影との戦い: ゲド戦記 1 (岩波少年文庫 588 ゲド戦記 1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145885

感想・レビュー・書評

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  • It is over.ここで、ここでゲドが笑うときに、私の目からは涙がポロリ〜と必ずこぼれるのですよ。初めて、英語版で読んでみました。I am whole, I am free 感動は同じだ。

  • キャッチーではないし派手なストーリーでもないけど、読みやすいと思う。

    主人公のゲドは前半では傲慢な若者として、
    後半ではそれを後悔し、その償いをしようとする老成した人間として書かれている。
    老成というと暗い言い方かもしれないけど、人生の中の大きな失敗をしたとき、人はその意味を考えずにはいられないだろうし、特にそれが若い時ならそんな感じになるのでは、と思わせた。

    ゲドにまじないの手ほどきをした伯母や、最初の師であるオジオン、
    無二の親友カラスノエンドウ、ロークの学園の賢者たち(特に守りの長)など魅力的な人物が多く、
    大変そうだけどこんなに人間関係に恵まれているなら魔術師の人生も悪くないねw

    悪者も、悪者すぎず、人を小馬鹿にするのが趣味だったり、騙すのが好きだったり、生きてると会わずにはいられない卑しい悪者でファンタジーだけど生々しかった。

    日常生活の端々で現れる魔法の使われ方が、ただの便利なものとしてではなく世界の理や異世界との触れ合いであることが繰り返し表現されていて、そこはファンタジーらしくて素敵だった。

    言葉遣いはそんなに古いとは思わなかったし、読書に慣れていれば10歳くらいから読めそう。

    ずっと気になっていたけど、途中で飽きそうだと思って手を付けてなかった。でも全然退屈せずに読めました。続きも読もうとおもいます。

  • アニメより、よっぽど面白い。

  •  ずっとずっと、その存在は気にしていたがこれまで手に取ることのなかった本。アメリカで刊行された1968年当時は、きっと現在のハリーポッターのような衝撃を読者は、覚えたのではなかろうか。

     最近、小説においても児童書においても現代文学しか読んでいなかったので、数十年前に描かれたこの本を読み始めた当初はなかなかページが進まなかった。しかし、物語に吸い寄せられるうちに少し古くなってしまったその文体にも慣れ、ドンドンと読み進めていった。

     光と影の関係は、現在様々な比喩に使われる。どんなにすばらしいものにも闇はあり、ときに人間はそれに脅かされる。たとえば、現在の原発問題がそうだ。安全に使えば低コストで多量の発電ができる便利な道具だが、一度問題が起きるとなかなか収束しない。地球の脅威にもなりかねない。読んでいる最中は、「まるで、ドラゴンボールに出てくるピッコロ大魔王と神様の関係のようだな」と思ってしまった。あるいは、ある魔法使いのエピソードは「山月記」の様でもあると思った。

     先述したハリーポッターシリーズも含めて、その他多くのSF物語に影響を与えたであろうこの作品。続きを読むのが楽しみである。

  • 図書館から借りました

     ファンタジー。成長物。魔法物。

     強い力を持った少年、ゲドは名高い魔法使いオジオンによって魔法を習えるようになる。
     オジオンの推薦で、魔法の学校にいった彼は、しつように突っかかってくる上級生に腹を立て、見返すつもりでとんでもないものを呼びよせてしまう。
     そのため、ゲドは大けがを負い、成長するまでその影に怯えることになる。

     描写が密で、ときとしてすっ飛ばしたいきもちになる。
     地図が目眩しそう。
     あんまりにも細かく名前が書き込んであるから。

     真の名を重視する世界なので、仕方ないけど。

     オジオンとゲドは、萌えそうです。(腐った目を向けてしまう
     300ページだけれど、文字も大きい。 二時間半ぐらいで読み終わったはず。(何度か中断したからいまいちトータル不明

     傲慢で、自己中だった少年が、痛い思いをして成長していく。

  • 魔法の修業を積む孤高の少年ゲドは、同級生の挑発にのり、恐ろしい影を呼び出してしまう。アースシーという他島海を舞台に、影からの逃避行そして追跡が始まる。影を制するには、その名を知らなければならない。その名とは…。

  • 2006.7.11

  • 「自分でまいた種は自分で刈り取る」、自分との戦い。さらりと口に出来るが、実際そういう生き方をしている人は、少ない。迷いながら、矛盾しながらも、最期には勝利を手にする。自分を、追え。

  • かつて、「竜王」と「大賢人」の二つの称号を手にし、その偉業は今日まで歌い継がれている「ハイタカ」と呼ばれた魔法使いがいた。これは、その大賢人が、己の才能に目覚めた少年期から、青年期にいたる成長の過程を描いたもの。魔法使いは、心の底から信頼できる者にしか本名を明かさない。「ハイタカ」の本名は「ゲド」。思春期特有の傲慢さから、彼は、黄泉の世界から「影」を呼び出してしまう。ジャンルとしてはファンタジーものだが、文学的酩酊を伴う傑作。(高橋節子先生)

  • 影との戦い。追われるものから追うものになること。向き合うこと。自分のなかの闇を見つめ、受け入れること。

    ずっと追われて恐れていた。逃げても逃げても固い繋がりがあって逃げ切れないとわかっていた。でもこわかった。

    向き合い受けいれ、まったき人間になりたい。すべてを引っくるめて「自分」としたい。形や名前を持たず、自在に形を変える影。それは自分の影。切り離すことはできない。

    安息の地はないと思っていた。下手すれば永遠に、一生つきまとう影に怯えて暮らさなきゃいけないと思っていた。

    でも、追うものになろう。他人に頼らず自分で繋がりをたどって、自分の中の闇と対面しよう。

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著者プロフィール

アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)
1929年10月21日-2018年1月22日
ル・グィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。
代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。
(2018年5月10日最終更新)

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