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革命前夜 (文春文庫 す 23-1)
- 須賀しのぶ
- 文藝春秋 / 2018年3月9日発売
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まことに失礼ながら、須賀しのぶという作家を存じ上げなかった。この作家はもっともっと有名にならなければいけない。ここ数年間で読んだ小説の中でも間違いなく五本の指に入る作家だと思ってる。
平成という時代が終わろうとしているが、平成が始まったころ世界は今以上に混沌としていた。なにしろ、東西冷戦が形の上では終息したのだから。そんな時代の東ドイツに留学した日本人ピアニストの物語。
この作者、現場に居合わせたのか?と思うくらいの臨場感あふれる筆致にすこぶる感動した。
頑張れ!須賀しのぶ。
2018年7月19日
暫く振りに書く。
芥川賞を受賞した作家が「面白かった」と本作を評価しなければ、ここまでの評価が果たしてあったのだろうかと疑問に思った。というのが感想なのだが。
作者が哲学的要素や思想学的要素或いは素粒子物理学的要素を取り込みたかった気持ちはよく分かるのだが、すべてにおいて付け焼き刃的。薄っぺらと言っては失礼かもしれないが、その先が問題なんだけどねという感想を持った。
SEX主体のオカルト教団もいいが、これももっと掘り下げる必要があったのではないかと思う。
ただ、本作者には官能小説を書かせたら一流かもしれない。素直に性描写には興奮した。
2017年11月29日
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ゴールデンスランバー (新潮文庫)
- 伊坂幸太郎
- 新潮社 / 2010年11月29日発売
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この作品を絶賛するコメントばかりを載せた帯に釣られて買ってしまったが、佳作の域を出ない作品だと思います。プロットやフラグが多過ぎて、作品の躍動感が無くなってしまっている気がします。元来、このような冒険小説のパターンは数多あり、『ただ逃げる』ことのスリルや躍動感が魅力なのに、あれ?あれ?ってほどに読者を足止めさせるいらないプロット。これには辟易してしまいました。逆に言えばこれだけ色々とあるのに、最後がこれじゃあまるで納得がいかないのです。疲れるだけでした。
2017年2月16日
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さよなら、ブラックハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫 メ 3-1)
- ピーター・メイ
- 早川書房 / 2014年9月10日発売
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いい本に出逢った時の気持ちは、いい女に出逢ったのとはまた違うけど、何とも言えない気持ちになる。
感想は他のレビューを見てもらえばいい。
いい作品かどうかは分からないが、俺にとっては素晴らしい作品だった。
次作が出るらしい。楽しみにしたい。
2016年1月31日
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葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)
- 歌野晶午
- 文藝春秋 / 2007年5月10日発売
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ミステリーなのかハードボイルドを気取っているのか、ふざけているのか真面目に書いているのか。
何一つ見るべきところがない。
絶賛される理由がわからない。
テーマが題名にあるならば、内容が無さすぎるように感じる。
いずれにしても、俺の頭の中からはすぐに削除される作品だった。
2015年10月13日
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ジェノサイド 下 (角川文庫)
- 高野和明
- KADOKAWA / 2013年12月25日発売
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久々に良い本を読んだ。
おかげで、この作家の作品をいくつか一気に読みきった。
今後にも期待したい作家だ。
2014年5月28日
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卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)
- デイヴィッド・ベニオフ
- 早川書房 / 2011年12月5日発売
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これは中々の秀作。
小説ってこういう読後の爽やかさがいいんだよなって感じる。
もっとも、前半はなんだか薄暗くじめじめとして寒い印象のまま物語が進んで行くので、案外退屈になる。
表題の通り卵探しの話なのだが、本当はじいさんの長い長ーい、おのろけ話なのかもね。
面白い、一読をおすすめする。
2013年4月9日
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ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)
- 三上延
- KADOKAWA / 2013年2月22日発売
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飽きてきた。
簡単に言ってしまえばそういうこと。
江戸川乱歩のことはかなり調べられているのだろうが、それを前に出しすぎで、五浦と栞子のベースストーリーが進まず、単に栞子ファンの俺としては「あっ、そ」ってなもんだった。
こういう見方がいけないのかな?
2013年3月22日
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草原の椅子(下) (新潮文庫)
- 宮本輝
- 新潮社 / 2007年12月21日発売
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宮本輝作品は数多あれど、本作はある意味最悪だ。
大体、こんな変な登場人物ばかり出てくるのは、いくら小説といえども納得いかない。しかも、何なんだ?あの終わりかたは!
と、一応こき下ろしてはみたが、こんな作品にも見るべきところはあった。
著者がここまで憂国の気概を全面にぶちまけた作品がかつてあったろうか?思想的にさえ感じる著者の想いは逆に「慣れないことはしない方がいい」という結果になってしまったように感じるのは、俺だけではあるまい。
ただ、俺自身も阪神淡路大震災の被災者でもあったので、著者のこの国に対する怒りはよく理解できる。
2013年3月22日
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幕末史 (新潮文庫)
- 半藤一利
- 新潮社 / 2012年10月29日発売
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うーむ、足りない。物足りない。
色々と事情があるのは分からないでもないが、昭和史が二冊あったのに、幕末は一冊?
半藤氏の話が好きなだけに、物足りない。
だから、星4つ。
2013年3月26日
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新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか (PHP新書)
- 上杉隆
- PHP研究所 / 2012年2月15日発売
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評価の四つ星は、この著者を知らない人たちに是非読んでもらいたいから。そして、なぜ五つ星にしなかったのかといえば、著者の憤りからくる熱過ぎる文章が少々押し付けがましかったから。
それでも、年輩の方で新聞信奉者の御仁には取り合えず読んでみていただきたい。日本の言論統制は脈々と続いていることを知るはずだ。
メディアを信じることなかれ。メディアが正義なのでは断じてない。肝心なのは、恒常的に自身で裏を取ることだろう。
現在では、さほど難しいことではないのだから。
2013年1月6日
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日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)
- 竹田恒泰
- PHP研究所 / 2010年12月15日発売
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明治天皇の玄孫である著者。当然、中身も天皇崇拝がベースになっている。「皇室が存在するからこそ」が前置詞となる。まあ、こんな読み物があってもいいんじゃないだろうか。中には興味深く読ませてもらった件もあったし。
2013年1月6日
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動物に魂はあるのか 生命を見つめる哲学 (中公新書 2176)
- 金森修
- 中央公論新社 / 2012年8月25日発売
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『動物霊魂論』と『動物機械論』を対比させながら、文化や文明について考察されている。一般に人は人以外の動植物に対して、優位性を担保している。だから、犬が言うことを聞かずとも許せる。
しかし、その優位性は何を根拠にしているのだろう。
本書はそのことには触れてはいない。しかし、人以外を人がどう扱うのかを歴史をたどりながら解説されている。
そして、思想と哲学の違いを本書によって更に深く考えさせられた。そのことについては、ここでは触れないが。
非常に興味深い書物だった。
2013年1月6日
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夏の狙撃手 (光文社文庫 な 22-14)
- 鳴海章
- 光文社 / 2012年7月12日発売
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主人公石本は警視庁荻窪署に勤務し、射撃でオリンピックを目指していたのだが・・・
撃てないスナイパーの誕生までを描いた作品。まあ、ね。こういう作品はディテールの色々が好き嫌いを分けるのだろうが、俺は個人的に嫌いじゃない。安心して読める作品だ。
2013年1月6日
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ダイナー (ポプラ文庫)
- 平山夢明
- ポプラ社 / 2012年10月5日発売
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出てくるハンバーガーが、美味そうで美味そうで。
そんなハンバーガーの横で暴力の嵐。読み始めはただのバイオレンス小説かと思った。そうには違いないのだが、なんだろう?この感じ。新ジャンル?面白かった。
2013年1月6日
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一九八四年〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)
- ジョージ・オーウェル
- 早川書房 / 2009年7月18日発売
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うーん、随分と久し振りに読んだのだが、いま改めて読むようなものでもないね。なんだかモノトーンの絵の中にときおり赤や黄色や緑といった色がぽつんとある感じ。
救いようのない結末は好きな人も多いかも。
2013年1月6日
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最新スナイパーテクニック
- ブランドン・ウェッブ
- 並木書房 / 2012年5月21日発売
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そうだ!スナイパーおよびスナイパーライフルについて知りたい人にはこんな本がある。本来はここには載せないんだけど、よかったら読んでみたら。
2012年10月21日
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運命の強敵 (ハヤカワ文庫NV)
- ジャック・コグリン
- 早川書房 / 2012年8月23日発売
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前作、『不屈の弾道』の次編。まず、この物語はどうやらシリーズ化するようだ。たしかに、面白いからね。
なので、作品内容には触れずにおく。エクスカリバーという試作品の50口径スナイパーライフルは本作にも登場するのだが、エクスカリバーにまつわる話は一切ない。その分、前作を超える、スナイパーのスナイパーによるスナイパーのための作品に仕上がっている。
スナイパー対スナイパーの苛烈な勝負が読者たる俺に緊張感をもたらす。ああ、一度でいいからスナイパーライフルで500m先にあるワインボトルを狙ってみたいものだ。
次作も楽しみだ。
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不屈の弾道 (ハヤカワ文庫 NV)
- ジャック・コグリン
- 早川書房 / 2011年6月30日発売
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元?アメリカ軍の本物のスナイパーが作者。
9.11事件の頃から俺はこれからはスナイパーの時代が来るのではないかと思っていた。それが、本当にそうなのかどうかは現在も分からないが、少なくとも、対テロ戦においては、どうやら重要な任務であることは間違いないようだ。
世界最強のスナイパーは『ゴルゴ13』だとしても、この物語に登場する主人公はその次くらいにはなるだろう。たとえ、ゴルゴの愛するM16A1およびM16A2が、アサルトライフル(突撃銃)であったことを知った後もだ。
現在、大口径スナイパーライフルの射程距離はおよそ2kmにおよぶ。50ブローニングという弾丸を使用する。この弾丸は薬莢を含めると長さ約14cmと長く大きい。こんな弾丸をくらえば人の頭くらいは軽くあとかたもなく吹っ飛ぶ。
そんな銃器を扱うスナイパーの物語なのだが、なかなか面白い。
万人に勧めることはできないが、アメリカの対テロ戦に対するスタンスを客観視するにはあるいは持ってこいなのかもしれない。政治、経済、宗教と、いろいろな側面からの見方もできるのではないだろうか。
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俺には向かない職業 (角川文庫 赤 631-1)
- ロスH.スペンサー
- KADOKAWA / 1989年5月1日発売
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俺の愛読書の一つ。もう何度読んだことやら。
おかしくて悲しくて強くて痛くって、優しくて細かいことは気にしなくて、そんな主人公に憧れを持ってから、もう四半世紀にもなろうか。
こういう男であれたらいいと思う。
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プライド (新潮文庫)
- 真山仁
- 新潮社 / 2012年9月1日発売
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真山仁、流石だ。
短編集だけに、ストーリーは徹底した掘り下げは無いものの、その取材した材料の使い方はいつも感心する。
個人的に真山仁のファンであることを差っ引いたとしても、この作家、素晴らしい。
常に作品の根底に流れている『日本人の矜持』を今作でも感じることができた。読書する楽しみとはこういうことだ。と、思えた。
2012年9月21日
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ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
- 三上延
- KADOKAWA / 2012年6月21日発売
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いいんじゃないかな?こういうの。俺は好き。というより、ハマった。次も楽しみ。
2012年8月20日
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天地明察(下) (角川文庫)
- 冲方丁
- KADOKAWA / 2012年5月18日発売
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作者が頑張って、頑張り過ぎてる気がするが、日本語ってもんを、とても大切にしているんだろうなってことはとてもよく分かる。
ただねぇ、ストーリーははっきり言って面白くない!暦づくりのダイナミックさは伝わってくるんだけど、命を削るほどの過酷さっていうのか、気の遠くなるほどの計算や単調な作業の苦しさなんかがほとんど伝わってこないんだよなぁ。
なんだかね、な作品。
2012年8月20日
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1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉後編 (新潮文庫)
- 村上春樹
- 新潮社 / 2012年5月28日発売
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ここに詳しく書いた。
http://s40futoshi.blog.fc2.com/?no=44
2012年10月11日