『葛藤する刑事たち』傑作警察小説アンソロジー (朝日文庫)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022649386

感想・レビュー・書評

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  • 横山秀夫 『共犯者』と誉田哲也 『手紙』を読んだ。
    名手たちの短編は魅力があるが、つまみ食いで満足してしまうという感じ、申し訳ない。

    Amazonより---------------------------
    黎明/発展/革新の3部構成で各時代に輝く傑作を選び抜き収録。
    警察小説史に残る作家を網羅したファン必読の一冊。
    組織での事件捜査を描く王道から、
    女刑事が主人公の作品、非番の一場面を描くものまで、
    広く警察の魅力と個の抱える葛藤をたっぷり味わえる。

    【黎明期】
    松本清張 『声』
    藤原審爾 『放火』
    結城昌治 『夜が崩れた』

    【発展期】
    大沢在昌 『老獣』
    逢坂剛 『黒い矢』
    今野敏 『薔薇の色』

    【覚醒期】
    横山秀夫 『共犯者』
    月村了衛 『焼相』
    誉田哲也 『手紙』

  • 松本清張、藤原審爾、結城昌治、大沢在昌 逢坂剛、今野敏、横山秀夫、月村了衛、誉田哲也『葛藤する刑事たち 傑作警察小説アンソロジー』朝日文庫。

    黎明期、発展期、覚醒期の3つの時代に描かれた警察小説の傑作を3作ずつを選び抜いたアンソロジー。

    時代と共に進化し続ける警察小説。様々な作家が手を出している分野であり、9編の短編をセレクトするのは並大抵のことではない。


    日本人作家が警察小説を書き始めた頃の『黎明期』に描かれた3作。

    松本清張 『声』、藤原審爾 『放火』、結城昌治 『夜が崩れた』。

    松本清張の短編は遥か昔に読んだ覚えがあったが、藤原審爾と結城昌治の短編は未読だった。


    警察小説の書き手も増え、人気に火がつきはじめた『発展期』。

    大沢在昌 『老獣』は一風変わった作品。

    逢坂剛 『黒い矢』は直球勝負の警察小説で流石の作品。

    今野敏 『薔薇の色』は安積班シリーズの1編で変化球気味の格好良すぎる粋な作品。

    『発展期』は随分とひねったセレクトをしたものだ。


    書き手と読み手が、「警察小説≠刑事小説」と覚醒した『覚醒期』。

    横山秀夫 『共犯者』は婦警を主人公にした警察小説で、もはや名人芸の域に達している。この短編は確か『顔 FACE』に収録されていたか。

    月村了衛 『焼相』。機龍警察シリーズの短編。警察小説と言うよりはSF小説の色合いが濃い。昔ながらの地を這う捜査とは全く無縁の新たなジャンル。

    誉田哲也 『手紙』。姫川シリーズの短編。全く違う角度から捜査を進め、事件を解決する姫川の手腕は見事だが、それ以上に姫川の人間としての考え方に共感。

    本体価格800円
    ★★★★★

  • ミステリの一つのジャンルとして確立している警察小説。警察という組織や、それに属する刑事(警察官)について描かれるモノで、今ではたくさんの作家さんによるテーマもバラエティも豊かな作品を選り取り見取り。
    本書は、日本における警察小説の変遷を、黎明期、発展期、覚醒期の3つの時代に分け、夫々3篇づつ取り上げ、計9作品が掲載。
    黎明期は、バリバリの昭和の香り漂う内容。今じゃありえない捜査方法や社会環境だが読み物としては十分に楽しめる。
    発展期は、今現在このジャンルの大御所作家さん達による秀作。敢えて変化球な小作品もあれば、キャラ立ちしたシリーズモノからの収録作と、警察小説としてのレパートリーの広がりを感じさせる内容。
    発展期では、人気と勢いのある作家さんの作品が選ばれている。警察組織の深堀り、近未来的な設定、安定のシリーズキャラと組織モノとこれまた多彩。

  • 読んだことのない作家には新鮮な驚きを。知っている作家には登場人物に愛着を。それぞれに楽しめるオムニバス。時代とともに作風も進化してきているのが興味深い。これからも警察小説ブームは続きそうだ。

  • 黎明/発展/革新の3部構成で各時代に輝く傑作を選び抜き収録。
    警察小説史に残る作家を網羅したファン必読の一冊。
    組織での事件捜査を描く王道から、
    女刑事が主人公の作品、非番の一場面を描くものまで、
    広く警察の魅力と個の抱える葛藤をたっぷり味わえる。

    4作品は既読。よかったのは、結城昌治と大沢在昌の作品。

  • 2019年11月朝日文庫刊。そうかこれも、警察小説だわなと認識をあらたにする短編を含めて、黎明期、発展期、覚醒期と分別して収録した村上貴史さんの編集が面白い。黎明期:松本清張-声、藤原審爾-放火、結城昌治-夜が崩れた、発展期:大沢在昌-老峡、逢坂剛-黒い矢、今野敏-酢液の色、覚醒期:横山秀夫-共犯者、月村了衛-焼相、誉田哲也-手紙

  • 完全に、姫川に誉田作品に釣られて、手に取った訳だけど、松本清張ってやっぱり凄いね!何冊か、読んでいるけど、描写や、トリックが良いよね!あっという間に読了。

  • 9人の作家の短編集。

    最初の松本清張と、最後の誉田哲也が私は一番面白かった。
    松本清張の「声」は、新聞社の「電話交換手」さんが毎回「電話をつなぐ」とか、各家庭に電話がなくて、近所の商店から呼び出してもらう…など、時代が今とはあまりに違うのと、まさにここがキーにもなるので戸惑うことも多かったけれど、読んでいてぞくぞくする感じ….さすが松本清張!と思わず唸ってしまった。

    誉田哲也の「手紙」は、大好きな姫川班も出てくるので…。私にとっては問答無用で(笑)面白い。
    話も短いながら、相変わらずうまいなと。

    「刑事たち」を描くのにも、9人それぞれの作家の色と深みがあって、幸せな時間をもらえる1冊だった。

  • 9人の人気作家が書く短編の警察小説。やっぱり面白いと思ったのは松本清張と横山秀夫の短編。誉田さんの「手紙」も事件だけじゃなく担当刑事のひた向きさや野心が書かれていて面白い。と思ったらドラマ化されている人気シリーズだった。

  • NシステムやDNA鑑定や顔認証システム等々の無い捜査。ほのぼのしてるなんて言っちゃ、いけないね。昔のドラマ思い出す。警察組織のあれこれが描かれるのは最近なんだな。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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