遠まわりする雛 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 5822
レビュー : 505
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044271046

作品紹介・あらすじ

省エネをモットーとする折木奉太郎は"古典部"部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理する-。あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか"古典部"を過ぎゆく1年を描いた全7編。

感想・レビュー・書評

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  • 古典部の1年を描いた短編集。
    男の子ってずるいよね。
    奉太郎にしても里志にしても、プライドみたいな哲学みたいなものが厚い壁となって自分の前に立ちはだかってる。そして、それを乗り越えるべきではないと思ってる。これが青春なのか。
    えるや摩耶花のほうが先に大人になるんだよ、きっと。

  • 題になっている、『遠まわりする雛』のラスト2ページが気になって仕方ない・・・。

  • 「しかし、どうしたことか。言おうと思っているのに、その実、ぜんぜん言える気がしないのだ。こんなことは初めてだった。そして、初めての経験は、これまで解き得なかった疑問を解く大いなる鍵となる。」(「遠まわりする雛」より)

    古典部たちの1年が7つの短編に分かれて登場。
    物語の中で、関係性が少しずつ、少しずつ変化していくさまが愛おしい。

    当然ながら春では、全くお互いどんな人間なのか手探り状態だったものが、夏、秋、と季節を経るごとに人となりが分かってきてだからこそ気づくこともある。ということが、短編を通してよくわかる。
    その様子が、いじらしくてとてもいいのだ。
    特に、最後の表題作は、にんまりしてしまった。
    とても良かった。

    「やるべきことなら手短に」
    「大罪を犯す」
    「正体見たり」
    「心あたりのある者は」
    「あきましておめでとう」
    「手作りチョコレート事件」
    「遠まわりする雛」

    【9/17読了・初読・市立図書館】

  • 「古典部シリーズ」第4弾。
    『氷菓』から始まって、前作の『クドリャフカの順番』で文化祭も終了し、“文集”にまつわるお話も一旦、区切りがついたということでしょうか。

    今回は、春までさかのぼり、『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』の間を縫う出来事や、文化祭終了後のエピソードも拾って、また春までの一年間を、短編で描いています。

    毎回、奉太郎の、人生哲学と言うか、人間心理の観察と言うか分析と言うか…とにかくこのくらいの年齢の知能の高い文系男子にありがちの、回りくどい(笑)モノローグからスタートします。
    中学からの友人である里志との、牽制し合い研鑽しあう、男同士の友情と…そして、苦手→気になる→信頼(?)、いいかんじ?…と変化していく、千反田えるとの日々が描かれています。


    「やるべきことなら手短に」
    春、部活動の勧誘ポスターで掲示板は花盛り。
    正体の分らない海賊版メモを追え!
    近道したつもりが回り道?

    「大罪を犯す」
    いやいや、大罪を犯すところだった。
    自分の大罪は“怠惰”が似合っている、とうそぶく奉太郎。

    「正体見たり」
    一人っ子の千反田は、きょうだいというものに、ほとんど幻想とも言っていい憧れを抱いている。
    温泉合宿で、奉太郎、湯あたりする。

    「心あたりのある者は」
    えっと、瓢箪から駒?
    韜晦する奉太郎。

    「あきましておめでとう」
    ドキドキエピソードと、友人の機転。

    「手作りチョコレート事件」
    キャッチボールで隠し玉?
    トムとジェリーみたいな、里志と摩耶花の関係。

    「遠まわりする雛」
    バレンタインの事件で、人間は心の中でどう考えているのか分らないものだと考察していた奉太郎だが、千反田と出会ってそろそろ一年、彼女の置かれた“旧家の跡継ぎ”としての立場と、濁りのない人格をだんだんと理解していく。

  • 古典部シリーズ。4人とも頭がよく、表現力豊かで、感性が鋭い。読んでいて、少し嫌になるほどに(笑)。
    たぶん、古典部シリーズを頭から順番にちゃんと読んだほうがより楽しめるんだろうな。
    話を追うごとに、千反田さんがますます可愛らしく、魅力的な女性だな…ということが際立ってくる。それは、折木くんと千反田さんの距離が縮まってくる、ということに比例しているんだろうな。

  • 里志の気持ちってなんか分かる。古典部の今後の恋模様、わたし、気になります。

  •  前三作を踏まえると、まさかここまで来るとは思わなかった短編集。
    表題作「遠回りする雛」の春めきっぷりが異常で、つまり、388ページの「ただ俺は、ひたすらに、これはしまった、これは良くないぞと思っていたのだ」が決め手で、終盤がもうドキドキして、もう春か!

  • 「古典部」シリーズ第四弾。
    主人公達の入部からの1年間で、ここまで語られなかったエピソードが短編集的に納められています。

    ちょっと、こういうのってズルいと思います。
    だって・・・気に入った映画やドラマとかの“未公開シーン集”みたいで楽しいんだもん!(^_^;)

  • 短編よりも長編の方が好きかもな、と思って途中しばらく離れてしまった。でも最後はいい、とてもいい。

  • 短編集。古典部シリーズ4作目。
    どんなに若くても、どんなに未熟でも、誰にだってそれなりに譲れないものはある。
    大人から見れば取るに足らないような、他人には受け入れがたいようなこだわりだったとしても、本人はけっこう本気なのだ。
    未来は開けている。
    大人のようで大人ではない中途半端なときを過ごしている。
    驚くほどに自分自身のことがわからない。
    何が欲しいのか、何が必要なのか。
    思いがけない自分を発見して戸惑ったり悩んだりもする。
    古典部に所属する折木奉太郎の譲れないこだわり。
    「やらなくていいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」
    里志が手作りチョコレートを砕かなければならなかった理由。
    たぶん説明しても千反田には本当のところはわからなかっただろう。
    奉太郎が千反田についた小さな嘘は、仕方のないことだったと思う。

    この年代にしか味わえない葛藤や揺らぎが詰まっている古典部シリーズ。
    「氷菓」を読んだときほどの衝撃はないけれど、相変わらず大好きなシリーズだ。
    少しずつだけれど変わり始めている奉太郎を、果たして里志たちは気づいているだろうか。
    第5弾が待ち遠しい。

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プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気となった。
2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。度々直木賞候補にも名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。

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