白昼夢の森の少女

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041060582

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。
    かなり色々な詰め合わせだったけど、どれもとても恒川光太郎。
    「銀の船」が好き。続き、というか他の乗船者達の話も知りたい。
    不気味でおそろしいものが美しいこともままある不思議。

  • 筆者のあとがきに知らない町をぶらぶらと歩いて通過するのが好きと書かれていました。私も同じく歩いてその町の匂いや雰囲気に浸るのが好きです。曲がり角を曲がると視界に何が広がるかわくわくします。恒川さんの本もどんな物語が開かれるのか。この短編集でも、曲がり角からいろんな風景を見せていただきました。

  • ダークファンタジー短編集で、全編面白かった。「夜市」のような、一昔前の日本独特のじめっとした世界観から、「スタープレイヤー」のようなRPGゲームのような世界観まで、さまざまなテイストの物語に引き込まれた。表題作の「白昼夢の森の少女」は、植物がネット社会のメタファーのような、また新しい不思議な世界観を見せてくれた。この短編集で、恒川さんの引き出しの多さに、改めて感服です。

  • 読後、ちょっと途方に暮れたような不思議な気分になった。これはどういうお話だったんだろう。面白かったねぇというカタルシスはない。でも、なんか最後まで読んでしまったというような、ここが良かったなんてうまく言えないんだけど、不思議な魅力があったのだと思う。いや、これはなあに?というクエスチョンが、最後のページまで運んでくれた、という感じかなぁ。

    『古入道来りて』
     読後、目次を見返して、あぁこの話あったなぁ、と。本で最初の作品で、なんかずいぶん前に読んだ話なんだけど、でも強い印象を残しているというか。こういう話とはやっぱり言いづらいんだけど、一番魅力がわかりやすくもあったかな。

    『焼け野原コンティニュー』
     なるほどこういうのがパニックSFというのか。なんかアイアムアヒーローとか、そういう系統を思い出した。ぜんぜんちがうといえば、ちがうけど。

    『白昼夢の森の少女』
     SFだなぁ、という話だね。自意識が集団と不分明になっていくあたりを物語として描いてくれるような。

    『銀の船』
     けっこう、えー?と思いつつ、最後まで行ったような。永遠の命を与えられるというのは、こういうことなのかもしれない。

    『海辺の別荘で』
     ショートショート感が、けっこうあるね。ショートショートではないのかもしれないけど。このあとどうなったんだろう、実際のところ、彼と彼女はどういう人で、暗示されているようなつながりがあったんだろうか、という奥行きを感じさせてくれる話、かな。

    『オレンジボール』
     うーん。よくわかんないけど、なんだろうね。

    『傀儡の路地』
     いやぁ、なんかイヤな怖さだったな。こういうのには会いたくない。

    『平成最後のおとしあな』
     あぁ、落とし穴ねぇ。奇妙な話ではあったけど、読後なんかシュールな絶望感を感じたな。

    『布団窟』
     実話なんだ。これもまた、奇妙な、シュールなイメージを喚起させてくれる話ではあったかなぁ。年を取った自分が、なんて奥行きがこの人の魅力なのかもしれない。

    『夕闇地蔵』
     最後の作品を読んで、ふと思った。『古入道きたりて』とこの作品。本書の最後と最後の話が、『夜市』とかこの著者の本を始めて読んだときの感覚を思い起こさせる作品だったのかもしんないなぁ、と。こういう話とはいえないんだけど、妙に引き込んでくれるというのが魅力なんだろうね。

  • 植物に侵されたもの同士で共通意識を持つようになった人々の穏やかで奇妙な生活を描いた表題作ほか、年を取ることなく永遠に生きられる船での人間模様を描く「銀の船」、人形を持った女の言葉に逆らえなくなる「傀儡の路地」など、いずれも不可思議さと独創性ある設定が魅力的な短編が揃った一冊です。

    作者といえばやはりホラー、心理的にじわっとひたひたと迫ってくる恐ろしさを描くという印象が強いのですが、今作は恐ろしさよりも、人の脆さや哀しさという「サガ」を、彩りの違う舞台に載せて描いている、という感じがしました。

    表題作と「銀の船」は、人ならざるものの力で人の力ではたどり着けない安寧を得つつも、そこから逃れざるを得ない人という器の限界を淡々と描きます。「夕闇地蔵」では己でも制御できないタガの外れた人間の業と怪異を相対させ、やはり人の愚かさがあらわにされます。

    これらでは、人間とはこういうものだという限界と、人ではないモノどもの途方もない存在の対比が鮮やかに描かれています。そうして、人はヒトでないものにはけっして敵わない弱い存在だと思わされつつも、それでも、負けていてさえも、間違っていても、人間たちをいとしく、応援したくも感じるのです。

    そう感じたのはなぜか。
    それは、泥臭くも愚かしくも、人は人として生きるしかなく、手の届く範囲でしか行動できない。そう理解しているからこそ、世界を自在に蹂躙する存在を恐れ、敬う。その「力関係」こそ、科学万能なこの時代にこそ意識しないといけないのかな、などと(これはちょっと飛んだ感想ですが)思ったからかな、などと考えたのでした。

  • 本の帯にもあるように
    バラエティーに富んだ10編の白昼夢。
    どの作品も恒川さんらしい恒川ワールドヾ(≧∇≦)〃
    恒川さんの作品は何を読んでも〝うつくしい〟…
    恒川さんでなければ出せない表現、雰囲気が幻想的でうつくしい。
    今回はバラエティーに富んでて
    うつくしい?って話もあるけどそれはそれ、
    恒川さんらしい作品ってことで。

    古入道きたりて/
    白日夢の森の少女/
    傀儡の路地/
    夕闇地蔵/
    ↑の4編が私好みのお話。

    ただ〝布団窟〟が実話?
    ( ̄◇ ̄;)エッマジで?マジ?って感じなんだけど
    話のしめ方が恒川さんらしいなぁ~、と。

  • 短編集
    どれもおもしろかったのです

    『古入道きたりて』
    でぃだらぼっち のイメージ
    満月の夜に一人、外を眺めれば出会えるかも?
    わくわく

    『夕闇地蔵』
    なんとも不可思議

  • 「白昼夢の森の少女」も「銀の船」もこういうの大好きだけど後味切ないです
    「布団窟」どこまで実話?!

  • 夢に見た船に乗り不老不死の体となり時空を超えて永遠に旅をする、「銀の船」が特によかった。

  • 深夜のラジオから流れてきた『古入道きたりて』が凄く心に残ったので、探した本。不思議で寂しい話が多かった本。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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