白昼夢の森の少女

著者 :
  • KADOKAWA
3.56
  • (20)
  • (73)
  • (63)
  • (7)
  • (6)
本棚登録 : 521
感想 : 77
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041060582

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 短編集だと思わずに読んでいたので、それぞれの物語に出てくる事物がいつか回収される伏線だと信じ、心に留めていました。例えば、四角いコンクリートの建物、20万円、シーサーの置物などなど。
    どの物語も幻想的で面白く、これらが回収されるラストにはさぞかし凄まじい傑作になるに違いない!これは間違いなく星5つ!と思っていましたが、あらあら短編集でした。
    そんなわけで自分勝手な期待の妄想の喪失により、星4つ。
    でも本当に面白かったです。
    さすが恒川ワールド、いつも楽しませてくれます。
    「古入道きたりて」は既読でした。

  • アンソロジーで既読のものもあったけど、こうしてまとめて読み返すと、また違った感じがして面白い。

    SFチックだったり、ホラーだったり、ダークファンタジーだったり…今回は珍しく実話系w

    様々作品だけど、どれも恒川さんらしくて素敵。

  • 幻想・ホラー小説短編集。恐ろしさも感じますが、どこかしら夢の世界のような柔らかな雰囲気を感じられる作品が多いです。じっくりと世界観に浸りたい一冊。
    お気に入りは「傀儡の路地」。一番ホラーらしい作品で、実際これが一番怖いと思いました。都市伝説的な存在がメインになっているのも好みの一環です。
    「白昼夢の森の少女」「銀の船」も大好き。状況だけならホラーのようでもあるけれど、どこかしら理想郷のようにも思える世界を描いた不可思議な物語。ある意味、これらの世界で生きることはとても幸せなのかもしれません。行きたいかどうかと聞かれたら……悩みますけれど。

  • 人間の身体を侵食していく植物が町を覆い尽くしたその先とは(「白昼夢の森の少女」)。巨大な船に乗り込んだ者は、歳をとらず、時空を超えて永遠に旅をするという(「銀の船」)。この作家の想像力に限界は無い。恐怖と歓喜、自由と哀切―小説の魅力が詰まった傑作短編集。

  • どこか不思議で怪しげな雰囲気の漂う話が10話おさめられた短編集。
    作者のあとがきによると、この短編集は今まで本におさめられず埋もれていた作品やアンソロジーにおさめられていた作品の寄せ集めらしく、それだからか、SFチックなものもあればホラー色の強いもの、ダークファンタジーっぽいのと、様々な雰囲気の作品が収録されている。
    すごく短いもので、とりとめもない作品もあり、それは読んだ先から忘れてしまったけれど、中にはすごく印象的で、情景を想像するとその世界に入りこんでしまうような、そしてどこか哲学的でささるものもあった。

    「古入道きたりて」
    突然の雷雨により雨宿りした山の中の一軒家。
    そこで男は家主である老婆から「古入道」が夜現れるという話を聞いて、実際目の当たりにする。

    「焼け野原コンティニュー」
    焼野原となった世界をさまよう男の話。

    「白昼夢の森の少女」
    森に意識を侵食された人々の話。

    「銀の船」
    大きな銀の飛行船に乗り、この世界から離れた女性。
    その船は乗る時はお金を出せば乗れるが、降りる時は肉体に変異を生じると言う。

    「海辺の別荘で」
    海辺の別荘で、カヤックで島に到着した女と話をする男性。女がこの島に流れ着いた訳はー。

    「オレンジボール」
    ボールになった「ぼく」の話。

    「傀儡の路地」
    傀儡に操つられ、自分にとってよろしくない行動に走る人々の話。

    「平成最後のおとしあな」
    平成のスピリットと名乗る女性からの電話をとる女性。
    彼女は通話の中で、平成について回顧する。

    「布団窟」
    見知らぬ人の家で布団の穴に引きずり込まれそうになった経験をもつ男性。

    「夕闇地蔵」
    生まれた時から色の判別がつかず、その代わり、別の世界が見える男性。
    彼は幼馴染が殺人をおかしている事を知るがー。

    個人的には、「布団窟」と「夕闇地蔵」が良かった。
    どの話も、話の筋がいい、というよりも、発想が独特で面白くイメージが広がる。
    その想像の世界でしばし遊ぶ、という感覚が良かった。

  • 植物に自分の体が飲み込まれる。そして、同じように飲み込まれた人と意志の疎通ができる。体は動かせないけど、やり取りはできるって孤独なようで孤独じゃないのかな?
    それでも、やはり動きたいわな。

  • この作者では珍しい実話系怪談やSFモノも収録されているが、やはり白眉は作者お得意の「ここではないどこか」への憧憬を描いた作品。

    もっと世界観に浸りたいため、中編〜長編で読みたいと思ってしまう作品多し。
    そりゃ短編だったらここで終わっちゃうよね…という結び方がちと残念。

  • 初めて読む作家でした。
    好き半分、あまり好きじゃない半分くらいの割合。
    最初の古入道きたりてが好き

  • 短編を編んだもの.じっくりと読ませてもらう.

  • 毎度のことだけど、この人の作品は簡単にジャンル分け出来ない。ホラーというには切なくて幻想的、ファンタジーというにはゾワリと恐ろしげ…。「恒川ワールド」としか言い表せない。
    「銀の船」が特に好きだった。短編アニメーション映画になってくれないかな。冷静に考えれば乗るはずもない船だけど、色々人生に疲れている時、思い悩んでいる時に現れたらフラッと乗ってしまうのだろうか。
    「夕闇地藏」、地蔵助の見る世界が水墨画にところどころ散りばめられた金銀の絵の具の様で美しい。

全77件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

恒川光太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×