アジアンタムブルー

著者 :
  • KADOKAWA
3.56
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本棚登録 : 666
感想 : 122
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734103

感想・レビュー・書評

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  • 静かな本ですね。
    内容はどきついとこもあるけど。笑

    ブルーがにあう本

  • なんだかするすると読めてしまった。電車の中で、昼休みの職場で、駅のベンチでするすると読んで、最後の最後で自分が泣きかけていることに気づき、焦った。いささか過剰と思われる部分もあるけれど、この語り口は好きです。

  • 「永遠に誓う」だとか「永遠の愛」とかいう言葉を、間髪入れずに「嘘くせぇ」とせせら笑ってしまう私は、つくづく恋愛方面に向いてない。
    仕方ないことだ。この物語の「永遠」にまつわる話を知ってしまったから。
    「天女が千年に一度、三千敷きの岩畳を羽衣で一撫でする。その岩が擂れて無くなるまでの時間を永遠と呼ぶ」のだと言う。
    そんな想像を絶するような長い長い時を経て、それでも形が残っている物なんて、寂しいだろう、と思う。いつか消えてしまうものだから、裏切られるかもしれないものだから、存在する一瞬を「いいなぁ」と思えるんじゃないか。消えることが分かっていて、それでも不安の中で必死に支えようとするものだから、眩しいものになるんじゃないだろうか。

    話中では、主人公へ大きな影響を与える人物として、「青」という新聞記者が登場する。はじめは神秘的な雰囲気で、何かを超越したような存在だが、物語が進むにつれて印象は変転していく。生きてきた時間、経験した過去、そういうものが次第に「青」に透けて見え始める。徐々に人間くさい存在になっていく「青」に、私はどこかで安心していた。
    たった一人のヒーローが、いとも容易くハッピーエンドに持ち込んでしまう話じゃなくて良かった。無力で矮小な人々が、死にものぐるいで変えていこうとする世界に、救われていたのだ。
    愛と死が書かれていない小説は無い、と言われるが、この物語以上に愛と死について書いた本もそう無いと思う。主人公の、卵の薄皮のような膜がかかった視線で物語は進むが、その薄い膜の中には強い熱情をはらんでいる。

  • <2010.05.26>
    同著者の「パイロットフィッシュ」がすごくよかったので買った小説。期待に十分すぎるほどこたえてくれました。表紙もきれい。また読み返したい。

  • 「私が死んでも・・・優しい人で居てね」
    軽そうに見えて、実は深い。
    救いようのあるラストでほっとした。

  • 大学時代に「表紙のカバーが綺麗」というだけの理由で手に取った。
    特に印象に残るとか、影響を受けたとか、ではないのに暇な時になんとなく読み返してしまう一冊。

  • 図書館で借りて読んだ。

    この人の小説は、登場人物が重複していたりするが、設定が微妙に違っており中途半端な関連性が面白い。

  • 愛する人が死を前にした時、いったい何ができるのだろう。末期癌に冒された恋人と向かったニースでの日々。
    喪失の悲しさと優しさの限りない力を描き出す恋愛小説、とのこと。
    ただ、メインの話にいく前に、冒頭のプロローグ的話が間延びした感が。
    後半メインの恋人との余生生活のあたりは、感動的で涙も出たけれど、共感するには少し美しすぎたかな。
    文章の表現や流れが美しく、タイトルや装丁のイメージ通りの文章だった。
    小説というよりは、絵画や詩集のような、自然と流れ込んでくる美しさを感じさせる本。

  • パイロットフィッシュを読んだのがかなり前でしかもあまり良い印象が残っていなかったのですが、これはよかったです。
    パイロットフィッシュの昔の話なんでしょうか。
    恋人が末期癌で最期を二人でニースで過ごす…。切ないです。葉子の水溜りの写真見たいなぁと思いました。

    090811

  • 最初に読んだ大崎作品。瑞々しくて繊細な言葉選びに嵌ってしばらく大崎さんを追いかけることになる。ザ・泣ける恋愛小説。
    「憂鬱の中からしか、掴めないものがある」

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著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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