かなかったので、最後の方に明かされる他シリーズ主人公との血縁関係にびっくり。た、確かに同じ苗字だった…(笑)

そしてラストのまさかのラブコメ調にちょっと不意を突かれてきゅんとしてしまいました。なんかもう引き出しが広すぎて四次元ポケットみたいだな好き…!

2017年2月10日

読書状況 読み終わった [2017年2月10日]
カテゴリ 小説

欲しい本が必ず見つかる本屋さんの話。自分が長いこと書店バイトをしているので興味を持ちました。
当たり前のことだけど(貶しているわけではないけど)現実では「こんな書店(特に一日だけのフェアとか自分たちで全ての本の発注数を決めるとか在庫管理とか)は確実に実現不可能」。でも、むしろ「こうあれたらいい」という理想がいっぱいつまった、本好きとしても書店員としても夢の本屋さんだと感じました。
もちろん今まで働いてきた書店も、一緒に働いてきた人たちも好きなのだけれど、もし本当にこの世に「金曜堂」が存在していたら、そしてそこで働くことができたのなら、多分ものすごく幸せなことだと思いました。
そして作中のモチーフ本は「モモ」しか読んだことがなかったので、「長いお別れ」を読もうと画策中。
ただ、最後の別荘の話はちょっとファンタジーすぎて蛇足だったかなと…

最後になりますが、『金曜日の本屋さん』、ブクログの献本企画で頂いた本でした(読むのが遅くなってしまいすみません…!)。いつもの自分の趣味とはちょっとずれているジャンルなので、この企画がなければこの本やこの作者さんと出会って新しい扉が開くこともなかったなと思います。素敵な機会をくださってありがとうございました。

2016年10月2日

読書状況 読み終わった [2016年10月2日]
カテゴリ 小説

感想は下巻で。
ただ、訳者さんが元々そういう文体なのか、誰かのホームズ邦訳文体をリスペクトしているとか、何かの事情があるのかはわからないけど、とにかく「日本語」が読みづらい印象。元の英文が透けて見える邦訳に価値はない(原本を読むのと同じだから)と思っているので、ちょっと疲れながら読んだ。

2016年9月12日

読書状況 読み終わった [2016年9月12日]
カテゴリ 小説

「復讐法」なんてリアルじみたファンタジーを主題にするなら、虚構にリアリティを持たせるためにもその重さに準じた説得力が必要だと思うのだけれど、安易に同情を誘う短編が5つ収録されているだけで、帯に「大型新人が世に問う」なんて書かれていただけに非常にがっかり。世の中や自分の価値観について考えさせることなんて何もなかった。

私だってもしも近しい人が誰かに傷つけられたり殺されたりしたら、その犯人に復讐してやりたい、場合によっては自分が犯罪者に堕してでも苦しませてやりたいと思うかもしれない。でもそんなの許されない観念だし、当然実行したら逮捕される。
そもそも、近世以前はともかく、現代の司法や法律はあくまで世の中の秩序を維持するため、犯罪を抑制するため、一言に換言すれば「みんなのため」にあるのであって、(結果的にそうなる場合はあっても)決して被害者の怒りを犯人にぶつけたりその悲しみを慰撫するためにあるんじゃない。そういう意味でも最初からお話の前提が崩壊してるように感じた。そのぶっとんだ価値観が認められている世界に何らかのフォローがあったのなら、どこかに共感することができたかもしれないのに。

2016年9月7日

読書状況 読み終わった [2016年9月7日]
カテゴリ 小説

友情でも恋愛でも、何かしら読んだ人の心を揺り動かす情動のようなものがあるのが荻原作品のよいところだと思っていたんだけど、自分が大人になってしまっただけなのか主人公が大学生なのが原因なのか、やっぱりなんとなく入り込めないままだった二作目。未だに主人公にも愛着みたいなものは芽生えない。
ただ、偶然モノクロの世話をすることになっただけでなく、美綾自身にも少し何かありそうな気配が仄めかされて、少しずつお話が動き始めているのは感じた。
でも前回の幼馴染みにせよ今回の某にせよ、絶対的に不快感を与えてくる人物がいるのが気になる。荻原作品なら何か理由があっただけの優しい世界でもいいのに、と思う。今回は一応大人向けだからなのかな。だとしたら私は今までのような子どもやティーンを相手にした作品を読んでいたかったよ…うーんもやもやする。

2016年9月3日

読書状況 読み終わった [2016年9月3日]
カテゴリ 小説

漫画版が面白かったので購入。漫画家さんがうまいこと原作の要素をたくさん拾ってコミカライズしているので(いやそれはとても良いことなんだけど…!だから楽しめたんだけど…!)漫画で読んだ中盤あたりを抜けるまではだいたい既知の情報だし、でもたまにちょっとした知らない展開があったりして飛ばすわけにもいかないしで、正直ちょっと苦しかった。
終盤の応酬は、いやこれ絶対ミステリーじゃないだろ…と思いつつも楽しくて一気に読みました。化け物同士の化かし合い、という言葉のほうがしっくりくると思う。そして決してキャラクター小説というだけではないと思うんだけど、おひいさまや妖怪たちがいちいち可愛い。

ただ、続きを仄めかすような終わり方をしているのだけど、この文庫のもとになったノベルズ版が出たのがずいぶん昔のようなので、シリーズにはならなさそうなのが少し残念。もしコミカライズをきっかけに人気が再燃して続編が出れば嬉しい。

2016年9月1日

読書状況 読み終わった [2016年9月1日]
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以前非常に似たギミックの小説(驚きはしたけど物語自体の個人的評価は最悪だったので作品名は差し控えイニシエーsもごごご)を読んだことがあったので、病院でお母さんが清澄に言ったひとことで何だかもう全部理解してしまって、その後はひたすら彼らの生き様を目に焼きつけることに終始した。
ラノベから脱却できていないという批判がよく目に付く(そもそも「ラノベっぽい」の定義はなに?)けれど、高校生の一人称小説だからこその計算された痛々しさ、拙さのように感じた。あと多分、帯とタイトルが悪かった。この物語が伝えたいのは確かに最後の一文なのだろうけど、作品の構造も特殊だからどちらのことを言っているのか混乱してしまう。(というかしました。)「最期の一文」自体は、多分そのままの意味で受け取ってるべきなのだと思う。この帯作った人が悪いよ…。
そしてタイトル。実際は「砕け散る」じゃなくて、ままならない物事の比喩表現であるUFOを「砕け散らせる」話だと私は結論づけたので、語感を優先したのだろうけど色々勿体ないなと感じた。

最後に。色々なところで議論が錯綜してるふたつめのUFOとは何かという話。
個人的には単純に『清澄がヒーローとして、そして玻璃が玻璃として生きられなくなったこと』だと思う。人生の最期に清澄は、玻璃に似た女の子(多分これ物理的に似ているわけじゃなくて、身体が限界で無意識に思い出の中の玻璃と重ね合わせていただけなんじゃないかなあ)を助けることで、ままならない女の子のいのちを今度こそ助けることで、ヒーローである自分を取り戻した。その後「少女A」は、「真っ赤な嵐」を産むことで、ヒーローとして清澄が確かに存在したことと、たとえ名前が変わっても清澄を好きになった自分が玻璃であることを確認して、自分を取り戻して=UFOを撃ち落として、蔵本玻璃として蘇った。…と考えるのはちょっと難しいかな。「清澄と玻璃」の物語として考えるなら一番美しい結論に思えたのだけれど。
展開にご都合主義なことろもあるように感じたけれど、私にとってはそれを差し引いても魅力のある話でした。

(追記)
知人の感想を聞いて、色々な要素を突っ込みすぎと言われるのはギミックと主題が乖離してるような印象を与えるからなんだろうなあとぼんやり思った。
多分最期まで最初の男の子=清澄ではないことを明かさなかったのは、それこそ最後の一文のような、たとえ会ったことすらなくてもちゃんと世代を越えて思いは受け継がれる、みたいなことを強調したかったからなんだろうけど(と私は思っているけど)、それをちゃんと読んでいて感じられるかと言われれば確かに…わからん…という感じ。全然本の感想から逸れるけど、人に何かを伝えるのは難しい。

2016年7月31日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2016年7月31日]
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「結局はただの女の子」で終わって非常にがっかりした上巻、景が「本当の海賊」になることでそれ以上のカタルシスを覚えた下巻、でした。個人的には上巻後半の景に対する(多分七五三兵衛が感じていたものにすごく近い)イライラがあったからこその下巻の爽快感と感慨だったので、そこまで計算して書いてあの部分で上下巻に分けていたのだとしたらこの作家さんものすごいな…!と(思いつつ、上下セットで買ってて本当によかったと思わざるを得ない。上巻だけ買ってむかむかして放りだしていたらと思うと割とぞっとする。)

景と某海賊の最後の闘いもよかったです。いくら成長したとはいえ明確に男女としても海賊としても力量差がある中で、ご都合主義と言われればそれまでだけど、それでも完全な実力勝ちではなくハンデと幸運に恵まれて一瞬のチャンスを逃さず掴み取った勝利、というところに逆に好感を覚えた。
極めつけはラストシーン。無邪気に、そして野蛮に笑う景の姿が浮かんでひたすらに爽快。

文書を引用するかたちで話が進むので、まるで実際に景という人物が過去に存在していたような錯覚に陥ってしまう。これほど架空の人物であることを勿体ないと思ったキャラクターは久しぶりだった。これだから時代小説は罪深いよー。

2016年7月10日

読書状況 読み終わった [2016年7月10日]
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読み進めるうちに主人公の魅力が減衰していったなあという印象。序盤の景は当時の価値観のなかで、何も憚らず自由に振る舞っていて、男社会の中でも周囲に引けを取らず強く生きる姿にとても好感が持てたのだけれど、(読み返せば目立たないだけで最初から一貫してそういう性格だったのだけれど)最後に思慮の浅さや甘さを露呈してしまってこれじゃあ「海賊」じゃなくてやっぱり「女の子」じゃん、と…
どこまで描かれるのかはわからないけど、ここからの景の成長を含め下巻に期待。スピード感のある作風は好き。

2016年7月4日

読書状況 読み終わった [2016年7月4日]
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設定は文句なしに面白い。(現に映画はすごく面白かった)
ただ、個人的な趣味だけど、登場人物たちがあまりに気持ちよすぎて好きになれなかったのが残念だった。義理人情!勧善懲悪!みたいな直情型で善性だけでできている人間にはあまり惹かれないたちなので、本来の目的と湯長谷藩の人々に抱いてしまった情の中で葛藤する悪い意味で「人間らしい」段蔵や、正義の心はあるけれど平気で虐げられている側を試すようなこともする吉宗のほうがよっぽど魅力的に感じた。

2016年6月25日

読書状況 読み終わった [2016年6月25日]
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話に大きな進展もなく、登場人物もなかなか名前と個性が頭の中で一致せず、1巻と同じようなテンションでだらだらっと読み進めていたら最後の最後にこうきたかーっ!……という展開でした。妄想科学の系統と同じ世界なのか全然違う話なのかわからないけど、どちらかというとゲームで楽しみたい作品だと感じたのでとりあえずここで打ち止め。今のところ発売未定ですが、ゲームをクリアしたらまた本に帰ってくる予定。

余談。未だにカオチャの世莉架とsilent sky endが好きすぎる。

2016年6月3日

読書状況 読み終わった [2016年6月3日]
カテゴリ 小説

1巻というより序章のような感じで、設定は面白そうなので今後を楽しみにしつつも単体ではびっくりするくらい薄味だった…

最初の男の子の正体がモロバレなのはお約束だからいいとしても、やっぱり児童小説のイメージが強いからなのか、とりあえず一連の事件の犯人が普通の「ただの嫌な子」だったことに少し困惑。(今までの荻原作品で悪いことをする人の多くは、そうするだけの理由や同情の余地はきちんと描かれていることが多かったように思う。)
とりあえず小さいころから大好きだった作家さんの作品だから次も買うけれど、多分知らない方の作品だったらここで投げてたな-、という読後感の一冊でした。

2016年5月23日

読書状況 読み終わった [2016年5月23日]
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ものすごく久しぶりの星1。
徹頭徹尾寒かったです。幼年向け少女漫画みたい、と書こうと思ったけど正直そう例えるのもあちら様に失礼なくらい。直截な恋愛描写が苦手なので28と35の「プラトニック」という部分に興味を持って読んだのだけれどそもそも内容が出版物として自分が許容できる規定水準に達していなかった。ネタの9割9分が「どこかで見たことのある」もののオンパレード、かつ継ぎ接ぎ。主役ふたりの感情とその変化も全く理解できない。作品内でヒロインがダメダメだと評価する「平成生まれのゆとり」人間からしても耐えきれなかったです。
近くの書店さんで平積みどころか5面くらい場所割いて推してたんだけど…ごめんなさいありえない。

2016年5月17日

読書状況 読み終わった [2016年5月17日]
カテゴリ 小説

結局SFじゃなくてファンタジーとして着地してしまってモヤモヤが残りまくったのはものすごく残念だったけど、最後のシーンは理想的に纏まってくれたので安堵しました。ベタベタの恋愛小説を読むのはあまり得意でないので、多分ふたりはこの後また「出会う」んだろうなと仄めかすくらいが丁度よかったです。個人的にはそこを考えるとラストシーンも九月の方が物語として綺麗に纏まっていたと思うのだけど…。(声の問題は原因がアレならどの時期でも理由がつけられるはず)
でもやっぱり「旧バージョン」の謎が…心残りで…そこまで深い意味を持たせるつもりで書かれたのではなかったのかもしれないけれど、あまりにももったいなさすぎる…

2016年5月12日

読書状況 読み終わった [2016年5月12日]
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相変わらず反射的にどうしても時代考証ぐぬぬぬぬとなってしまうので、この手の作品は雰囲気だけを楽しむに限ると改めて思った。今を生きている、今の価値観を持つ人間だからこそ書ける作品とD機関のコンセプト。
ただ、その前提でだけど『舞踏会の夜』と『アジア・エクスプレス』はシリーズの中でも楽しんで読めた。

それにしてもあじあ号…殺人事件…うっ頭が(笑)

2016年5月11日

読書状況 読み終わった [2016年5月11日]
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お菓子に関する蘊蓄は面白かったです。

ただしケーキ王子は特に推理とかしません。レーベルや表紙の雰囲気からお菓子絡みの人が死なないライトで明るい雰囲気の推理ものを勝手に期待していたので、完全に取り残された気分でした。タイトルが悪いよータイトルがー。

2016年5月9日

読書状況 読み終わった [2016年5月9日]
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延原謙訳版を下敷きにしたホームズのパロディ(といっていいのか)小説を読むための準備として読んだ本だったのだけれど、やっぱり世界中の人から未だに愛されるシリーズなだけあってびっくりするくらい新鮮に読めた。
ホームズは高校時代に英語の勉強も兼ねて原書でほぼ読み尽くしていたので勝手に知ったような気になっていたけど、やっぱり細かいニュアンスはわかっていない部分がたくさんあったのだなあと今更になって思う。トリックは理解できても、(これは訳者さんによっても印象が変わりそうだけど)出てくる登場人物にあのころはこんなに魅力を感じなかった。機会があれば他の物語も読み返してみたい。
英語で読んだときはバスカヴィル家の犬が好きだったけど、日本語で読んだらどう感じるのか。楽しみ。

2016年5月6日

読書状況 読み終わった [2016年5月6日]
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感極まって星4つけちゃったけどほぼ間違いなくヘンテコ本のたぐい。
著者の作品の世界観とガンダム(主に宇宙世紀全般。私はもともとガノタだからよかったけど多分前提の予備知識としては最大の難関)とシャーロック・ホームズの冒険(絶対新潮版!元ネタは原書で読んだことがあったのでいいかと思っていたのですが、他の方に教えて頂いて延原謙訳を読み直してから挑戦しました。これを読まないと小さな台詞回しや謎の『訳注』も全く楽しめなかったはずなので、個人的にはこの手順を踏めて本当にラッキーでした。)あたりを踏まえないと多分よくわからない愉快な本。ただ、まだ旧訳新訳その他の書籍を完全に網羅したわけではないのですが、果実前のまほちゃんが、仲睦まじい?栄子さんと奥平くんが、平和な日常が尊い。ほんとうに尊い。栄子さんとまほろの二人乗りのシーン、多分笑うところなんだろうけど泣いてしまった。
「穴井戸栄子シリーズ一作目」らしいので今後に期待です。ジークジオン!

2016年5月7日

読書状況 読み終わった [2016年5月7日]
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何も変わらず、波風も立たず、ただ平坦に、静かに、物語が進んでいく筆致。あまり読んだことのないタイプの作風の作家さんだったので新鮮でした。

で、努力と才能の壁に懊悩する主人公ですが、多分、きっと、彼は「持っていることに気がつかないだけの人」だと感じました。きっとその繊細さで、一生ピアノと真摯に向き合ってゆくのだと思います。読後に感じた安心感と僅かな嫉妬は、もし自分が高校時代にピアノを辞めていなければ違う風に捉えられたのかな。
あたたかな作品だったけれど、万人に読んで欲しい作品とはちょっと違うかな、と個人的には感じた書店バイトでした。

2016年5月3日

読書状況 読み終わった [2016年5月3日]
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なんだかへんなものを読んでしまったぞというまさしく「狐につままれた」ような読後感
世界観に馴染むまで100ページくらい、そこからだんだん文体や登場人物に慣れていって、最後にトンデモ展開が待っているんだけどこの作者さんはわざとやってるから余計たちが悪いよ~…要するにその部分も面白かったのです…。
ただこのままだと、まほろくんは最後に某さんを否定したのに先に読んだ聖アリスガワ学園シリーズでのみづきさんがなぜあんな立場なのか全然わからないので…今私の手元には続編があっての。

しかしやっぱり、周りの人間に自分の抱えているものを知られることは、すなわち死だよね、うん。

2016年3月15日

読書状況 読み終わった [2016年3月15日]
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2巻を先に読んでしまったのでなんとも言えないのだけれど、学園の設定や目的、主人公3人の為人を最初から知っていたら2巻の序盤で全く世界観に没入できなかったり出来レースのように彼女たちだけが生き残ることに首を傾げることもなかったと思う。なにより時系列的には2巻より後の話であるこの巻のラストが「こうなる」から「ああならなければならなかった」必然性が最初からわかっていたなら、最後の薬物記憶操作によるジケンナンテナンニモナカッタヨ展開にあそこまで不快感も感じなかったと思う。2巻、結構好きだったのです。

ただこの巻単品で読むと全く好みではない。終盤まではどんどん論理が加速していくのが面白かったけれど、最終的にそれらがひとつに合わさることもなく、推論のみで明確な「正解」が提示されることもなく…ミステリというかこの作者さんに慣れている方は楽しめるのかもしれないけれど、私は納得できなかったなあ。かといってこの巻を先に読んでいたら間違いなく2巻に手を出してはいなかっただろうから微妙なところ。

2016年3月11日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2016年3月11日]
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