- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041132203
作品紹介・あらすじ
会社員、アイドル、パイロット、作家など……自分の思い通りに仕事をすることが叶わない社会のなかでも、懸命にしたたかに働く様子を描いた、読むと勇気づけられるアンソロジー。
感想・レビュー・書評
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短編7作品
心に残った話がなかったなぁ…
有川さんの作品は、好きだったな
奥さんが自衛隊のパイロット
夫が、奥さんの仕事を応援している姿が素敵
内容が、ほぼ思い出せない…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「女性の仕事をテーマにしたアンソロジー」という編者の三宅香帆さんに関心があり、読んでみました。
選ばれた7編の物語に共通するのは「女性と仕事」
描かれた時代がそれぞれ違うので、価値観やものごとの見方がそれぞれの作品で大きく違うことに気が付きます。
それは「古い時代や価値観」「現代のそれ」を超えて共通する「女性が働くこと、その人なりの居場所を見つけること」に一本の線があるように思います。
自分的荷は、綿矢りささんの「こたつのUFO」で描かれた「もの事を生み出す紋々とした時間」に共感を持ったり、有川ひろさんの「ファイターパイロットの君」に描かれた「覚悟と責任」を強く背負う女性に敬意を感じます。
でも本書の主役はやはり編者の三宅香帆さん。
彼女のセレクトと7編の構成方法に非常に惹かれます。
時代の変化や、スピード感の緩急をつけた「アンソロジー」に「小説の新しい楽しみ方」を教わった気持ちになります。
大ベテランの女性作家7名の深みのある物語と、それをセレクトした若き書評家、三宅さんのセンス。
とても楽しい一冊でした。 -
2023年1月角川文庫刊。社畜:山本文緒、美女山盛:田辺聖子、こたつのUFO:綿矢りさ、茶色の小壜:恩田陸、神様男:桐野夏生、おかきの袋のしごと:津村記久子、ファイターパイロットの君:有川ひろ、の7つのお仕事アンソロジーの女性編。作家さんも女性編。解説は三宅香帆さん。津村さんのしごと話にすっかりのめり込んでしまった。仕事そのものの大変さ、面白さ、人との絡みをうまくとらえてあり興味深い。恩田さんのファンタジー要素な話に面食らってしまった。田辺さんはやはり田辺さんらしい話で、男性世界のマヌケさが楽しい。どの話も、描かれる世界がユニークで面白い。
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女性の作家による、女性達が主役のお仕事小説アンソロジー。会社員は勿論のこと、地下アイドル、小説家、パイロットに至るまで、様々な仕事に携わる女性達の苦悩と喜びが描かれる。
いやぁ、さすがのセレクト!仕事に翻弄されまくり、汗も涙も出尽くしてカラッカラなのに、毎日シフト通り生真面目に働く自分の姿を登場人物達に重ねながら、ページを捲っていった。
お気に入りは…
山本文緒「社畜」既読ではあるが、何度読んでも新鮮なのが文緒作品。短いながら切れ味鋭い!彼女のお仕事小説はたくさんあるのに、敢えてこれを選ぶのかと…そのセレクト眼にも感心する。
田辺聖子「美女山盛」昭和の作品だから、セクハラ描写ガンガンで一瞬面食らうんだけど…昔ってこうだったよね~。そして、この露骨なルッキズム、なくなったわけではなく今だってえげつないよねと思う!でも、美女なのに抜けててどこか憎めない梢がいいキャラで、笑いのツボもしっかり押さえている。
津村記久子「おかきの袋のしごと」これも既読だが、何度読んでもウィットが効いてるし、うっすら怖いし。職場あるあるの描写がシニカルでコミカルで、つくづく津村さんのお仕事小説は最高だなと思う。そして、おかきが食べたくなる。
有川ひろ「ファイターパイロットの君」いやーっ胸キュン!初デートのエピソードに身悶え。こんなに理解のある旦那様羨ましいけど、働く母の苦悩がことごとくリアルで、胸に迫る。
何より、選者である三宅香帆の解説がよかった。どんな意図で、どんな思いを込めてこれらの作品を選んだのか。仕事に疲弊しまくった身にはものすごく沁みた。昭和~平成の仕事小説が若い人にどこまで響くだろうとは思うけど(古いなと感じるかもしれないけど)、いつの時代も働く女達のエピソード一つ一つが、励みになる。う~ん、いくつになっても好きだわ、お仕事小説。七転八倒する登場人物に共感しながら自分も七転八倒し、怒ったり悲しんだり笑ったりしながら今日も働くのだ。 -
同時発売の『僕たちの月曜日』と並ぶ、仕事をテーマにしたアンソロジー
『社畜』 山本文緒さん
『美女山盛』田辺聖子さん
『こたつのUFO』綿谷りささん
『茶色の小壜』恩田陸さん
『神様男』桐野夏生さん
『おかきの袋のしごと』津村記久子さん
『ファイターパイロットの君』有川ひろ
ゲラゲラ面白かったのは田辺聖子さん。
自称醜女のOLマメちゃんが、美人な同僚と、彼女達にニヤニヤ群がる男性たちの観察を楽しむお話し。1979年刊行の本に収録されてたお話なので、今とは色々違う点も面白い。
マメちゃんの心の声を抜粋すると、
美人社員の梢に浮かれる課長を見て
「おもしれえなぁ。目尻下げてる男は面白い。」とオッサンみたいな言葉使ってたり、
女性がたくさんいる前で、噂の美人はどこですか?と聞く取引先の社長には
「こんな奴、死んでしまえばよい。」とキッパリ。
田辺聖子さんの本、今年は読んでみよう。
娘から源氏物語の現代語訳も含めて田辺聖子さんの本をお勧めされてるんでした。
あと、物語として面白くて引き込まれたのは津村記久子さん。はじめて読みましたが、読みやすかった。おかき会社の派遣社員がおかきの袋の裏書に頭を悩ませる話で、なんてことなさそうなんだけど面白かった。
綿谷りささんの『こたつのUFO』は、ぐうたらに生きてる30歳女性の独白みたいな感じでのめり込めなかったけど、最後の一節は素敵でした。
「老いた証拠は身体にだけ残して、心は颯爽と、次の宇宙へ、べつの銀河へ。」 -
7人の作家さんによる仕事をテーマにした短編小説集。
男性版「僕たちの月曜日」の女性版。
昭和から平成にかけて刊行された女性の労働を描いている。
有川ひろさん、恩田陸さん、桐野夏生さん、田辺聖子さん、津村記久子さん、山本文緒さん、綿矢りささん。
そして、解説が三宅香帆さん。
まず、この解説が何より良かった。
それぞれの話の核心をつく辛辣とも言える解説は、読んでいて何だかスッキリするし、
同時にそうだったのかと納得もできる。
三宅さんはこの小説集について、こう書いている。
「男性版は月曜日なのに、なぜ女性版は金曜日なのか。ー中略ー やはりいまだに女性の仕事は「金曜日」ーつまり仕事以外のことをする時間と、仕事をする時間を、天秤にかけながらやっていることだと思われているのではないか。
そこまで考え、そのうえでやはり私はこのアンソロジーを「私たちの金曜日」と名づけたい。なぜなら私は、月曜日ではなく、金曜日の労働だとみなされ続けている、女性たちの働く姿をきちんと記録しておきたかったからだ。」
それぞれの話は、「そういうことあるよね」と親近感を持ちながら読めるものや、背筋が凍りそうなもの、段々読んでいるこちらも苦しくなってくるもの、痛快で爽快なもの、多種多様で飽きない。
解説を読んだ上で再度読むと、また違った感じで良いと思う。
今まで読んだことのある仕事系小説とは、またちょっと違った感じで面白かった。 -
田辺聖子さん『美女山盛』は「なんじゃこれ」でした。
見たことないけど大阪の新喜劇みたいなイメージ。
でも、はっと思いました。
『メンタル強め美女白川さん』も共通しているかも。
私が一番面白いと思ったのは津村記久子さん
『おかきの袋のしごと』
津村さんの小説、初めて読みました。
こんな面白い作家さんがいたのね。
こういう出会いがアンソロジーの良さだと思います。
『この世にたやすい仕事はない』の一部だそうで
最初から読みたいです。
調べたらNHKでドラマ化されたそうで、ドラマも見たい。
ただ、ラストの意味がわからなくて。
他の方のレビューをざっと見たけど、
やっぱりわからなかった。
私が頭悪いせいかもしれないけど
もしかしらた『この世にたやすい仕事はない』を
全部読んだらわかるのかも? -
【収録作品】「社畜」山本文緒/「美女山盛」田辺聖子/「こたつのUFO」綿矢りさ/「茶色の小壜」恩田陸/「神様男」桐野夏生/「おかきの袋のしごと」津村記久子/「ファイターパイロットの君」有川ひろ
コンセプトは、「女性主人公を中心とした、日本のお仕事小説」とか。 -
様々な職種で働く女性をテーマにしたアンソロジー。
有川ひろさんのは既読。(面白かった!)
それぞれが何かしらうまくいかないものを抱えながら、それでも働く姿に少し共感。
もう少しハッピーな内容のものがたくさん読みたかったかな。