アジアンタムブルー

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734103

感想・レビュー・書評

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  • アダルト雑誌編集者の山崎はデパートの屋上で
    ぼんやりと世界情勢について考える。
    世界情勢を考えたいわけではない。
    そうでもしなければ、巻く余地のないゼンマイをまた巻き始めてしまう。
    山崎が葉子の死に向き合い、受け入れるまでのお話。

    確かに村上春樹っぽい。
    必要以上に異性に絡まれ無駄にエロを盛り込み
    唐突に別のシーンに切り替わるあたりが。笑
    でも村上春樹はよりライトなのでまだ受けられるかな。

    タペストリーホワイトとこの本しかまだ読んでいないが
    この作家の魅力は、テーマの素敵さなのではと。
    本作は「アジアンタム」という名の繊細な観葉植物が
    温度や湿度に負けて葉がチリチリと丸まってしまう様を
    アジアンタムの憂鬱(アジアンタム・ブルー)と言うところからきている。
    大体の場合はそのまま死んでしまうが、
    まれに復活することもあるという。
    そのアジアンタムこそが強く根を張りめぐらす。

    あと、(青)の存在だ。
    かつて自分を救った存在が圧倒的な存在ではなく
    頑張ればあえてしまう、普通のおじさまだったこと。
    それでもよりどころとなる一言を山崎に伝えてくれたこと。
    救いでした。

    葉子と隆ちゃんはとても素敵な恋人のかたちだと思う。
    お互いに誇りとなれるような
    そして「優しさが嬉しい」といえるような距離感。理想的だ。
    恋人って、
    クリスマスに素敵なディナーを食べたり
    誕生日に高価な贈り物をしあうための関係ではないんだよなと再確認。
    同世代のカップル見てると見失いそうになるんよ。笑

  • 葉子のために奔走する姿に感動し、同時に切なくなる。
    すべてを終えて抜け殻のようになってしまった姿にまた切なくなる。

    紹介文に「喪失の悲しみと“優しさ”の限りない力を描き出した、本年最高の恋愛小説。 」ってあるけれど、本当にその通りの小説。

    本当に死を目の前にして、愛する人に「私が死んだら…」なんて言われたら、
    私はそんな行動力や力強さを発揮出来る自信が無い。

  • 愛する人が死を前にしたとき、あなたは何ができますか?

    ------------------------

    泣ける、最後。

    主人公の職業には生理的嫌悪感があるけど、だからこその面白さもあるんだよな。フランス、ニースに行ってみたくなる。綺麗な街なんだろうな、なんて。

  • 屋上でのやりとりがいい。
    あと沢井氏。

    でも『パイロット~』のほうがよかったかな。

  • エロ本の編集者でSMの女王様との撮影。こんだけの文字だと単なるスケベさしか出て来ないがこんな単語が散りばめられたこの小説からは切なさや透明感、そして死というものを考えさえられた。端々に出る性表現も文章となると気にならず、ある種不思議だなと。静かさ漂う文面からは作者の作品から常に感じる孤独感・透明感・優しさを感じ取る。ただ優しさの種類は千差万別多種多様なのが面白い。

  • 以前、友人から借りて読んだ『パイロットフィッシュ』の続編。
    続編と言ってもその後ではなくて、山崎の30代の頃の話。
    前作同様、生と死と、愛と性の散りばめられたストーリー。
    少しだけ、村上春樹っぽい?かな。
    恋人が癌で、分かったときにはもう末期。
    何もしてあげられないのならせめて、彼女が死にたいと言っていた場所で……とニースへ向かう。
    そのリミットが近づく日々のあまりにも美しく、穏やかな描写が涙を誘う。
    軽く1日で読めちゃうサラッとした作品。

  • 本当に切ない物語でした。
    1日で読み切ってしまったくらい切ない物語でした。
    自分もカメラが好きで、古い一眼レフカメラで写真を撮っています。
    葉子の気持ちが凄くよくわかりました。
    世界で一番キレイな場所で二人で暮らし最期を迎える…幸せだけど残酷な感じを美しく表現していたように思います。
    大好きな本です。

  • そして葉子は静かに僕を残して、ニースの海を見ながら死んでいった。

    恋人の葉子は末期癌の末、若くして亡くなった。
    生前に撮っていた全国の水溜まりの写真。いつまでも鳥音痴で、控えめで物静かな中に垣間見る強い意思をもつ葉子を、愛していた。

    アジアンタムの憂鬱のように、この心は静かな哀しみの中にいた。

    恋人病気で死んじゃって人生投げ掛けていたけど思い出を胸に生きていくって話。
    映画化もされてるんだねびっくり!
    北海道/パイロットフィッシュ/水槽/ディスカス/編集者/万引き/タバコ/酒/

    アジアンタムがいい)^o^(

  • (ラストに涙あり!?)

  • こういう話は苦手だ。
    劣化版村上春樹に感じる。
    暗い男があらゆる女にモテたり、死なれたりする話。
    日本文学の主人公の男の典型的な性格。
    あまりの現実味の無さに終始白けた。

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著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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