私たちの金曜日 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041132203

感想・レビュー・書評

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  • 発売前から楽しみにしていた、「働く」アンソロジー。月曜日と金曜日の両方をゲットして、まずは金曜日から読みました。
    書き下ろしじゃなくてアンソロ。いろいろなところから選者が持ってくるんだけど、角川作品だけじゃないってのがいい。

    「社畜」山本文緒
    短かった。超短編。最初のジャブ的な1編にはちょうどいいのかも。

    「美女山盛」田辺聖子
    文体も時代背景も昔すぎて、時代錯誤で読みづらかったけど…田辺聖子はこれを70年代に書いてたわけだよね?そう思うとすごい革新的。田辺聖子さんの書く源氏物語、好きです。(関係ない)

    「こたつのUFO」綿矢りさ
    この中で1番好き!最高。UFOに攫われてくとことか「はい?」って感じなんだけど、こたつのあったまりすぎたぼーっとする感じと、悪夢?的な対比が好き。言いたいこと、伝えたいことがつかめそうで掴めなさそうで結局よくわからなかったけど、30歳女性小説家のリアルな苦悩が覗けて面白かった。

    「茶色の小瓶」恩田陸
    うわぁ、怖。さすが恩田陸っていう感じ。短編なのにグイグイ引き込まれて最後の仕打ち。怖すぎる。血?を抜かれたのもそうだけど、さらに他の人のロッカーを漁って彼女のポケットに入れたのかな?とか考えると、うわぁって感じする。

    「神様男」桐野夏生
    桐野夏生は、こう、ザワザワさせるような小説を書かせたら右に出るものはいないっていう感じだよね。姉妹の行く末を思ってザワザワしました。

    「おかきの袋の仕事」津村記久子
    こんな仕事ありそう、うん、この職場もありそうだわーって思いながら読みました。主人公の弱さ?仕事を転々と変えて行くキャラ設定的なものと、終わり方がうーんだったけど、完璧にお仕事小説でした。

    「ファイターパイロットの君」有川ひろ
    あ、読んだことある。でしたが、楽しく読めました!やはり有川浩節。有川ひろの描く男子が、こんな男子いないわ、少女漫画だわ、やっぱりファンタジーだわぁと思いつつ、やはり好き。でも、だんだんと有川節の年齢じゃなくなりつつある私がいることが寂しい。

  • これは手に取るでしょう!!!という著者陣。

    解説にもあるが、物語で働く女性が描かれるときには「お仕事ドラマ」「お仕事小説」と言われがちなのが本当に嫌。なんなんやお仕事って。ただの労働やのに。"女性が輝く社会"なんか望んでなくて、性別関係なくそこそこの労働でそこそこの生活ができるような社会を望んでるのに。仕事で輝きたい人もいるやろうけど、淡々と日々の労働をこなしている人もいて(きっとそっちが大多数で)、それでも十分におもしろさはあると信じている。だから私は津村作品がやっぱり好き。(ドラマ ブラッシュアップライフも好き)
    労働なんかに私の自己を実現させてたまるか。というか自己を実現ってなんやねん。あほか。と思いつつ、長時間せざるを得ない仕事って人生設計と自己形成に大きく関わってくるよな〜。

  • 明日の自分よりも
    今日の自分の方が若いと思いつつも
    今日の自分は
    若い頃に思い描いたような大人になっているのか。
    もっと大人になっているつもりだったのではないか。
    若い頃の宿題を
    今に持ち越していないか。

  • 女性主人公を中心とした日本のお仕事小説。
    多彩な作者による短編集。
    新たな作家との出会いがあるかも。

  • 働く女性に焦点をあてた短編集。

    「ファイターパイロットの君」が1番好きでした。初デートの様子はキュンキュンして、娘の茜ちゃんもきっといい子に育つんだろうな。男性女性関係なく、家族の一員として仕事と家庭を両立する形がいいのかなと思ったり。

    女性の社会進出、なんて言われたりするけれど、それが当たり前の世の中に早くなってほしいなあ。

  • 女性の作家による、女性達が主役のお仕事小説アンソロジー。会社員は勿論のこと、地下アイドル、小説家、パイロットに至るまで、様々な仕事に携わる女性達の苦悩と喜びが描かれる。
    いやぁ、さすがのセレクト!仕事に翻弄されまくり、汗も涙も出尽くしてカラッカラなのに、毎日シフト通り生真面目に働く自分の姿を登場人物達に重ねながら、ページを捲っていった。
    お気に入りは…
    山本文緒「社畜」既読ではあるが、何度読んでも新鮮なのが文緒作品。短いながら切れ味鋭い!彼女のお仕事小説はたくさんあるのに、敢えてこれを選ぶのかと…そのセレクト眼にも感心する。
    田辺聖子「美女山盛」昭和の作品だから、セクハラ描写ガンガンで一瞬面食らうんだけど…昔ってこうだったよね~。そして、この露骨なルッキズム、なくなったわけではなく今だってえげつないよねと思う!でも、美女なのに抜けててどこか憎めない梢がいいキャラで、笑いのツボもしっかり押さえている。
    津村記久子「おかきの袋のしごと」これも既読だが、何度読んでもウィットが効いてるし、うっすら怖いし。職場あるあるの描写がシニカルでコミカルで、つくづく津村さんのお仕事小説は最高だなと思う。そして、おかきが食べたくなる。
    有川ひろ「ファイターパイロットの君」いやーっ胸キュン!初デートのエピソードに身悶え。こんなに理解のある旦那様羨ましいけど、働く母の苦悩がことごとくリアルで、胸に迫る。

    何より、選者である三宅香帆の解説がよかった。どんな意図で、どんな思いを込めてこれらの作品を選んだのか。仕事に疲弊しまくった身にはものすごく沁みた。昭和~平成の仕事小説が若い人にどこまで響くだろうとは思うけど(古いなと感じるかもしれないけど)、いつの時代も働く女達のエピソード一つ一つが、励みになる。う~ん、いくつになっても好きだわ、お仕事小説。七転八倒する登場人物に共感しながら自分も七転八倒し、怒ったり悲しんだり笑ったりしながら今日も働くのだ。

  • 働く女性のアンソロジー。津村さんと山本さんの話は既読の作品だったけど、それを含めて楽しく読めた。最後の有川さんの作品が印象的で、この作品が収録されている『空の中』を買いたくなった。この本と合わせて出版された『僕たちの月曜日』の帯には、別に出世なんてしなくていいと書かれ、こちらには、ただ不自由なく働きたいだけと書かれているところに諸々な感情がわいた。

  • 2023年01月30日読了。

  • おもしろくてスイスイ読めますが、昭和感を感じるストーリーが多かったです。

  • 仕事への向き合い方から、家庭、恋愛のことまで、女性の労働を様々な角度から切り取った短編集。

    田辺聖子さんの『美女山盛』、
    うわー!やっぱり梢ちゃんもそっち側なのね、、!!!となんだか嬉しい気持ちになって、声に出して笑ってしまった。

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著者プロフィール

高知県出身。第10回電撃小説大賞『塩の街 wish on my precious』で2004年デビュー。2作目『空の中』が絶賛を浴び、『図書館戦争』シリーズで大ブレイク。『植物図鑑』『キケン』『県庁おもてなし課』『旅猫リポート』『三匹のおっさん』『阪急電車』『空飛ぶ広報室』『明日の子供たち』『イマジン?』など。2019年「有川浩」から「有川ひろ」に改名。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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